アプリ限定 2025/07/16(水) 18:00 0 3
GI・高松宮記念杯競輪も終わり前半戦が終了。後半戦一発目のビッグレースであるGII・サマーナイトフェスティバルを控えたこのタイミングで、競輪界の中心的存在であるS班の活躍と次期S班の座を狙う有力選手について獲得賞金状況から考察した。(※賞金7月14日時点)
前半戦最後のGI・高松宮記念杯競輪(以下:宮記念)は脇本雄太の優勝で幕を閉じた。脇本は元々グランプリの出場権を持っており、準優勝の古性優作も賞金的にほぼグランプリは当確の状態だったため、あまり勢力図に変化は起きなかった。
そのためまだ現状では賞金下位の選手にもグランプリ出場のチャンスは十分にある。ここからは後半戦に向けて今一度、現在の賞金状況をおさらいしていきたい。
さて、ここで競輪界の頂点に位置するS班の賞金状況を見てみよう。7月から繰り上がってS班となった松浦悠士、そして24年末にS班から陥落した選手も含め、賞金ランキング50位以内に入っている11選手をグラフで紹介する。
まずS班の中で現状グランプリ圏内に位置しているのは古性優作、脇本雄太、郡司浩平、眞杉匠、新山響平の5人だ。
脇本は「全日本選抜競輪(GI)」を制し早々にグランプリを決めてはいたものの、ダービーの走りを見て不調ぶりを心配するファンもいた。しかしこの男にとってはそんな心配は無用だった。
圧巻の5連勝でGI制覇、特に準決勝での一本棒最後方からナショナルチームの後輩である太田海也を捲り切った姿は間違いなく完全復活と言い切れるものだった。ここからグランプリ本番に向けて近畿の仲間を何人連れ込めるかどうか。
2位の古性優作はGI未勝利にもかかわらず賞金は早くも1億円を突破した。今年の末も幾度となく大舞台でワンツーを決めてきた脇本との最強タッグを見ることが出来そうだ。
4位眞杉匠、5位郡司浩平も8000万円を突破し、よほどのアクシデントが無い限りほぼグランプリは当確といえる状況だ。
新山響平も8位とさすがの安定感。新山に関しては自身の先行という脚質を考えるとグランプリ本番でアシストしてくれる番手選手も連れていきたいところ。阿部力也、菅田壱道、成田和也らが10位台とチャンスある位置にいるが、年末に共闘してくれる仲間は現れるのか。
一方、現状グランプリ圏内から漏れているのは、犬伏湧也、岩本俊介、清水裕友、松浦悠士の4人だ。
岩本は優勝こそないが大崩れすることなく、コンスタントに着をまとめて12位に位置している。この安定感を維持しつつ、どこかで一発大きく賞金加算が出来れば理想だ。
犬伏は16位とまだ上を目指せる位置にはいるが、今年はビッグレースすべて準決勝止まりなのがやや気がかり。もう一枚殻を破れるかどうかが初のグランプリ出場への大きなカギとなる。
清水は年始に肺血栓を発症した影響もあり、宮記念前は50位圏外と厳しい位置だったが、ここにきて17位まで大きくジャンプアップを果たした。自力脚が戻ってきたことに加え、太田海也の番手を回れる番組が増えたことが躍進の大きな要因だろう。
松浦も宮記念前42位から27位へ大幅アップだ。先日行われた弥彦記念でも鋭いタテ脚を繰り出しており復活の時は近いか。清水とのゴールデンコンビで上位戦線に殴り込みをかける。
またS班陥落からの即復活を狙う選手たちも奮闘している。
深谷知広は年始から好調をキープし6位の位置に。特に直近は宮記念で優出、その後も地元・静岡FIで完全優勝とさらに状態が上向いているように映る。ボーダーとの差を引き離して安泰な位置まで行きたいところ。
28位の山口拳矢は宮記念で0勝、次走の川崎FIでもまさかの準決勝敗退と悪いムード漂うが、3回出場して全て優出を果たしているサマーナイトフェスティバルの舞台で浮上のキッカケを掴みたい。
佐藤慎太郎は1月の松阪記念で骨盤骨折の大怪我を負った影響で50位圏外と苦しい立ち位置だが、小松島記念では佐藤らしさ全開のシャープなタテ脚発揮で4日間確定板入りと復活への兆しを見せた。限界は気のせいであると走りで証明してほしい。
最後に、S班以外の賞金上位選手を見ていきたい。
寺崎浩平は宮記念前9位から2ランクアップの7位に。近況は捲りが多かった寺崎だが、宮記念では初日の捲り不発の反省を活かし2走目以降はオール先行勝負で優出を果たした。ポテンシャルはS班クラスと誰もが認めるところで、寺崎が赤いパンツを履いて走る姿を楽しみにしているファンも多いはずだ。
41歳の浅井康太は9位と年始からずっと圏内で踏ん張っている。依然中部の自力選手は苦戦中で浅井にとっても苦しい状況ではあるが、前が不発でも突っ込めるタテ脚はまだまだ健在だ。新たな自力スター選手が中部に現れてくれれば浅井にとっても楽になるが果たして…。
ボーダー下10位に位置するのは松井宏佑だ。年明けの全日本選抜、ウィナーズカップでは早々に敗退を喫するも、ダービーでは優出、宮記念では青龍賞に進むなどの活躍で徐々に上位勢へと迫っている。今年のグランプリの舞台は地元・平塚、初のグランプリ出場を地元で果たすことはできるかどうか。
また、13位の松谷秀幸、19位の和田真久留も松井と同じく地元の大舞台を目指す。和田は自力も備えているものの、最近は2人とも番手を回るシーンが多い。その中で郡司、深谷、松井らの後ろを回れるような番組が巡ってきた時に好展開を活かせるかどうかがグランプリ出場を大きく左右する。
今年から4日制となり賞金が2900万円と昨年からほぼ倍増したサマーナイトフェスティバル。ここでは取り上げなかった選手たちも今回の結果次第でいきなりグランプリ圏内ということも大いにあり得る。2025シーズンもいよいよ後半戦、ファンの方にはぜひ賞金争いにも注目してビッグレース戦線を楽しんでほしい。