2024/12/24(火) 17:00 0 7
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は深谷知広の圧巻の先行を見せた好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
佐世保競輪場の大阪・関西万博協賛「開設74周年記念 九十九島賞争奪戦(GIII)」の3日目、12月21日は深谷知広(35歳・静岡=96期)が、いつもの走りを見せてくれた。“競輪でこれができればカッコいい”を体現する。
いつもの、と書いたが、容易にできるものではない。脚力と気持ちと、ラインの連係とファンの思いと、様々なものがかみ合わないと生まれない。それを深谷は何度も何度も届けてくれている。
今回の好プレーは、圧巻の先行。そして、番手を回り1着だった荒井崇博(46歳・長崎=82期)の無上の称賛「高級リムジンに乗っているようだった」に尽きる。
前受けから突っ張る、というのは現代競輪の主戦法になっている。現行ルールの中で、有利かつ最強の戦い方であり、新山響平(31歳・青森=107期)が代表格だ。
準決12R、地元の2人に任された深谷は蕗沢鴻太郎(29歳・群馬=111期)の上昇を突っ張る。蕗沢は淡白な一面を持つが、このレースではしぶとくあきらめない。もがき合いは長引き、競輪の原理的には別線のまくりごろ。
橋本壮史(29歳・茨城=119期)、杉森輝大(40歳・茨城=103期)、浅井康太(40歳・三重=90期)と脚を伸ばしてくるが、届かない。荒井とのワンツーで、深谷は2着に残った。深谷の3番手にいた瀬戸晋作(31歳・長崎=107期)まで決勝進出なら★5つとするのがわかりやすいわけだが、深谷への礼儀として、そうではなかったことで★4つとしたい。
求めているものが高く、自分に厳しいからこそ、この走りができる。デビュー当初、『深谷が競輪を変えた』と言われた。多くの選手のレベルアップにつながり、今の競輪界の盛り上がりの下地になった。そしてそれは、続いていく。
すごいで賞=★★★★☆(星4つ)