2025/06/10(火) 18:00 0 17
6月17日、岸和田競輪場で「第3回パールカップ(GI)」が幕を開ける。
前回の「オールガールズクラシック(GI)」では圧巻の走りを見せつけた佐藤水菜。いまや“サトミナ(佐藤水菜)最強時代”と言われるなか、その牙城はどこまで続くのかーー。今回は元競輪選手・中川武志が、GIレースの鍵を握る展開を徹底分析! サトミナが敗れるとすれば? そのヒントを探る。
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今のガールズケイリンは、まさに“サトミナ時代”だ。
4月の「オールガールズクラシック(GI)」では、準決勝で児玉碧衣に中団から捲りを合わされ2着と苦杯を舐めたが、あのレースを詳細に読み解くと、佐藤水菜(サトミナ)が封じられたのは極めて稀なケースだった。
ホームでは久米詩の追い上げがあり、尾方真生が切り替えるなど、佐藤包囲網が完成。そのうえで児玉の“先捲り”が決まった。言い換えれば、児玉が勝てる展開は、あの形以外にないとも言える。
そして決勝では、ラインのないガールズ戦でありながら、佐藤は堂々の抑え先行からの逃げ切り勝ち。文句のつけようがない圧勝劇だった。
児玉にとっては、準決勝の展開が“唯一の勝ち筋”だったと言える。似た形に持ち込むには、太田美穂のように前々から仕掛ける選手の存在が不可欠だが、同じ展開が2度続く可能性は低い。仮に似た展開になっても、今度は佐藤が外併走から捲りに出るだろう。
もちろん、児玉の近況は好調。捲りの威力も増してキャリアハイに近いが、それでも“世界のサトミナ”に勝つのは容易ではない。
今回注目を集めるのは、GI初参戦となる仲澤春香。だが、通常開催での内容を見る限り、現時点では佐藤の壁は高そうだ。
私なりに自力の強さでランキングをつけるとすれば、以下のようになる。
ランキング | 選手名 |
---|---|
1 | 佐藤水菜 |
2 | 児玉碧衣 |
3 | 梅川風子 |
4 | 仲澤春香 |
5 | 太田りゆ |
力勝負では佐藤に対抗できる選手はいない。だが、それぞれの特徴を踏まえれば、“サトミナが崩れる可能性のある展開”は見えてくる。
ガールズグランプリでの教訓を活かし、佐藤は前受けを避ける傾向にある。
ビッグレースでは、尾方や太田美穂のような積極型が前を取ると仮定すると、佐藤は中団を狙う動きになる。
児玉は4月GI以降、“打倒サトミナ”に本気モード。佐藤の外併走からプレッシャーをかける。先行態勢に入った尾方や太田美穂が打鐘4角で仕掛けず、梅川風子が一気にかまして出る。その番手に太田りゆが乗れば、捲り勝負。
佐藤と児玉が併走で動きが止まれば、そのまま前が決まってしまう。太田りゆの後ろに久米詩や坂口楓華が続けば、ビッグ初制覇の可能性もある。
仲澤春香は経験値不足だが、この“打倒サトミナライン”に乗れれば、漁夫の利のVも夢ではない。
仮想・狙い目展開
展開によって代用できる選手たちを、役割ごとに分類して紹介。
※複数の役割を担える選手もいるため、一部重複があります。
先行タイプ (前受けからそのまま仕掛ける可能性) |
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太田美穂、尾方真生、日野未来、坂口楓華、奥井迪、竹野百香 |
※打倒サトミナの軸として名前が挙がった太田りゆの代用には、梅川風子も展開次第で有力。梅川が軸となる展開では、さらにこの「先行タイプ」の中から梅川の代役も考えられる。
番手・追い込みタイプ (太田りゆの後位から好勝負できる選手) |
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久米詩、坂口楓華、石井寛子、石井貴子(千葉)、吉川美穂、柳原真緒 |
ガールズグランプリ出場を早々に決めている佐藤が、あえて“試す走り”として前受けを選べば、抑え込まれて苦しい展開に。児玉は近況、捲りの威力が増し、スピード面ではまさにキャリアハイ。通常開催では2角捲り一本型だが、早仕掛けの準備があれば一気に勝機も。
レースがもがき合いになれば、脚を溜めた追い込み型のスピード勝負に。久米や坂口らが浮上する展開も考えられる。