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【寛仁親王牌】賞金6位までグランプリ安全圏、S班2名が“崖っぷち”…トップ戦線は正念場/GI直前賞金状況

アプリ限定 2024/10/15(火) 12:00 0 20

8月のGIで古性優作が優勝し、4年連続のKEIRINグランプリ出場を決めた。残すGIはあと二つと、2024年の競輪トップ戦線はすでに佳境に入っている。まもなく開幕するGI「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」を前に、S班9名を中心に獲得賞金上位陣の戦いを振り返りたい。(※賞金は10月7日時点)

GIオールスター競輪で優勝した古性優作(撮影:北山宏一)

ようやく現S班がGI優勝

 8月に行われたGI「オールスター競輪」では、古性優作が優勝した。前半戦3つのGIではいずれもS級1班の郡司浩平平原康多北井佑季が優勝しており、現S級S班のGI優勝は今年初となった。

 残すGIはあと2大会。17日からGI「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」が開催される。直前の賞金状況を見てみると、獲得賞金が1億円を超えている選手は4名おり、いずれもGIタイトルを獲得した選手だ。

 では、まずS班以外の賞金上位選手の状況からグラフで見てみよう。

 GIタイトルを獲得した平原康多(1位)に北井佑季(3位)、そして郡司浩平(5位)の3名がすでにグランプリ出場を決め、来年の“赤パン”は確定的だ。

スタートダッシュの岩本と急浮上の窓場

 ダービー準Vに破竹の11連勝と春に活躍した岩本俊介は8位とグランプリ出場圏内をなんとかキープしている。ただダービー後は高松宮記念杯、共同通信社杯で落車棄権とツキがなく、グレードレースを含めても松戸記念での優出(決勝4着)が最高とあまり目立った成績を残せていない。

 急浮上したのはオールスター決勝で古性とワンツーを決めた窓場千加頼で、一時は9位まで順位を上げた。現在の賞金は約6700万円で11位とグランプリ射程圏内に位置している。

オールスター準優勝で大きく賞金を積み増した窓場千加頼(撮影:北山宏一)

 安定感が際立っているのは12位の吉田拓矢。昨年の失格などの影響で7月からS級2班となり、予選スタートとなっているにも関わらずGII、GIIIでは準決勝進出を外していない。

 現時点でボーダーラインを争う6000〜7000万円台には6名(賞金7〜12位)がひしめいており、熾烈な争いが繰り広げられている。

とにかく層の厚い南関東

 すでに郡司浩平北井佑季がグランプリを決めている南関勢は、岩本以外にも14位に和田真久留(寛仁親王牌は不出場)、15位に松井宏佑がランクインしている。

賞金ランキング15位・松井宏佑(撮影:北山宏一)

 和田は北井が制した高松宮記念杯で準優勝。松井はオールスターで決勝4着とGIで成績を残し賞金を積んだ。ともに8月の小田原記念決勝を走り、準優勝が松井、3位が和田という結果だった(優勝は郡司)。このレースは南関7車連係が話題となったが、南関勢の層の厚さは非常に際立っている。

賞金6位まではグランプリ安全圏か

 古性優作がGIを獲り、現S班ではグランプリ切符一番乗りとなった。オールスター開催前までは6名がグランプリ出場圏外だったが、オールスターと共同通信社杯のビッグ2大会を終えて状況はやや変わってきている。

 ここで、S班の獲得賞金状況を見てみよう。

 残り二つのGIを残しすでに獲得賞金2億円にせまる古性が圧倒的で、全体でも首位を独走。S班のなかでは2番目に賞金を獲得している清水裕友に1億円以上の差をつけている。

 その清水は賞金ランク5位で、オールスター前からひとつ順位を落とした。賞金でのグランプリ出場はほぼ手中といえそうだが、オールスターでの失格と共同通信社杯の落車棄権は痛く、骨折のため10月は熊本記念を負傷欠場している。

 次点は眞杉匠で、こちらも賞金でのグランプリ出場へはほぼ安全圏。年初の欠場が響き高松宮記念杯前には24位だったが、GIIサマーナイトで優勝しオールスター前に11位まで浮上し、9月のGII共同通信社杯も優勝。GI決勝に乗ったのはオールスター(9着)のみだが、GIIを連続で仕留め賞金ランク6位まで順位を上げた。

眞杉匠はサマーナイト、共同通信社杯とGIIを連続優勝(写真提供:チャリ・ロト)

ボーダーラインに位置するS班

 “グランプリ出場ボーダー”といえる7位〜12位のうち、半分は現S班が占めている。7位脇本雄太、9位新山響平、10位深谷知広だ。

 3月GIIウィナーズカップで優勝してからしばらく優勝のなかった脇本は、7月の地元福井記念、9月の向日町記念で優勝。GII以上の優出はウィナーズのほかに高松宮記念杯、サマーナイトのみ。ここにきてダービーでの欠場も響いている。

新山響平(撮影:北山宏一)

 “赤パン”2シーズン目の新山は、S班になってからまだ優勝がない。それが不思議なほどに成績は非常に安定していて、今年のGIでは4大会中ダービー以外の3大会で優出している。

 共同通信社杯の初戦敗退は痛かったが、優勝がないなかでコツコツ賞金を積み重ね上位を維持している。優勝から遠ざかっているのは新山の戦法が大きな理由のひとつだが、その“強さ”が輪界屈指であることは間違いない。

深谷知広(撮影:北山宏一)

 そして今年2回のGIII優勝を挙げている深谷。2月武雄記念から間は空いたが10月の熊本記念を優勝し、流れは良い。気になるのは今年GI優出がまだないことで、4大会とも準決勝で敗れている。

 今年のグランプリは深谷の地元・静岡で開催される。21年に移籍して今年6年ぶりにS班に復帰し、“赤パン”でグランプリを制する姿をなんとしても静岡のファンに届けたいはず。深谷のため、層の厚い南関勢が力を結集することも想像にたやすい。まずは寛仁親王牌で、決勝まで勝ち上がりたいところだ。

松浦、山口は崖っぷち… 赤パン維持へは「GI獲るのみ」

 グランプリ出場ボーダーより下位に位置し、獲得賞金が6000万円に届いていないのが13位佐藤慎太郎、19位松浦悠士、25位山口拳矢だ。松浦と山口は賞金争いでのグランプリ出場はすでに厳しく、残りのGIいずれかを獲るしかない状況まで追い込まれている。

松浦山口
松浦悠士(左)と山口拳矢は“崖っぷち”(撮影:北山宏一)

 昨年のグランプリ覇者・松浦悠士は、オールスターでは初日ドリームを制したが準決敗退。最終日特秀では痛い落車失格で終わった。

 共同通信社杯で復帰するも二予敗退と苦杯をなめたが、続く岐阜記念で優勝。10月の熊本記念でも2勝を挙げて準優勝と流れが向いてきた。賞金ランクもオールスター前の23位から順位を4つ上げている。

 S班の中では賞金ランキング最下位となる25位に沈む山口拳矢は、オールスター、共同通信社杯ともに二予敗退。9月の岐阜記念は病気欠場となり、10月の熊本記念も二予敗退と波に乗れずにいる。寛仁親王牌では格上レース「日競杯」からのスタートを活かし、大逆転を狙いたい。

 参考までに、ここまででS班が出場した開催数(途中欠場含む)と優出・優勝回数を表に示した。

競輪選手名開催数優出回数優勝回数
古性優作15145
清水裕友17124
眞杉匠1773
脇本雄太17103
新山響平18100
深谷知広20132
佐藤慎太郎2280
松浦悠士1582
山口拳矢1630

※獲得賞金順、優出・優勝回数にはSPR賞(全プロ記念競輪)を含む。新山響平の開催数にPIST6は含まない

まさに“正念場” 寛仁親王牌を制すのは

 2024年もあっという間に終盤戦に入った。残るGIは2大会、まもなく「寛仁親王牌」が開幕する。言わずもがな、優勝すれば年末のKEIRINグランプリ出場権獲得となる。

 4日制のGIでシードレースもあり、現S班は勝ち上がりが有利になりそうだ。優勝賞金は4000万円、準優勝は2048万円、3位は1321万円と決勝上位3名に1000万円を超える賞金が与えられる。

23年寛仁親王牌決勝メンバー(撮影:北山宏一)

 11月の競輪祭まで続く熾烈なKEIRINグランプリ出場権争い。ここまでで南関が2枠(郡司浩平北井佑季)、関東が1枠(平原康多)、近畿が1枠(古性優作)を獲得している。ここまでの賞金状況や今年の戦績も参考に、GI寛仁親王牌の予想を楽しんでほしい。


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