2022/02/13(日) 12:00 0 5
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今回は全国のマーク屋諸氏がうなった競輪伝道師の好プレー! 前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
2月6日の静岡記念最終日、決勝…を前に、3日の初日特選に触れよう。
佐藤慎太郎(45歳・福島=78期)は浅井康太(37歳・三重=90期)マークという決断をした。現場でどよめきが起こったのは想像に難くない。なぜなら深谷知広(32歳・静岡=96期)ー郡司浩平(31歳・神奈川=99期)の3番手ではないか、と想定されたからだ。
連係実績は無論、深谷と郡司の方が多い。3番手も悪い位置ではないし、固める仁義もある。だが、「1着を狙うなら」と浅井の後ろとコメントした。言わずと知れた競輪伝道師の“シンタロウ”だ。
このコメントが「あれっ? 」「いいの…? 」と思われることも考えただろう。その上でこの位置に決め、直線強襲の3着。そして決勝を前に…。また浅井の後ろもあったが、ここは郡司も一人だったのでそちらの後ろ。
「ムムっ」。マークを生業とし、それで飯を食っている。誇りもある。その決断…。
マーク屋の価値、を掘り起こそうという作業ではないかと感じた。様々なルール変更の末、自力全盛と言われる現在だからこそ、マーク屋の主張を露わにした。決勝。勝てる位置を確保する郡司を丁寧に追走し、郡司がその位置にいるからこそ見える直線のVコース。地味に打鐘過ぎから内を締めて後ろにいる単騎選手がしゃくってこないようにしていたのも見逃せない。
走りも素晴らしいが、こうしたコメントでの意思表示の末に結果につなげたすごさには、全国のマーク屋諸氏がうなったことだろう。レース内外での存在感を発揮し、マーク屋がレースを、シリーズをリードした。近年みられなかった光景だ。長くSNSでもファンへのアピールを行っており、今回はファンをも巻き込む活動でもあった。
これだけの“仕事”はそうそうできない。シンタロウだからこそできた★5つの優勝への過程があった。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)