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【今週の競輪好プレー】脇本雄太による競輪史上初“完全全冠” / 豊橋GI・最終日12R決勝

2025/02/26(水) 12:00 0 13

東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週はGIの舞台で脇本雄太が見せた史上初の好プレーならぬ“大プレー”をお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。

2月24日 豊橋競輪「読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)」S級 決勝

脇本雄太は前人未到の地にたつことになる

 競輪史上、初めての瞬間が訪れた。豊橋競輪場の「第40回全日本選抜(GI)」の最終日は2月24日。歴史的瞬間ーー。
 グランドスラムは、井上茂徳(引退=41期)、滝澤正光(引退=43期)、神山雄一郎(引退=61期)、新田祐大(39歳・福島=90期)の4人が達成している。

 井上、滝澤の両氏は、寬仁親王牌がGIになる前の記録。神山、新田の2人はグランプリは勝っていない。グランプリを含めた全館制覇、となると脇本雄太(35歳・福井=94期)が初めてとなった。ワッキーが、成し遂げた。ワッキー…。

 大宮記念の後、腰の中枢に水がたまり、今節も欠場かもしれないという状況だった。2021年に1年の延期の後の開催となった東京五輪に向けて、心身ともに、心技体100%、金メダルを取れる、世界一の状態にして仕上げていった。

 五輪は準決の接触のアクシデントがあり、決勝に進めなかったものの、勝てた…といえる。そこまで、仕上げた。人生最高の状態。

 その後、壊れた…。

 昨年11月「競輪祭(GI)」を優勝し、当大会「全日本選抜」を優勝すれば、完全グランドスラム、グランプリスラム、という前人未到の地にたつことになる。しかし、いい状態ではない。気持ちひとつで、現在の体で、戦い、たどり着いた。

 決勝12Rは任せた寺崎浩平(31歳・福井=117期)がまくる流れ。脇本としてはかわすだけ。『好プレー』という表現ではなく、ここでは『大プレー』としたい。GI6個とグランプリ1個なので、★は7個。この瞬間、今まで誰も見たことがない瞬間を必死に作りあげた。好プレーとしては、必死、がある。

 ここ数年で競輪を始めたファンは知り得ない時代がある。日本で一番、先行にこだわり、先行で戦い抜いてきた。何度も何度も強敵を相手に膝を屈してきた。彼の涙は、涸れている。その男がたどり着いた競輪選手として初の栄誉。美しさかない。

暴走失格となった中釜章成

 末尾になるが、中釜章成(26歳・大阪=113期)の暴走失格について。2023年8月の吉田拓矢(29歳・茨城=107期)のケースの時も書いたが、この暴走失格のルールは競輪にはいらないと思う。競輪の歴史に、その流れている空間に沿っていないルールだと思う。

すごいで賞=★★★★★★★(星7つ)

▶︎豊橋競輪2月24日 12R S級決勝の結果はこちら
▶︎前田節満載のコラム「前田睦生の感情移入」はこちら

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