2024/07/22(月) 20:15 0 15
2016年の熊本地震の影響で8年4ヵ月もの間、開催休止となった熊本競輪場が生まれ変わり“再建”。誰もが待ち望んだ待望の開催は3日間大いに盛り上がり、のべ6782人のファンが新バンクに詰めかけた。
A級決勝11Rは、半田誠の仕掛けに乗った松本秀之慎が巧妙なコース取りで半田をわずかに交して優勝。
「鈴木(浩太)さんにスイッチしたが止まった感じがしたので内へ。練習の感覚では、あそこで外を踏んでは間に合わないと思ったしコース取りはよかった。誠も踏んでいたしゴール前勝負まで持ち込みワンツーなら良かったです」と肝心なところで地の利を生かすことができた。スタンドからは名前から取ったであろう、愛称の「ノシン」コールが起こるなどバンクは歓喜に沸いた。
そんな声援を背に、12Rを控えた嘉永泰斗は沸き立つ闘志を押さえつつ、静かに本番を待っていた。相手は6月に「高松宮記念杯競輪」を制しGI覇者となった北井佑季。ここまでの2走も魅せて決める力強い走りで他派を圧倒しており、決勝も人気を集めていた。しかし、嘉永には緒方将樹という頼もしい後輩がいた。緒方は連日キップのいい走りで結果を残し充実のファイナル入り。決勝も連日の勢いそのままに前受けから突っ張り先行で北井に隙を与えなかった。こうなれば嘉永は緒方の頑張りに応えるしかない。北井の反撃に合わせて番手から飛び出し、ゴール線を突き抜けた。
109期以降の選手たちは震災のあとにデビューしている“滑走路を知らない子供たち”。
「(声援を聞いて)これが地元なんだと思わせられました。毎日、すごく緊張しましたけど、これも地元だからですね」と、嘉永は初の地元バンクを噛みしめた。
この先の熊本競輪界を背負う嘉永と、破竹の勢いで成長を続ける松本。勝つべき2人のW優勝は、熊本競輪の明るい未来を予感させるとても晴れやかなものだった。(netkeirin特派員)