志智俊夫は「頑張っちゃったよ」と自然と表情も崩れる。今年の9月で50歳を迎えるベテランが強烈なカマシを見せつけての1着奪取。

　追走する形になった伊藤旭は「志智さんは自分の父親と言ってもいい年齢。ギヤの差(伊藤:4・71、志智:5・67)があって追走していても志智さんの回転と波長が合わなくて楽に追う形ではなかった。それもあったけど、ドンドンかかっていって最後までタレなかった。凄いとしか言いようがない。あの歳で逃げ切っちゃうんだから完敗ですよ」とレース後は志智に対して、それこそ父親を見るような眼差しを向けていた。

　22歳の伊藤にそう言われれば、志智も悪い気分ではないはず。普段は寡黙な選手だが「後手になっちゃったらしょうがないからね。タイミングもあったし行ってみたよ」と昨年9月の松戸で見せた先行策を選択した事を明かしてくれた。 しかも「松戸の先行？ あの時は(伊藤)正樹に差されちゃったけどね(苦笑)」と本人もしっかり覚えている。

　そんなハッスルした志智を見ながら、同じレースを走った白井一機が「志智は5・67のMAXギヤを使っているでしょ。でも、聞いたら練習では7倍のギヤを採り入れているって言っていたよ」と貴重な情報提供。

　早速、本人にその話題を振ると「せやな〜。7倍を使ってもいるけど、これなら8倍のギヤを使ってもいいな」と脚の回転も良かったが、口の方も好回転。

　近況のPIST6の準決勝は3連続3着とあと一歩のところで決勝進出を逃してしまっているが、こんな元気な競走を見せてくれるなら決勝進出、そして初優勝の期待も懸かってくる。(アオケイ・渡辺記者)

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