2024/11/19(火) 07:00 0 1
1948年11月20日に初の競輪が小倉競輪場で開催されたのを記念して、毎年競輪祭が開催されるようになって、今年で第66回目。ぜひ本場へ来場される方にご覧いただきたいのが競輪場内4Fの3〜4コーナー付近に飾られている歴代優勝者の写真! 日本名輪会の方々、解説者になったあの方、今も現役で走っている選手などなど、錚々たるメンバーがズラッと第1回目〜66回目まで並んでいて、競輪祭の歴史を覗いている気分になれますよ!
中でも圧巻なのは第37回からズラッと3年連続で神山雄一郎選手が制しているところ! それだけでも凄いのに同じ並びの第42回も制しているではありませんか! さすがレジェントと言われるだけあるなあ、と改めて実感したり。
また福岡出身のミスター競輪こと中野浩一さんが第18回時の新人王から始まり第20回を封切に過去最多の5Vをとっているのを再確認して、中野さんにも新人の頃があったんだなぁ、なんて勝手に想像してニヤニヤしてしまったり。
去年を第1回目として「競輪祭女子王座戦」も始まり、果たしてこの後、どの選手の写真が並ぶのかなと思いを馳せてしまいましたね。
それにしても競輪祭の見どころと言えば “今年最後のGI”であることや“グランプリへの権利をかけた最後の賞金争い”と毎年同じ見どころポイントではあるのですが、観戦する側の知識や思いが年々、蓄積されていくと不思議とこの大会の深みや見え方がどんどんと変わっていくんですよね!
これこそが“競輪の奥深さ”なのかな? まだまだ来年以降も、もっともっと熟成されて、それでこそ生まれる新たな思いや世界が見えてくるのかな。そう思うと本当に飽きのこないスポーツだなと感じます。そんな中で 今回、前検日の共同インタビューを踏まえて、感じたことをまとめてみました。
屋内で風もなく天候にも左右されないこのバンクは誰にとっても同じ条件であるはずなのに、意外と力の差が出てくるようなんです。一番、印象的だったのは「ダブルグランドスラム」の達成を掲げていて、競輪祭は獲れていない古性優作選手の一言。
「小倉バンクは好きじゃない。周り(ナショナルチームを差していると思われる)との差を小倉だとより感じる。前にも話した通り、今はナショナルチームと一緒に練習し、4年計画を遂行中なので、4年後には克服出来ているように」
そして、同じようなことを脇本雄太選手も言ってまして…
「去年も同じような立ち位置(賞金ランキング8位とボーダーライン)だったので心境はそんなに変わらないが、近畿勢にとって相性が悪い大会(笑)。競輪祭に向けて合宿を組みたくて(親王牌以来は走っていなかったが)自宅にジムを作ってナショナルチームと同じ基準の機材を揃えて、勝てるようにと練習してきた」
今の競輪界を背負って立つ2人はビッグレースを合わせて19回も優勝していますが、それでも2人とも競輪祭をとっていないなんて、どうゆうこと!? ちなみに歴代優勝者で遡ってみたところ、第7回の加藤晶さん(5期・京都)、第3回の石田雄彦さん(期前・大阪)以来、近畿勢の優勝はないらしく、59年振りにそのジンクスを打破できるのかも楽しみになってきました。
そして私の中で期待値が高いのは新旧ナショナルチームの新山響平選手と中野慎詞選手の北勢と2日目に走る元ナショナルコンビの深谷知広選手と松井宏佑選手の南関東勢。
「ドームは自分の持ち味を生かしやすく、走りやすく(2022年当大会優勝2021年2016年準優勝実績あり)相性はいい。前回の四日市記念の優勝は中野くんのお陰で本人も優勝出来る力はあったと思う中で、華を持たせてくれていい後輩を持ちました。自分の状態は結果と感覚がマッチしていない。仕上がっていないが、3日間追い込んで、3日間調整をして疲れはとれてきた」
「オリンピックに全てをかけていた。落車もあり4位だったが素晴らしい経験になった。終わってからは競輪を走りたくて走りたくて仕方なかったがコーチから止められ共同通信社杯は走れず…。今までにないくらい鉄フレームで練習出来ている。ナショナルチームはオフ期間で静岡の北400(競輪養成所内にあるバンクの通称だとか!?)で練習してきましたが悪くない。よりいい状態で走れるのではないかなと。去年の競輪祭は積極性に欠けていた結果だった。今回は積極的に」
四日市記念で非常にいい状態を見せた中野選手と決勝で連携し、番手から優勝しつつも、色々と感じることが多かった新山選手。それでも賞金ランキング7位と少し上積みした上で迎えられる競輪祭は大きいはず。もしもこの2人が決勝戦で連携したら、それこそワンツーで『両者グランプリへ』というドラマチックな妄想が広がる。
「今年を振り返って突き抜けていい時はなく、それなり。悪くはないが良くもない。やることは一緒。初日を走れた方がよかったが考えて走りたい」
「今年はオールスターのみが決勝進出。タイトルをとれなくないと思っている。かなり追い込んできたので、ちょっとオーバーワーク気味。新車が踏める感じがあった。競輪祭は2回決勝に乗っている相性のいい大会」
2人はまさに去年、決勝戦で連携し、深谷選手が逃げて番手から松井選手が飛び出した時には獲ったと思ったほどの大迫力だった。最後の最後に眞杉選手にゴール前で差されてしまったが、今年はすでに南関東勢の郡司選手や北井選手がグランプリを決めているだけに同レースで連携する時は全力でバックアップして貰えそうで、こちらの妄想もまた膨らんでしまったり。
そして第2回女子王座戦も前半3日間で開催されますが、初日から3着までと4着2名のみとシビアな勝ち上がりと目が離せない。
「え? 1R1番車っていいんですか? 私のイメージは(レースは)後半になればなるほど期待されている証拠なのかと思って寂しく思っていましたが、良い方に考えていいんですね。それならよかった。世界選手権では女子ケイリンで(史上初の)金メダル、スプリントで銅メダルと2つ獲れたのは周りのサポートと自分たちの努力。平塚では体調を崩していたが勝ち切ることが出来た。直前は川崎で3日間練習してきた。グランプリどうのってよりはどのレースも勝ちにこだわっていく」
ナショナルチームがパリ五輪を終えるまでの間、ずーっと競輪界を一身に支えてきた児玉碧衣選手も動揺するほどの強さをカムバック戦の平塚オールスターで見せていたことが、まだ記憶に鮮明に残っている。今回も誰もが優勝候補筆頭として期待しているだけに、ただ勝つだけでなく、どんな勝か方を見せつけるのかにも注目したい。
「世界選手権が終わって、楽天Kドリームスでナショナルの引退をコラムで発表させていただきました。競輪界という戻れる場所があってよかった。世界選後にオフもとってからバタバタな状態で立川に入った。賞金争いもないので気楽に走りたいし、この大会の相性も(2018/2019/2023優勝 2020〜2022決勝進出)非常にいい。みんなはこの大会で狙いに行っているが逆にそれがないのがいい結果に結びついているのかも?」
とにかく、こうやって並べるだけでも、いかにナショナルチームがこのバンクとの相性がいいかがわかりますよね? 泣いても笑っても、とにかく今年最後のGIがまさに今から始まろうとしている。私たちもその緊張感を共有しながら、連日、追いかけていきたい。