2022/06/04(土) 20:00 0 1
「不調の原因はわかっている。まとまった練習の時間がとれていなくて…」と浮かない表情で話すのは金辺雄介だ。
金辺には競輪選手以外の「もうひとつの顔」がある。鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師としての顔だ。
「自分が腰痛持ちで、治療院に通っているうちに身体の仕組みに興味を持ったのがキッカケ。あとは将来的なことも考えて。いつまで選手としてやっていけるか、わかりませんからね…。3年間、学校に通って専門知識を学び、2021年の3月に卒業しました」。
見事、難しい国家試験に合格し、資格を取得してみせた。
「学生時代、やっぱり競輪選手との両立は大変でしたね。当時、練習は川崎のバンクにお邪魔していた。朝5時に起きて、6時から9時まで練習。で、9時から17時までは学校に行って…という生活を送っていた。初めは、朝の通勤ラッシュの電車内で単語帳を持ってフラフラになりながら、自宅から往復4時間かけて通学(苦笑)。さすがに効率を考えて、実家からのほうが近かったので、途中から拠点を移しました」。
「でも、規則正しい生活でメリハリがあったせいか、当時のほうが競走成績は良かった」とポツリ。
「実際に今は治療を行っていて、競輪選手も何人か診ていますよ。競輪選手との両立を目指しているけど、なかなかね。両立させるのは簡単じゃないって、わかってはいるけど…。まだ、競輪選手としてもやっていきたいんです。このままの成績じゃいけないし、諦めたくない。どうにか両立できるよう頑張るつもり」と己を鼓舞して、前を向く。
人生は挑戦の連続。覚悟を持って、二足のわらじを履き、挑戦し続ける金辺を応援したい。同時に、2000人を超える競輪選手たちのそれぞれの生き様に興味を抱いた記者であった。(アオケイ・八角記者)