アプリ限定 2025/10/06(月) 18:00 0 5
10月23〜26日に前橋競輪場で開催される「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」。8月下旬に出場選手108名が発表された。
この大会は、1990年に日本で開催された「世界選手権自転車競技大会」において寛仁親王が名誉総裁を務めたことが由来となっている。近年は前橋競輪場か弥彦競輪場で開催されることが多く、今回も3年ぶりに前橋で開催されることとなった。
この大会の最大の特徴として、毎年5月末に行われる「全日本プロ選手権自転車競技大会(以下「全プロ」)」における成績が考慮される。さっそく選考条件から見ていこう。
【寛仁親王牌 選考条件】※開催時S級在籍
(1) 開催時S級S班在籍者
(2) 寛仁親王牌で3回以上優勝した者(開催時S1)
(3) 選考期間①において2か月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属した者(開催時S1)
(4) 選考期間②における世界選手権トラック種目出場者
(5) 選考期間②における世界選手権に準ずる国際大会トラック種目で1位〜3位となった者
(6) 選考期間②におけるアジア選手権でケイリンまたはスプリントで1位となった者
(7) 過去の五輪トラック種目で1位〜3位となった者(第72回全プロ大会トラック種目出場者かつ開催時S1)
(8) 第72回全プロ大会トラック種目で1位〜3位となった者(ただしケイリンにおいては決勝出場者全員)
(9) 第72回全プロ大会トラック種目出場者で平均競走得点上位者(同点の場合は選考期間①における選考用賞金獲得額上位者)
(10) (1)〜(9)で108名に達しない場合は2024年度地区プロ大会トラック種目出場者から選考期間①における平均競走得点を勘案し選手選考委員会が推薦した者
※選考期間①は2025年2月〜7月の6か月間、選考期間②は2024年8月〜2025年7月の12か月間
選考条件はナショナル勢にかなり有利なものになっているが今年は「世界選手権自転車競技大会」の日程が重なっているため、太田海也、中野慎詞らナショナル勢は出場しない。
よって、今大会の選考のポイントは(8)(9)の全プロ競技大会出場者、成績上位者ということになる。
「全プロ競技大会」は毎年5月に行われる自転車競技の大会でいつものライン戦ではなく「1kmTT」や「チームスプリント」などの種目で競い合う大会だ。では今年の結果はどうだったのか、振り返ってみよう。
出場種目 | 選手名(級班) | 所属地区 |
---|---|---|
スプリント | 1位 雨谷一樹(S1) 2位 河端朋之(S1) 3位 根田空史(S1) | 関東 中国 南関東 |
ケイリン | 1位 吉田拓矢(S1) 2位 岩津裕介(S1) 3位 松本貴治(S1) 4位 山口拳矢(S1) 5位 川口聖二(S1) 6位 金子幸央(S2) 7位 古性優作(SS) | 関東 中国 四国 中部 中部 関東 近畿 |
1kmタイム トライアル | 1位 新田祐大(S2) 2位 菊池岳仁(S1) 3位 村田祐樹(S2) | 北日本 関東 中部 |
チーム スプリント | 1位 寺崎浩平(S1)、岸田剛(S2)、内山慧大(A2) 2位 和田真久留(S1)、松井宏佑(S1)、塩島嵩一朗(S2) 3位 菊池岳仁(S1)、末木浩二(S1)、中島詩音(S2) | 近畿 南関東 関東 |
エリミネイション | 1位 橋本英也(A2) 2位 小林泰正(S1) 3位 内藤宣彦(S1) | 中部 関東 北日本 |
4km個人 パーシュート | 1位 窪木一茂(S2) 2位 近谷涼(S2) 3位 貝原涼太(A2) | 北日本 中部 関東 |
4kmチーム パーシュート | 1位 窪木一茂(S2)、佐々木雄一(S1)、須永優太(S1)、渡辺正光(A1) 2位 小原太樹(S1)、堀内俊介(S2)、佐々木龍(S1)、佐々木眞也(S1) 3位 角令央奈(S2)、原井博斗(S2)、上野恭哉(A1)、橋本陸(A2) | 北日本 南関東 九州 |
※太字の選手は今期S級=寛仁親王牌出場予定
上記からケイリン、スプリント、1kmタイムトライアル1位が初日メイン「日本競輪選手会理事長杯」に、ケイリン決勝2〜7位(失格除く)、スプリントと1kmT.T.の2〜3位、チームスプリント1位が特別選抜予選に出場できる。勝ち上がり詳細は下記で取り上げるが予選免除、準決シードのローズカップに出場チャンスが与えられるなど勝ち上がりに大きく近づくことが出来る。
GIの中では選考条件が特殊な当大会、GIIでは意外な選考漏れもまま目にするがGIの中でもっともそれが多いのがこの寛仁親王牌と言えるだろう。
ナショナル以外の有力どころで言うと賞金15位の阿部力也は全プロ不出場、オールスターでオリオン賞選出の坂井洋は10月斡旋停止と、今年ビッグレース決勝の舞台に立っている選手も選考から漏れてしまった。
有力選手が選考漏れする一方、サプライズ出場の恩恵を受けた選手もいる。ビッグレース初の出場権を手に入れたのは125期の塩島嵩一朗だ。全プロにはチームスプリントの第二走者として出場し、第一走者の和田真久留と第三走者の松井宏佑の橋渡し役という重要な役割を果たし準優勝に貢献した。競輪の方でも6月末にS級特昇を決めると現在は点数も100点台まで上げてきた。高いトップスピードを活かしてこの大舞台でも爪痕を残したいところ。
塩島と同じく今回初のGI出場権を手に入れたのが内山慧大だ。こちらもチームスプリントに出場し寺崎浩平、岸田剛というグレード競走の第一線でも活躍している2人とトリオを組んで見事優勝という結果を残した。その結果GI初出場ながら特選スタートの権利を獲得した。競輪の方では現在点数は90点台前半となかなかS級クラスに適応できていないが、出場するからにはトップ選手相手でも何とか一つ見せ場を作りたい。
寛仁親王牌は4日制のGIとなる。初日のシードレースは2種類あり、格上の「日本競輪選手会理事長杯(日競杯/理事長杯)」1レースと特選予選が2レース設けられている。
日競杯上位5名と特別選抜予選上位2名が2日目メイン「ローズカップ」へ進む。ローズカップ出場選手は失格にならない限り準決勝に進出できる。共同通信社杯競輪では犬伏湧也、郡司浩平が準決勝まで進めず敗退を喫するなど、二次予選クラスのレベルも上がってきているだけにシードの恩恵は非常に大きい。
一次予選9レースでは二次予選2種類への勝ち上がりを競う。上位2着までが準決勝へ4着権利の「二次予選A」、3〜4着は準決勝へ2着権利の「二次予選B」へ進むことになる。
また日競杯6〜9着と特選予選3〜4着と5着のうち選考順位上位1名が二次予選A、特選予選下位は二次予選Bに回る。
準決勝以降は通常のグレードレース同様に、上位3名が決勝進出となる。日競杯組と予選組の勝ち上がり難易度は天と地の差、日競杯組はなんとしてもこのアドバンテージを活かしたいところ。
今回の寛仁親王牌の優勝賞金は昨年から300万円アップの4300万円。決勝4着までが1000万円を超える賞金が与えられる。現在賞金9位の新山響平と10位台前半の選手たちとの差はごくわずか、今回の結果次第ではあっという間に覆るだろう。
また、優勝者には年末のKEIRINグランプリ出場権が与えられる。賞金争いには加われていない選手でも優勝してしまえば一発で逆転できる。
グランプリまで残すビッグレースもいよいよあと2つ。残り少ない平塚行きの切符を掴むのはいったい誰になるのか、見逃せない一戦だ。