アプリ限定 2025/07/08(火) 18:00 0 6
7月18日に後半戦最初のビッグレース、「サマーナイトフェスティバル(G2)」が開幕する。今大会から4日制へと変更、その他にも多く変更が行われており、ここではその変更点や当大会の選考基準について解説する。
7月18〜21日に玉野競輪場で開催される「第21回サマーナイトフェスティバル(G2)」。5月下旬に出場選手が発表された。
サマーナイトフェスティバルは2005年から始まったG2で、昨年までは3日制、ガールズ戦との同時開催で行われていたが、今開催からは4日制、ガールズ戦廃止、出場選手が81人から108人に拡大、準決シードのアルタイル賞設立など多くの改革が行われた。
選考条件は下記のとおり。
【サマーナイトフェスティバル選考条件】※開催時S級在籍
(1) S級S班在籍者
(2) パリ五輪自転車競技トラック種目代表選手
(3) KEIRINグランプリ2024優勝者
(4) G1優勝者
(5) G2優勝者(ヤンググランプリ含む)
(6) G3優勝者
(7) F1優勝者(回数が同数の場合は、選考期間における平均競走得点上位者)
(8) 平均競走得点上位者(同点の場合は選考期間における選考用賞金獲得額上位者)
※選考期間は2024年11月〜2025年4月の6か月
メインの選考条件になるのは(4)〜(7)。G2選考の特徴として、F1開催での成績が重視される。条件には「(8)平均競走得点上位者」とあるが実際ボーダーを見てみるとF1優勝1回以上が最低ボーダーで、(8)に該当する出場選手はいなかった。そのため競走得点が高くても優勝はないという選手は軒並み選考漏れする結果となった。(※(1)〜(2)条件で出場の選手を除く)
「F1優勝」にKEIRINアドバンスは含まれるのか? と疑問を抱く方もいるだろう。調査してみたところ、宇都宮アドバンスを制した橋本瑠偉は選考期間中それ以外の優勝が無く、F1優勝1回以上という最低ボーダーを考えるとアドバンスは選考に含まれていると考えられる。
下記の表にはダービーに出場した選手のうち、サマーナイトフェスティバルの選考から漏れてしまった選手を記載する。
各地区の主な選考漏れ
地区 | 選手名 |
---|---|
北日本 | 守澤太志、阿部力也 |
関東 | 吉澤純平、吉田有希 |
南関東 | 和田健太郎 |
中部 | 藤井侑吾、谷口遼平 |
近畿 | 南修二、山田久徳 |
中国 | 岩津裕介 |
四国 | 小倉竜二 |
九州 | 北津留翼、山崎賢人 |
先日の久留米記念を制した南修二、6月の別府記念を制した守澤太志、地元・岡山のトップレーサー岩津裕介らが出場を逃している。
グレードレースのあっせんが多い選手はS班をなぎ倒して優勝しない限り出場権獲得はかなり厳しくなる。上の表で取り上げた選手たちは常にG1戦線で戦っており、穴場である裏開催のG3を走る機会もないため、チャンスが非常に少なかった。
トップレーサーの選考漏れは残念ではあるが、その分普段なかなかビッグレースを走る機会のない若手にとってはチャンスだ。
谷和也は4月のいわき平F1で優勝を果たし、その後も4月の前橋F1決勝では小林泰正、菅田壱道とG1クラスの自力2車を撃破、6月の富山G3でも優出を果たすなどの活躍で点数は急上昇。悲願の初ビッグレースの出場権を手にした。大舞台でも臆せずに得意のカマシ先行で見せ場を作りたいところ。
また同じくビッグレース初出場となる格清洋介は選考期間中に2度F1優勝を果たしている。24年11月の岐阜F1では山崎賢人、志田龍星、1月の伊東F1では吉澤純平と、どちらもG1クラスの選手を破っての優勝であり、初の大舞台で波乱を巻き起こす可能性も大いに秘めている。
上位陣の壁は高いが、若い力が競輪界に新たな風を吹かすことに期待したい。
次に初日特選について解説していく。
選考条件は前年のグランプリ優勝者に加えS級S班、選考期間のG1、G2、G3優勝者とF1優勝者がV回数が多い順に選出されている(同数の場合は競走得点で序列)。
G2にはヤングGPにも含まれており、今大会は纐纈洸翔がその枠で出場予定。若き実力者が既存勢力に殴り込みをかける。
また意外なメンバーとしてもう一人取り上げたいのが選考順位103位の芦澤辰弘だ。芦澤は競輪祭の裏記念として開催された24年11月の四日市G3を制しており、今回初日シードの権利を手に入れた。このビッグチャンスを活かして上位進出を狙いたいところ。
全出場選手の平均得点は109.59点と同じG2であるウィナーズカップの108.45点と1点以上高くなっている。レースの格は関係なくとにかく"1着"を積み上げる必要があるウィナーズカップに対し、ある程度の実力が必要となる"優勝"が求められる方が実力者が集まりやすい傾向にあると考えられる。
また個人でいうと出場選手中最も競走得点が高いのは古性優作(119.21点)だ。今年もウィナーズカップ優勝、ビッグレースすべて優出など抜群の安定感で他を圧倒している。反対に最も低いのが格清洋介(97.45点)だ。ただ上記でも取り上げた通り秘めているポテンシャルは高く、点数が低くても侮れない存在だ。
次に地区別の勢力図をチェックしていこう。
地区 | 出場選手数 | 平均競走得点 |
---|---|---|
北日本 | 17 | 109.28 |
関東 | 20 | 109.07 |
南関東 | 15 | 111.45 |
中部 | 8 | 110.76 |
近畿 | 14 | 108.37 |
中国 | 9 | 110.14 |
四国 | 7 | 112.48 |
九州 | 18 | 106.55 |
※7月7日時点の出場予定選手を集計
出場選手が最も多いのは関東勢、昨年覇者の眞杉匠をはじめとした強力選手が揃っており、地区としての連覇に期待がかかる。
平均競走得点が最も高いのは四国勢だ。大黒柱の小倉竜二の選考漏れは痛手だが、犬伏湧也、石原颯らの若手を中心に少数精鋭の体制で挑む。
またサマーナイトフェスティバル大改革の中でも特に大きく変わったのが勝ち上がり方式だ。
昨年までは初日特選は1レースのみ、予選勝ち上がりは2着条件と初日から少ない枠をかけて熾烈な争いが行われていた。
しかし今大会からは初日特選は3レース、さらに初日特選の1〜3着選手は準決シードの「アルタイル賞」に進むことが出来る点がG3と異なるところ。G1寛仁親王牌に似ているといえそうだ(初日に理事長杯・特選がある点が異なる)。
また予選突破の条件も緩和され、一次予選は1〜2着の選手が二次予選A(4着まで準決勝進出)、3〜4着の選手が二次予選B(2着まで準決勝進出)に進むことが出来る。
準決勝は3レースで、ここからはほかのグレードレースと同じく各レースの上位3名が決勝に駒を進める。
また、大会規模が大きくなったことに伴い賞金額も大幅アップ。昨年の優勝賞金は1500万円であったのに対して今年は2900万円とほぼ倍額となった。
後半戦に突入し、選手たちも徐々に賞金争いを意識し始める段階だろう。昨年よりも大幅アップの高額賞金を懸けてトップレーサーたちが夜の玉野バンクで熱戦を繰り広げる。