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【PIST6】神山拓弥が証明した“楽しんだもの勝ち”「ただ走るだけではなく“魅せて”盛り上げたい」/「ZEROラウンド4」優勝者インタビュー

2022/02/16(水) 16:00 0 3

2021年10月にTIPSTAR DOME CHIBA(千葉市)で開幕した「PIST6Championship」。すでに数多くの名シーンや名勝負が生まれているが、PIST6に参戦した選手たちはどのような感想を抱いているのだろうか。今回netkeirin編集部では ZEROラウンド4で優勝した神山拓弥選手にインタビューを実施。それまで連続で優勝し「絶対王者」とまで言われた雨谷一樹選手をねじ伏せた決勝レースについてはもちろん、同県の後輩でもある雨谷選手との関係性、自転車競技を始めたきっかけまで、話題が尽きることはなかった。※インタビューはオンラインで実施(取材日:2022年2月4日)

(Photo by Kenji Onose)

■初回は“走れたらいい”、2回目、3回目からは“優勝する”が目標に

ーーPIST6には3回出場されていますが、これまでの率直な感想を教えてください

 PIST6が始まり、1番最初の開幕シリーズから出させてもらって、運営の方や選手たちも探り探りなんですが、自分の中ではうまく行っている感じがします。

ーー参戦を重ねる中で、自身の中で変化はありますか?

 競技経験が高校時代しかなく、あまりカーボンの自転車も乗る機会がないので、最初は戸惑いがありました。250バンクも、ほぼ初めての経験なので、無事に上手に走れればと思っていたんです。でも開幕シリーズの4走で慣れてきた感があり、2回目、3回目には優勝を目指しました。それで、前回優勝できたので、結果が出て良かったと思ってます。

ーー3回とも所属が同じ雨谷選手と一緒でしたが、ライバルとして走るのはいかがでしたか

 彼はナショナルチームでの経験もあるし、走り慣れているという点では勝てない部分もあるんですが。自分も回数を重ねていくことで、戦えるな、という感じはしてきました。雨谷くんとは普段、同県の仲間として走る関係ですが、PIST6では個人の戦いと割り切っています。

■雨谷君とは仲が良いからこそ、しっかりと勝負できる

(Photo by Kenji Onose)

ーー過去に雨谷選手にもインタビューをさせていただきましたが、「神山先輩」と呼んでいました。同じ高校出身ですが、その頃からの繋がりですか?

 自分は3つ上なんで高校は被ってはいないんですけど、昔から親しみを持って、接してくれる後輩ですね。普段はご飯行ったりとか、旅行なんかも一緒に行ったり。僕も愛を持って接しているんですけれど(笑)。仲が良いからこそ言えることもあるし、勝ち負けに関してもしっかりと勝負できていますね。

「後輩の雨谷」とは言え、PIST6は個人戦。一人の強い選手の「雨谷一樹」として見ています。それに雨谷以外にも強い選手はいますしね。

ーー前回は「雨谷選手をやっつける」を目標に掲げ、それを見事に達成されました。レース後に何かお話はしましたか?

 特に話はしませんでしたが、僕が勝てる可能性を考えれば雨谷君と一緒のあっせんではない方が良いので「お前と一緒はもういいよ」とは言ってます(笑)。でも雨谷君の方から「リベンジさせてください」って言ってきて(笑)。僕はできるだけ戦いたくない相手です。あっせん担当の方、雨谷とは別の開催に呼んでください!(笑)

ーー雨谷選手は「神山先輩には負けないようにしたい」と言っていましたし、絶対にリベンジしたいはずです

 自分は雨谷君の弱点に気づいてます(笑)。それで勝てたんですよ。シーズンファイナルの時は枠順もあり、決勝で負けてしまいましたけれど。前回は自分の思っていた通りにできたのが大きかったですね。

ーーレース前は緊張しますか? 出走直前でもカメラに向けて派手なパフォーマンスをしている姿が印象的です

 緊張していないと言ったら嘘になりますけど、自分は楽しんだもの勝ちだなって思ってるところがあって。僕はPIST6の雰囲気が好きで、あの空気を楽しむことで自分の力が発揮できると思ってるんですよね。なのでそう見えなくても緊張はしてますよ(笑)。

 PIST6は自分で動いて仕掛けないとどうしようもない。パフォーマンスは、自分を緩めるため、緊張をほぐすためにやっている部分もありますね。

■新しい試みでやっているPIST6だから、パフォーマンスでも盛り上げたい

(Photo by Kenji Onose)

ーー“楽しんだもの勝ち”のマインドがPIST6向きなのかもしれませんね

 演出とか会場の雰囲気とか、本当に素晴らしいと僕は思うので。お客さんへのパフォーマンスでも盛り上げたいです。その結果、PIST6とか250ケイリンにファンができて盛り上がっていければ、すごく良いことだなと思います。新しい試みの中で走らせてもらってる以上は「自分が走れればいいや」だけではないですね。

ーー神山選手のポーズやパフォーマンスは“PIST6映え”していると思います

 名物キャラを目指しているんで(笑)。でも、上には上がいるんですよね。イケメンには勝てないんで、面白キャラで行きたいですね。僕の理想として「普段はおちゃらけているけど真剣になったら強い」というのがありまして。直前までふざけてるんだけど、いや決してふざけてはいないんですが(笑)。走ったら強い! かっこいい! を目指しています。

■ライン戦の競輪と個人戦のPIST6、割り切って両方楽しみたい

 競輪はライン戦なので自分がふざけていたら、他のラインの仲間が「お前ちょっと…」となってしまうので(笑)。PIST6だと個人戦なので単騎ですしね。その辺りは割り切って楽しみたいし、楽しんでますよ。

 実はレースの違いという点では競走内容にもこだわりがありまして。自分で動いて、自力を出してお客さんに魅せるレースは普段なかなかできないので、意識しています。魅せられたかな? いい感じなのかな? ってのは考えますね。

ーーとてもいい感じです。神山選手の仲間のためにというライン戦も知っていると、余計に自力で積極的に戦っていく姿には熱くなります

 ありがとうございます! わかってくれる人がいると、すごくありがたいんですけど。なかなか競輪のライン競走だとできないことがあるので。PIST6と競輪で割り切って、両方ともこだわりながら走っているつもりなので、自分にとってもすごくプラスの経験になってます。相乗効果ですね。

ーー以前JAPAN HEROES シーズンファイナルのインタビューで「タイムだけじゃない」と答えていましたが、神山選手にとって「タイム以外」に大事なのは何か教えてください

 前検日に200mのハロンを測るんですけど、雨谷君とは0.5秒くらい差が出るし、他の強い選手にも勝ててないです。でも競輪で培った戦略とかもありますしね。それら含めて「タイムだけじゃない」という表現をしました。(PIST6も)競輪は競輪なので、タイムがいくら0.5秒違っても、勝てる。

 そのタイム差を埋めるために、作戦なり走り方を考えてやるのが競輪の魅力だと思います。自分はそれを伝えたくて言ったんですよね。脚力だけで見れば、絶対に勝てないところを埋めるだけの作戦、それに気持ちの強さ、本番の勝負強さなどもあるかもしれません。

ーー優勝を決めたZEROラウンド4。決勝レースは最内枠の1番車からの逃げ切り勝ちでした。驚異的な粘りと加速でしたが、作戦通りでしたか?

 あれは作戦というよりも、枠順が出た時点で腹を括った感じです。駆けるしかない、先行勝負するしかないと。力を出し切って負けたら、自分の力がないだけなので、負けても納得がいく。ましてや、自分が1番前で雨谷くんが1番後ろで、これは思い切り先行していくしかないなと。

ーー最後は2周全力で駆ける形になりましたが、その距離も覚悟の上でしたか?

 そうですね。自分の場合、脚質的には長くもがけるので、スピードに乗ってしまえば失速しないだろうし。250という短い走路だし、自転車も普段乗らないカーボン。その兼ね合いで決めたのでそのつもりでした。最初から何をするか決めていたので、迷いもなかったです、力を出し切るだけなので。

■「フルスロットルで行くぞ!」の他には「ラーメン食べたい!」とかも叫んでいました(笑)

ーー入場シーンで定番化した“カメラに何かを叫ぶ”パフォーマンスですが。決勝は「フルスロットルで行くぞ!」だったそうですね。その“腹を括って”いたから出た言葉ですか

 あの時は枠順で、気持ちも決まっていたのでそう言ったんですけれど。自分の気持ちを高めるために叫んだ言葉です。でも、それ以外の時は全く関係ないことを言ってるんですよ。その時の気持ちをストレートに出してるので。「ラーメン食べたい!」とかも言ったことありますし。顔は作ってそれっぽく見えるように(笑)。

ーー入場シーンでは自分の気持ちを高めるような言葉を叫んでいるのですが? と聞く予定でしたが、そうなのですね(笑)

 もちろん高める言葉もあるんですけどね(笑)。自分はラーメンが好きなんで、ラーメン食べたいなって、それっぽい顔で、バレないように言ったこともあるんです。ただ、男性のMCの方が鋭くて「俺が1番だ!」って入場したレースの勝利者インタビューで、「俺が1番だ!と言っていましたが…」と聞かれたんですよ(笑)。その時は「それは優勝した時に言います」って返したんですが、結構聞かれてるのか? と焦りましたね(笑)

ーーそれで明かされない謎の言葉というか、入場シーンで何を叫んでいるのかミステリアスなことになってたんですね!

 (笑)。もしかするとバレているのかな思って。自分の中ではMCの人とのちょっとした遊びというか「当てられるかな?」 って感じになってますね。MCの人、鋭いですよね(笑)。真面目なこと言ってる時と、ふざけている時と、あと英語の時と色々あるんですよ。英語は、知ってる単語を並べてそれっぽく言うだけ。まあ、でも結局はその時の気持ちを言葉にして放っているだけなんです。

ーーパフォーマンスのガッツポーズもすごく豪快です。神山選手の体型的に似合うスタイルだと思います。体型やスタイルで目標にしているアスリートはいますか?

 個人的には、ガッチリ系がかっこいいと思うので。競輪選手でいますね。北海道の菊地圭尚さんの体型はかっこいいと思っていて。いつもよくお話しさせていただいていてますが、かっこいいなと思って見ています(笑)。

■競輪選手になるまでは陸上の長距離選手で細かった

(Photo by Kenji Onose)

ーー中学時代は陸上部ですよね? その頃からガッチリした体型だったんですか?

 いえ、真逆です。自分は長距離の選手で1500mやっていましたが、当時はすごく細くて。高校で自転車競技を始めた時も最初は長距離種目でした。高校も競輪学校を卒業する頃もまだ全然細かったんですけれど、競輪選手になるにあたって短距離も強くならなきゃいけなくて。周りがみんな体の大きい人ばっかりなんで、ご飯をしっかり食べたりとかトレーニングをしながら体は作り上げました。

ーー高校から自転車競技を始めたのは叔父にあたる神山雄一郎選手の影響ですか?

 いえ、うちは親父に「競輪選手になれ!」と言われてて。中学時代から「自分でやった分だけめちゃくちゃ稼げるから!」とかお金の話も込みで(笑)。最初は「なんだよそれ」と思いながらも、敷かれたレールに乗っていきました(笑)。当たり前のように作新学院に行き、そこで自転車をやって、当たり前のように競輪選手になったんですよね。

ーー実際に競輪選手になってからのギャップはありましたか?

 全然ギャップはなかったです。自分はすごく馴染めたというか、向いていると思えました。先輩とかめちゃくちゃ怖かったですけど、普通にしていれば大丈夫ですし。自分はあんまり普通じゃなかったですけどね(笑)。

ーーゴルフが好きとのことですが、仲の良い競輪選手とコースを回ったりもしますか?

 選手とはもう何年もずっと回ってないですね。それにここ最近はゴルフどころかスノーボードもずっと行ってないです。地元が鬼怒川温泉で雪山が近くて、スノボも中学校の時からずっとやっていたんですけどね。今もやりたいなと思うんですが、この歳になってそれで怪我をしてもカッコ悪いなと思って(笑)。

■美味しいラーメン屋の情報があったら教えてください(笑)

ーーちなみに入場の時に叫ぶほどラーメンが好きだと言うことですが、特に好きなお店はありますか?

 栃木の佐野というところの“佐野ラーメン”っていうあっさり系が大好きです。『青竹打ち』っていう竹で手打ちにした麺です。あっさり系の手打ち麺へのこだわりがあります。そういうお店を探して日々転々としています。よく行くお店もありますが、栃木ローカルなので、これは自分の場所ということで伏せます(笑)。

 美味しいラーメン屋さんを知っている方いたら、ぜひTwitterまで情報欲しいです! 待っています!

ーーTwitterと言えば、背景画像が『鬼滅の刃』の煉獄杏寿郎の目ですよね。お好きなんですか?

 好きですね、煉獄さんのファンです。普段アニメのキャラを好きになることもないですけどね。やっぱりどんなことでも熱くやった方がなんでも面白いと思うし。練習や試合でうまくいかなかった時に「心を燃やせ」とか思い出しますよ。自分の中では奮い立つ台詞です。

ーーいろいろな話をありがとうございました! 最後に読者に向けてPIST6の注目ポイントを添えて、ひとことメッセージをお願いします!

 PIST6は自力で戦わなければ、勝てないレースです。普段は競輪で見せられない自力を出して仕掛けていく姿や、積極的に勝負していく先行姿勢を見てもらえたら嬉しいです。

 入場パフォーマンスや会場演出も楽しめると思うので、応援よろしくお願いします!


 インタビュー時にはPIST6オリジナルTシャツも着用してくれていた神山拓弥選手。PIST6でのパフォーマンス同様、サービス精神たっぷりに応じてくれた。競輪での戦い方とはまた別で、PIST6の個人戦では「自分の力でレースを走りたい」と力が入っていた。また「とにかく会場の雰囲気を楽しんで欲しい」と、自ら風を巻き起こしていく気持ちも熱かった。神山選手は別開催を希望していたが、願わくばリベンジを誓う雨谷一樹選手との再戦も期待してしまう。神山選手の次回参戦が楽しみだ。(取材・構成:netkeirin編集部)

◆神山拓弥選手のプロフィール(取材時)

出身  :栃木県
生年月日:1987/1/24
班級  :S級1班
府県  :栃木県
身長  :174cm

【SNSはコチラ】
神山拓弥選手 Twitter

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