“おっさん”と呼ばれている選手がいるのをご存じだろうか。
『あのおっさん…』のような、年上の名前を挙げたくない時に言うニュアンスとはまた違う。親しみを込めておっさんと呼ばれている。徳島支部の吉川嘉斗だ。まだ28歳。世間ではオッサンと言われるはずがない年齢だ。

　しかし、徳島や四国界隈ではすっかり定着した愛称である。keirin.jpの吉川のニックネームの欄にもおっさんと記載されている。ひょっとして気に入っているのでは!? 由来なども含めて本人に直撃してみた。会話をして顔を見ると、なるほど、おっさんか、と思わされてしまったりもするのである。

「小川真太郎が悪いんですよ！ 由来はアイツに聞いてみてください。高校からずっとですよ。アイツのせいです(苦笑)」

　なんとなんと。口ぶりからは、とうてい気に入っていない様子。まぁおっさんと呼ばれてうれしい人間なんかいないか…。いや、そちらではない。小川真太郎が名付け親だったとはびっくりだ。

「真太郎は小松島西高校の自転車部の同級生です。アイツが高校生の頃におっさんと呼び出して、それから定着しましたね」

　今では同じ競輪選手。前期はS級に在籍したが、まだ小川との連係はないそうだ。来期はS級復帰が決まっており、今度こそ同級生ラインがかなうかもしれない。そんな吉川だが、高校3年生の初めての弟子が競輪選手養成所の1次試験に合格したらしい。

『師匠も負けていられないですね』と向けると、「いや、そういうのはないです」。

　最後まではしゃぐことなく、おっさんのように落ち着いていたのである。(netkeirin特派員)