アプリ限定 2025/03/09(日) 18:00 0 4
3月20〜23日に伊東温泉競輪場で開催される「第9回ウィナーズカップ(GII)」。1月末に出場選手が発表された。
ウィナーズカップはその名の通り「勝者の集い」。選考条件は1着回数が重視されており、車券貢献度の高い選手が選出される。
ただし、選考の特性上、前S班の選手が選考漏れしてしまう前例が多々ある。今年も佐藤慎太郎と山口拳矢が出場権を逃している。
【ウィナーズカップ選考条件】※開催時S級在籍
(1) S級S班在籍者
(2) パリオリンピック自転車競技トラック種目代表選手
(3) 選考期間において2か月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属した者(開催時S級1班在籍)
(4) (1)〜(3)を除く選考期間における1位回数上位30名(同数の場合は選考期間における2位回数、同3位回数、同平均競走得点上位者)
(5) ヤンググランプリ2024出走者
(6) 選考期間におけるFI決勝1〜3位回数上位者(同数の場合は選考期間における平均競走得点上位者)
※選考期間は2024年7月〜12月の6か月
メインの選考条件となるのは(4)と(6)で、これが前S班に不利に働いていそうだ。S班はGIII以上にしか出場しないため、ほかの選手に比べて「1着」の難易度が高い。(5)に関してはFIに出走しないので対象外だ。つまり「1着回数30位以内」に入ることができなければ、出場のチャンスは実質的に潰えることになる。
またS級1班でも、Gレースを主戦場としている選手には苦しい条件となる。エース級の選手が参加できないことは、同地区の選手たちにとっても痛手となりそうだ。
今回も前期S班を筆頭に選考から漏れてしまった有力選手が多数。このメンバーの共通点としてグレードレースへのあっせんが多く、「選考期間におけるFI決勝1〜3位回数上位者」という選考条件をクリアすることが困難だったことが選考漏れの大きな要因と考えられる。
選手名 | 1着(全競走) | 1着(FI決勝) | 2着(FI決勝) | 3着(FI決勝) |
---|---|---|---|---|
佐藤慎太郎 | 8回 | 出走なし | 出走なし | 出走なし |
吉田拓矢 | 9回 | 0回 | 0回 | 0回 |
森田優弥 | 13回 | 0回 | 2回 | 1回 |
和田真久留 | 13回 | 0回 | 1回 | 0回 |
山口拳矢 | 10回 | 出走なし | 出走なし | 出走なし |
南修二 | 9回 | 0回 | 1回 | 0回 |
窓場千加頼 | 12回 | 0回 | 1回 | 1回 |
桑原大志 | 4回 | 0回 | 0回 | 0回 |
小倉竜二 | 2回 | 0回 | 0回 | 1回 |
荒井崇博 | 12回 | 0回 | 1回 | 0回 |
北津留翼 | 4回 | 0回 | 0回 | 1回 |
今回ウィナーズカップに出場する正選手の直近の平均競走得点は107.45(3月5日時点)。最も競走得点が高いのは眞杉匠(119.0点)で、低いのは稲毛健太(100.1点)だった。
稲毛健太は直近4か月で1勝と調子を落としてはいるが、11月の松戸FIで優勝、過去にも多数ビッグレースに出場してきた実力者で点数が低くても戦える力は十分に備えている。
またウィナーズカップならではの選出という点でもう一人注目したいのが佐藤博紀だ。佐藤は今回特別競走への出場は20年の寛仁親王牌以来。競走得点こそ100.55点と今回の出場者の中ではかなり低い部類だが、選考期間中の1着回数は18回で、全41走のうち25回が確定板という非常に車券貢献度の高い選手である。人気がなくても展開がハマれば、大穴一撃のチャンスも十分にある。
さて、特殊な選考条件だが、各地区の選手数に偏りは出ないのだろうか? 全日本選抜競輪と比較して、以下の表にまとめてみた。
地区 | ウィナーズ | 全日本選抜 |
---|---|---|
北日本 | 20 | 15 |
関東 | 21 | 20 |
南関東 | 12 | 13 |
中部 | 8 | 8 |
近畿 | 13 | 14 |
中国 | 8 | 10 |
四国 | 10 | 9 |
九州 | 16 | 19 |
※3月5日時点の出場予定選手を集計
調べてみたところ2月のGI全日本選抜と比較して一番出場枠が増えたのは北日本。佐藤慎太郎、成田和也などといった有力選手が選考漏れしても、中野慎詞、小原佑太、窪木一茂のナショナル組、それ以外にもヤンググランプリに出場した大川剛などフレッシュな若手が揃っていることが席数増加の要因となっている。
また、席数が1番多い関東の層の厚さにも注目だ。平原康多、眞杉匠の絶対的リーダーの二人を佐々木悠葵、坂井洋、小林泰正らの未来のニューリーダーたちが後押し。その他にも山口多聞、吉田有希らまだ20代前半のウィナーズカップらしい期待の若手も揃っている。若武者の活躍にも期待だ。
初日の10R〜12Rの3R行われる初日特選のS班8名(犬伏湧也は4月からS班格付けのため)以外の19名は開催自体の選考と同様に選考期間内の1着回数の多い順で出場選手が決まる。今回は初日特選に出場する選手のうち、なんと8名が全日本選抜に出場していない選手となっている。
中でも林慶次郎は今回ビッグレースの出場自体が20年の競輪祭以来4年ぶりでいきなり特選に選出された。以下、全日本選抜に出場していない特選メンバーを表にまとめた。
競輪選手名 | 選考期間 1着数 | GI・GII最高成績 |
---|---|---|
石原颯 | 19回 | 準決勝敗退(2022・高松宮記念杯) |
野口裕史 | 19回 | 準決勝敗退(2023・ウィナーズカップ) |
池野健太 | 19回 | 一次予選敗退(2024年・日本選手権) |
中井太祐 | 19回 | 二次予選敗退(2021年・ウィナーズカップほか) |
青柳靖起 | 17回 | 一次予選敗退(2024・ウィナーズカップほか) |
林慶次郎 | 17回 | 一次予選敗退(2020年・オールスターほか) |
大矢崇弘 | 16回 | 一次予選敗退(2024年・競輪祭) |
高久保雄介 | 15回 | 二次予選敗退(2019年・共同通信社杯) |
ウィナーズカップはGIのように優勝してもGPへの出場が確定するわけではないが、優勝賞金は2700万円、準優勝でも1380万円と高額であり、賞金争いにも大きくかかわってくる。
昨年の優勝者、脇本雄太は競輪祭優勝でグランプリの権利を獲得したが、競輪祭前の時点でも賞金ランキング8位と出場圏内に位置していた。昨年の脇本はダービー欠場、GIも競輪祭以外では決勝で確定板に乗ることがなかったのにもかかわらず、賞金上位に位置していたのはこのウィナーズカップ優勝によるところが大きいだろう。
初日の一次予選は4着までが勝ち上がり。初日シード組は3着までが準決シードの『毘沙門天賞』への出場権を獲得できる。そして2日目二次予選は3着までが準決勝へと勝ち進む。先月行われた全日本選抜と全く同じシステムだと言えばイメージしやすいだろうか。
GIIではあるが、狭き門を潜り抜けた選ばれし戦士たちがGIに引けを取らない熱いレースを見せてくれるだろう。20日から始まる激闘は、一瞬たりとも見逃せない。