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【東京五輪】ケイリンと競輪の違いは!? 自転車トラック競技 日本人選手出場種目観戦ガイド

2021/07/29(木) 18:00 0 9

東京五輪でメダル獲得の期待がかかる自転車トラック競技。日本人選手が出場するのは、「スプリント」「ケイリン」「オムニアム」「マディソン」の4種目。それぞれのルールと見どころをご紹介します。(構成=佐藤隼秀)

スプリント/緩急のあるレース展開から目が離せない

3行ポイント解説
・スプリントはタイムトライアルによる予選と勝ち抜き形式の本戦が行われる
・本戦での道中の駆け引きと勝負所ラスト200mの疾走感が見どころ
・個人スプリント戦では、1984年ロサンゼルスオリンピック以来のメダルがかかる

 スプリントは予選でタイムトライアルを行い、本戦へ進んだ予選上位18名が勝ち抜き形式で頂点を目指す種目だ。予選では助走としてトラックを3周した後、ゴール手前200mのタイムを争う。本戦は250mトラック3周で行われ、1対1で先着を争うトーナメント戦となる。

 スプリントの見どころは、本戦による選手同士の駆け引きだ。各選手はレース中、体力を温存するため、風の影響を受けないよう先頭に立つのを避ける。そこで立ち漕ぎの状態でピタリと止まるバランステクニックや急な進路変更で相手の裏をかく攻防が見られる。

 道中お互いの探り合いが続いたのち、勝負どころのラスト200mほどで展開は急変。時速70キロにおよぶ全力疾走が行われ、一気に勝負がつく。緩急あふれるレース展開も目が離せない。

 開催日程は男子は8月4日(水)から予選が始まり6日(金)が決勝、女子は6日(金)から予選が始まり8日(日)に決勝が行われる。それぞれ予選→1/16決勝(1回戦)→1/8決勝(2回戦)→1/4決勝(準々決勝)→1/2決勝(準決勝)→決勝と行われる。

 日本からは新田祐大(2019-20ワールドカップ第4戦スプリント銅メダル)、脇本雄太(アジア選手権2020スプリント銅メダル)、小林優香(アジア選手権2020 スプリント銅メダル)が出場。個人スプリント戦では、1984年ロサンゼルス大会で銅メダルを獲得した坂本勉以来のメダルがかかる。

ケイリン/競輪のようなラインはなく完全な個人戦

3行ポイント解説
・ケイリンは日本発祥の五輪種目として、シドニーオリンピックから採用された
・日本の競輪と違うのは、ラインがなく完全に個人戦であること
・最高時速80キロにも達する激しい勝負が展開される

 ケイリンは柔道に次ぐ日本生まれの五輪種目として、2000年のシドニーオリンピックから採用された。オリンピックのケイリンは1周250mのトラックを計6周する1500m、最大7人で行われる。

 レースは序盤は風よけとしてペースメーカーが先頭を周回する。トラックを3周したあたりで、時速50キロほどまでスピードを上げたペースメーカーが離脱。そこからレースは一気にヒートアップし、最後の1周では最高時速80キロにもおよぶ激しい攻防が展開される。

 「日本の競輪」と「オリンピックのケイリン」が異なる点は、ラインがなく完全な個人戦であること。そのためペースメーカーがいる間、選手たちはベストポジションを巡って激しい駆け引きを行うのが特徴的だ。

 開催日程は女子が8月4日(水)・5日(木)に、男子が7日(土)・8日(日)に行われる。男女それぞれ初日に第1ラウンド・敗者復活戦、2日目に準々決勝・準決勝・決勝・表彰式が行われる。

 出場選手は新田祐大(2019年の世界選手権ケイリン銀メダル)、脇本雄太(2020年のアジア選手権ケイリン金メダル)、小林優香(2019年のアジア選手権ケイリン金メダル)の3名。2008年に銅メダルを獲得した永井清史につぐメダルが期待される。

オムニアム/4種目の獲得ポイントで勝者が決まる

3行ポイント解説
・オムニアムは4種目の複合競技で、獲得ポイントの合計を競う
・スピードや持久力、戦略など、総合力が求められる
・長期戦にも関わらず、最終種目で順位が大きく変動することも

 オムニアムは1日かけて4種類のレースを行い、それらの合計得点を競う複合競技だ。走行する合計距離は男子が70km・女子が50kmと長く、1種目でもスタートしなかった場合は最下位とされるタフな競技だ。スピードや持久力に加えて戦略も重要となる。

 種目順に並べた各競技説明は次のとおり。指定された距離でのゴール順位を競う「スクラッチ」。何十周と周回するなかで、先頭でトラックを通過した回数を競う「テンポレース」。2周ごとに最後尾が除外され、長く走り続けるほど高い順位となる「エリミネーション」。10周ごとの通過順位でポイントが加算される「ポイントレース」だ。

 オムニアムの合計得点は、各種目での成績順に「1位40点、2位38点、3位36点…」となり、21位以下は全選手1点が与えられる。ただし「ポイントレース」だけは、10周ごとの通過順位で獲得したポイント(1位5点、2位3点、3位2点、4位1点)が、そのまま全体の合計ポイントに反映される。最終種目での順位変動も激しく、最後まで勝敗がわからないのもポイントだ。

 開催日程は男子が8月5日(木)の15:30〜18:50、女子が8月8日(日)の10:00〜13:15となる。日本からはアジア選手権男子オムニアムで3連覇中の橋本英也、同じくアジア選手権女子オムニアムで4連覇中の梶原悠未が出場する。

マディソン/2人1組で自由に交代しながら得点を競う

3行ポイント解説
・今大会からの追加種目マディソンは、2人1組で交代しながら長距離を走る
・道中のトラック通過順位をベースにポイントが加算され、最終的な合計得点を競う
・見どころは、選手交代時に行われる「ハンドスプリング」と呼ばれるチームプレー

 今大会からの新種目マディソンは、1チーム2人で行われる。男子50キロ・女子30キロの距離を、2人1組で自由に交代しながら道中ポイントを稼ぎ、最終的な合計得点で勝敗が決まる。

 ポイントが加算される条件は2つ。1つはトラックを10周(1週250m)するごとの通過順位だ。1着には5ポイント、2着に3ポイント、3着に2ポイント、4着に1ポイントが入る。ラスト10周時は通常の2倍のポイントが加算される。

 もう1つは周りのチームより1周早く周回することだ。メイン集団から抜け出し、1週回って再び追いつく「ラップ」を成功させると20ポイントが加算される。一気に逆転できるチャンスだが、同時に体力を消耗するため、駆け引きも重要となる。逆に1周遅れるとマイナス20ポイントだ。

 本競技の見どころの1つは、選手が交代するタイミングだ。バトンタッチ時はパートナーの身体に触れなければならない。そのため選手は、スピードを保ちながら高度な技術で交代する技術が必要とされる。交代時の多くは、走り終わった選手がパートナーの手を握って投げるように送り出す「ハンドスプリング」が行われ会場も盛り上がる。

 開催日程は、8月6日(金)の15:30〜19:15に女子マディソン決勝と表彰式が、8月7日(土)15:30〜18:25に男子マディソン決勝と表彰式が行われる。日本からは中村妃智(19年全日本選手権マディソン優勝)・梶原悠未(20年世界選手権女子オムニアム優勝)ペアが出場する。

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