アプリ限定 2025/10/21(火) 12:00 0 3
いよいよ23日に開幕するGI「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」。同大会は5月に行われた「全プロ競技大会」で上位成績を収めた選手が出場できる大会となっているが、競輪との親和性が高い競技はいったい何なのか、車券を買う上でどの組を狙うと美味しいのか? について考察していく。
10月23〜26日に前橋競輪場で開催される「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」。
寛仁親王牌の大きな特徴は例年春に行われる「全日本プロ選手権自転車競技大会(以下「全プロ」)の結果が重視されることだろう。そのため、普段のビッグレースとは違った顔ぶれになることも多い。
その中で一つ疑問として浮かび上がってくるのがトラック競技と競輪の親和性だ。トラック競技で強い選手が必ずしもそのまま競輪でも強いとは限らない。しかし競技の中でも競輪の成績と相関の強い種目、弱い種目はあるのではないか? 今回はそのポイントに着目して様々な検証を行っていく。
まずは単純に競技別でどの種目が好成績を残しているのかをチェックしていこう。直近3大会での全プロ個人競技1〜3位、団体競技1位チームのメンバーの親王杯での成績をまとめた。
なお、20年〜22年は新型コロナウイルスの影響で全プロが開催されなかったため集計対象期間は、19年と23年〜24年の3大会としている。
競技名 | 勝率 | 優出数 | 最高成績 |
---|---|---|---|
ケイリン | 12.5% | 1回 | 決勝5着 |
1kmT.T | 9.4% | 0回 | 準決勝敗退 |
スプリント | 13.9% | 3回 | 決勝3着 |
チームスプリント | 0% | 0回 | 準決勝敗退 |
個人パシュート | 0% | 0回 | 二次予選敗退 |
チームパシュート | 13.9% | 0回 | 二次予選敗退 |
エリミネーション | 0% | 0回 | 二次予選敗退 |
勝率・最高成績共に最も優れているのはスプリントだ。河端朋之が23年、24年と連続で優出を果たし、昨年は佐々木悠葵も決勝へと勝ち進み見せ場を作った。
そのスプリントと並んで勝率1位の成績を残しているのがチームパシュートだ。しかし、最高成績自体は二次予選敗退と決して優れているわけではないため、車券を買うのであれば予選・負け戦が狙い目になってくるだろう。
上記では勝率・成績という点にフォーカスしたが、ギャンブルにおいては必ずしも「勝率が高い=儲かる」というワケではない。
ここからは回収率について調査していく。3連単で競技別の対象選手から「(対象選手)ー全ー全」で流した時の回収率を検証した。結果は以下の通り。
競技名 | 回収率 | 最高配当 |
---|---|---|
ケイリン | 32.7% | 44,590円 |
1kmT.T | 11.7% | 10,740円 |
スプリント | 52.1% | 50,940円 |
チームスプリント | 0% | ー |
個人パシュート | 0% | ー |
チームパシュート | 102.6% | 109,060円 |
エリミネーション | 0% | ー |
意外なことに優出者を3名出しているスプリントよりも最高成績が二次予選敗退のチームパシュートの方が回収率が倍近く高い結果となった。点数が多く、決して期待値が高いとは思えない全通り流しで回収率100%を超えるというのはなかなか驚きのデータと言えるだろう。
チームパシュート好成績の要因となっているのが19年・23年のチャンピオンである神奈川チームの存在だ。メンバーである小原太樹、嶋津拓弥、佐々木龍、堀内俊介全員が集計期間内で1着を取り万車券を生み出している。
中でも抜けて高配当だったのが、佐々木龍が出場した19年前橋親王牌の初日予選6R。当時まだバリバリの自力選手だった吉澤純平、山本伸一といった110点越えのトップレーサーが相手という厳しい番組だったが、先行する吉澤の番手を回る神山雄一郎のインに潜り込んで捌き番手を奪取すると、そのまま最後の直線で抜け出し109,060円という驚愕の高配当を演出した。
今年も全プロで2位に入り出場権を獲得した神奈川チーム、今開催も要注目の存在であることは間違いない。
ここからはこれらの傾向を踏まえたうえで今年の親王杯で注目したい選手をピックアップする。
上記の回収率集計では1着でないとカウントされないため、スプリント組は儲からないというイメージを連想させてしまったかもしれないが、河端に関しては直近2大会連続で優出、そして8走して1着1回、3着3回と半分以上で着に絡む堅実な走りで車券に貢献している。
近況のデキも上々で、一番直近で走ったグレードレースである青森記念では二次予選で新星・山崎歩夢を粉砕し、準決勝でも郡司浩平に食らいついて2着を確保し優出を果たすなど、9車戦でもキッチリと自分の持ち味を出し切れている。
トップスピードに高い河端にとって高速バンクである前橋は好条件のハズ。PIST6の絶対王者がドームで躍動する。
前述の通り、親王牌とは相性の良い小原。昨年も③②②②と4日間確定板入りを果たす抜群の安定感で準優勝という好成績を残した。
ただ、直近2大会の舞台である63.1mと直線が長い弥彦から33前橋に変わるのはタテ型の小原にとってプラスなのか? という疑問は少し感じるところではあるが、今の南関東は郡司浩平、深谷知広、松井宏佑とGI級の強力な自力型が揃っており、それらの選手の仕掛けにしっかりと追走できればチャンスは訪れそうだ。
過去のデータを踏まえたうえでの推奨という趣旨とはズレてしまうが、上記のデータで勝率・回収率0%という残念な数字を叩き出してしまったエリミネーション組の救世主となりうる存在としてピックアップしたいのが小林だ。
昨年のダービー、宮記念と優出を果たすも、8月に練習中の事故の影響で調子を崩しそこから低迷。今年のビッグレースでも準決勝が目一杯という成績になってしまっている。しかし今回の親王牌は地元戦で情けない走りは見せられない。前走の宇都宮競輪でも優勝を果たしているように、この舞台を目標にバッチリ仕上げてきていると見ていいだろう。
常にエリミネーションで上位を争ってきた叔父の小林潤二は今回残念ながら出場が叶わなかった。叔父の想いも背負って必ずや結果を残したいところ。