2024/06/13(木) 15:45 0 7
61歳の超ベテラン・谷尾佳昭が今節で引退。これで、また昭和の武士が1人いなくなる。
谷尾佳昭は「S1にも4、5年在籍出来たし良い競輪人生だったと思う。骨折も2、3回しかなく41年間、無事に走れた。昨年の鎖骨骨折も10年ぶりで、その前の怪我も17年ぶりだった。ジカで勝負するマーク屋の走りだったけど、ハンドル捌きが良かったのか落車は少ない。最後は、脊椎狭窄症が引退の引き金になった」。
選手生活を振り返ってもらうと「新人リーグでいきなり優勝。S級にも特進できたし、わしはエリート(笑)。GIには何回か出場したけど二次予選止まり。FIの優勝はあるけど、記念は取れなかった」。
マーク屋のイメージしかなく「全盛時はジカで番手に勝負に行っていた。競り負けるぐらいなら、芝にたたきつけられる方が良いと言う時代。併走と目の雰囲気で、相手の力量も感じた。タテ脚の競りでなく、ヨコのテクニックときつさは松村信定さんと佐々木昭彦さんが一番凄かった。S級一発目のレースで滝澤正光さんと対戦。軽く捲れると思ったら1車も出なかった(苦笑)。その時、滝澤さんはタイトルを獲っていたけど、自力では無理だと思い、マーク屋に転身した」。
今節は唯一の弟子の三宅旬も参戦。「わしの教えが厳しいから、みんな逃げ出した。旬はS級にも行ったけど、本当の能力や素質を考えると、もっと上の選手になれた。欲がない性格だからね」。師匠に対して三宅旬はひと言「鉄人です!」。競輪界も希薄な人間関係になっているが、こう言うのに触れると僕も熱い気持ちになる。
ひっそり辞めていく選手も多い中で、名物選手であるし、最後の検車場は、きっと賑やかになるだろう。(町田洋一)