アプリ限定 2024/06/08(土) 18:00 0 25
2024年の競輪界は、まさに“復権”の年となっている。すでに終わっている二つのGIは、昨年S班から陥落した郡司浩平と平原康多が優勝。“赤パン返り咲き”を決めた。S班はすでに2名の入れ替わりが決まり、賞金争いもダービーを終え本格化。まもなく開幕するGI「高松宮記念杯競輪」を前に、S班9名を中心に獲得賞金上位陣の序盤戦の戦いを振り返りたい。(※賞金は6月5日時点)
5月に行われたGI最高峰「日本選手権競輪(通称ダービー)」では、昨年末に10年在籍したS班から陥落した平原康多が悲願の“ダービー王”に輝いた。
これで平原は年末のKEIRINグランプリへの出場権を手にし、“赤パン返り咲き”を決めた。昨年の度重なる落車負傷から復活しての「涙の復権」、競輪史にまたひとつ感動のドラマが生まれた。
11日から、前半戦最後のGI「高松宮記念杯競輪」が開催される。直前の賞金状況は、平原のみが獲得賞金1億円を超えトップを独走している状況だ。
では、ここでS班以外の選手の賞金状況をグラフで見てみよう。
すでにグランプリ出場を決めているのは、GIタイトルを獲得した郡司浩平(5位)と平原康多(1位)。ダービー準優勝で賞金を大きく積み増した岩本俊介が4位に入っている。岩本は3月から4月にかけて驚愕の11連勝を挙げ好調が際立っていたが、GIダービーでも活躍。決勝は単騎で2着となった。
ダービー前は5位につけていた北井佑季は7位に順位を落とした。GI全日本選抜、GIIウィナーズカップとビッグレースで立て続けに決勝に進み、次期タイトルホルダー最右翼として迎えたダービーではまさかの二次予選敗退。それでもダービーは白星締めし、グランプリ出場圏内を守っている。
ダービーで順位を上げたのは2022年のS班・吉田拓矢。平原のダービー制覇に貢献し、自身も決勝4着に入った。ダービーでは関東勢の活躍が光り、決勝に進んだ武藤龍生と小林泰正、4日目優秀競走「ゴールデンレーサー賞」を制した坂井洋も獲得賞金は3000万円を超え、上位に入っている。
すでに終了したGI2大会をS班ではない選手が制したことで、すでに今年はS班2名の入れ替わりが決まっている。“復権”の裏で、現S班は厳しい状況に置かれている。
ここで、現S班の獲得賞金状況を見てみよう。
年始から好調を維持している古性優作(2位)が8000万円台、清水裕友(3位)は7000万円台。ビッグレースでも安定感が光っており、獲得賞金でも後続に大きく差をつけている。
脇本雄太は高額賞金のダービーを欠場したものの、3月のGIIウィナーズカップの優勝があるため6位に留まった。深谷知広はGIでは決勝進出を逃しているが、5月の武雄GIIIを優勝。賞金9位でグランプリ出場ボーダーラインにつけている。
賞金ランキング10位以下でグランプリ出場圏外に位置しているS班は5名。獲得賞金は3000万円に届いていない。
このなかには昨年のグランプリ覇者・松浦悠士も含まれる。松浦は3月のGIIウィナーズカップ準決勝で落車負傷。この影響でほかの選手よりも出走数が少なくなっている。ダービーで復帰を迎え準決勝5着で敗退したが、調子が戻るのはこれからだろう。
参考までに、ここまででS班が出場した開催数(途中欠場含む)と優勝回数を表に示した。
選手名 | 開催数 | 優勝回数 |
---|---|---|
古性優作 | 9 | 3 |
清水裕友 | 10 | 3 |
脇本雄太 | 8 | 1 |
深谷知広 | 12 | 1 |
佐藤慎太郎 | 14 | 0 |
新山響平 | 10 | 0 |
松浦悠士 | 7 | 1 |
眞杉匠 | 9 | 1 |
山口拳矢 | 8 | 0 |
※獲得賞金順、清水裕友の優勝回数にはSPR賞(全プロ記念競輪)を含む
競輪界唯一の東西戦であるGI高松宮記念杯競輪。一次予選はポイント制で行われ、予選のシードレースがない。
賞金で厳しい立場におかれている選手は、まずは決勝進出できるかが大きな鍵になる。着実にポイントを稼ぎ、準決勝フリーパスとなる「青龍賞・白虎賞」の権利を勝ち取りたいところだ。
ダービーが終わり、KEIRINグランプリに向けた賞金争いはすでに本格化している。ここまでの賞金状況や今年の戦績も参考に、GI高松宮記念杯の予想を楽しんでほしい。