2025/01/23(木) 12:00 0 5
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は57歳の倉岡慎太郎が見せた前団をのみ込んだバックからまくりをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
平塚競輪場のミッドナイトFIIの2日目、1月18日のことだ。
1R、九州は57歳の3人が結集し、倉岡慎太郎(57歳・熊本=59期)が伝家の宝刀を抜いた。後ろには竹野行登(57歳・鹿児島=64期)、安藤雄一(57歳・福岡=59期)と並んでいた。6車立てで渡邉正人(34歳・福島=100期)と倉岡の二分戦。
倉岡はもう57歳。人の後ろを回ることばかりになった。だが、かつては日本一と称されたダッシュを生かしての自力戦でファンを魅了してきた。どんな仕掛けでも最後は失速、タレてしまうので“黄金のタレ”と呼ばれていた。
倉岡は「不知火の矢沢永吉」、竹野は「鹿児島の要潤」、安藤は「小倉のリリー・フランキー」と呼ばれている。
今回の好プレーは2ヶ所。倉岡がまくったところがピークになるが、アシストが良かった。周回の途中は竹野が倉岡の前にいて、赤板のところで渡邉に並びかけ、誘導を下げた。わずかにでも倉岡に脚を使わせず、渡邉を翻弄し消耗させる一手だった。
その後竹野は倉岡の後ろに収まり、渡邉がペースをつかんでいく。一撃。一瞬のキレを持って倉岡はバックからまくりで前団をのみ込んだ。3番手の安藤は付いていけなかったものの、竹野とのワンツー。倉岡は押し切った。
「75歳ですよ!YAZAWAは!」
今年ビッグイベントを控えているYAZAWAのすごさを昨年熱く倉岡は語っていた。57歳、若くはないが、老いる必要はない。★5つの好プレーが、2025年もベテランが彩る競輪を知らせてくれた。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)