閉じる

【ピックアップルーキー・安東莉奈】 「私、競輪選手になりました」高校生のときに出会ったあの競輪選手に報告したい

2022/05/03(火) 08:00 1 17

今後の活躍が注目される121・122期のルーキーを紹介する“ピックアップルーキー”。競輪ルーキーシリーズで予選6着、3着とギリギリでの決勝進出、しかしそこでも首尾良くインを突き4着に入った安東莉奈(21歳・大分=122期)を取材した。(取材・netkeirin編集部)

「もともと脚力は良かったのですが、競走訓練(レース)に行くとダメで、養成所時代は教官から“なんで脚があるのにレースに行くと脚が使えなくなくなるんだ”と怒られて泣いたこともありました。そんなときに支えてくれたのが静岡渡邉栞奈で、今でも仲良しなんです。教官ですか? はい、「云々」が口癖の教官です(笑)」

 養成所入所後、悩んだ時期に支えてくれた仲間が渡邉栞奈と、高校時代から自転車競技で知り合いだった池上あかりだったという。そんな養成所生活のテレビから流れてきたある言葉が安東の胸を刺した。

“負けることに慣れると成長は止まる”

「競走訓練で勝てなかったころの養成所時代に、テレビでこのセリフが出てきて“これだ”って思いました。負けることに慣れちゃダメ。もっと成長したい。今も強く思っています。競輪選手として成長して石井寛子さんみたいになりたいです。レースがめちゃくちゃ巧くないですか? いつかお目にかかって、色々とお話を伺いたいです」

 石井寛子への憧れは増すばかりだったが、養成所卒業後も不安は募るばかりだったという。「元々自転車は軽いボーマだったんですけど、今回から重たいブリヂストンに替えました。練習で5回しか乗れてないのですが、こんなに重さが違うのか、って感じで。まだしっくりはきてません。あと別府での練習もそれなりにやってきたつもりですが、その間に同期たちはもっとやってきてるんじゃないか。ずっと不安で仕方がなかったです」

 別府ではどんな練習をしていたのだろうか。

「師匠は溝口香奈さんです。今は育児との両立もあって溝口さんは私との時間がたくさん取れるわけではなくて。大塚健一郎さんたちが競輪場にいらっしゃるときは「ギア」や「レースの組み立て方」について勉強させてもらいました。そうですね、よく気に懸けてくださっているのは支部長の安東英博さんです。練習をいっぱいつけてくれて、とても感謝しています」

 そうして迎えたデビュー戦。それぞれレース後に話を聞いた。

「初日は緊張していました。外外を回されてしまってなにもできないまま終わってしまいました。2日目はS取るつもりでスタートを出て、2番手につけて、無駄のない理想的な競輪ができました。結果は3着でしたが、初日よりも内容が良かったですし、レース後に息も上がってなく、脚も軽かったです。最終日は、本当はS取ろうと思って臨んでいたのですが、結局、最後方まで下がってしまって。想定外の展開ではあったのですが、周りも強いメンバーだったので、開き直って落ち着きながら乗ることができました」

 そんな安東莉奈の癒やしは愛犬の存在だという。

「癒やしは愛犬の“ビー”ですね。ビーグルの牡で、父が“ビー”と名付けました。寝るときの私はいつもビーと一緒。早く帰ってビーに会いたいです。でも6日には松山前検があるので、あまり長く一緒にはいられないんですけど、待ち受け画面を見て元気をもらいます。愛犬への愛だったら同期の誰にも負けませんよ?」と、嬉しそうに語ってくれた。

 また、高校の時に自転車天才少女としてテレビ出演した話については、

「高校3年の時に『炎の体育会TV』でマスクマンだった橋本英也さんと競走させていただいたことがあったのですが、その後、養成所で偶然再会したんです。250バンクの講習で橋本さんがいらしてて、今度は私がマスクをしてたのに“久しぶり、元気?”ってお声をかけてくださって。いつか開催で橋本さんと同じになったら“私、競輪選手になりました”って報告をしたいです」と、キラキラしていた。

 橋本英也だけでなく、両親にも感謝の気持ちでいっぱいだという。

「はじめての賞金の使い途はもう決めてます。お母さんをエステに連れていきます。ずっとキレイでいてほしいので。私をここまで育ててくれた感謝を早くしたいですね。お父さんには車を買ってあげます。そんなに稼げるかな(笑)?」

 安東莉奈は感謝を忘れない。橋本英也にも両親にも屈託のない笑顔で接する姿が容易に目に浮かぶ。身長153cmと決して恵まれた体格ではないが、負けん気の強さと真っ直ぐなメンタルでどんどん強くなっていくだろう。

閉じる

新着競輪ニュース

ニュースランキング

ニュース&コラムを探す

検索する
投票