アプリ限定 2024/04/18(木) 18:00 0 37
4月30〜5月5日にいわき平競輪場で開催される「日本選手権競輪(GI)」。3月初旬に出場選手が発表された。
競馬の最高峰レースになぞらえて「競輪ダービー」とも呼ばれる日本選手権は、今回が78回目。GIの中でも歴史が深く、格式高い大会だ。優勝賞金は8200万円とGIのうち最も高額で、優勝者は「ダービー王」の称号を得る。
この大会のひとつの特徴として、出場選手数が多いことが挙げられる。ほかのGIが108名であるのに対し、ダービーは総勢162名だ。では、どのような選手が出場できるのだろうか。
【日本選手権競輪 選考条件】※開催時S級在籍
(1) S級S班在籍者
(2) 過去3回以上優勝した者(開催時S1)
(3) 選手選考対象期間において4ヶ月以上JCFトラック種目強化指定(A)に所属した者(開催時S1)
(4) 選考用賞金獲得額上位者(同額の場合は選考期間における平均競走得点上位者)
※選考期間は2023年2月〜2024年1月の12か月
キモとなるのは(4)の「獲得賞金」だ。ビッグレースにコンスタントに出場していれば賞金の積み上げになるため、すでにGI常連の選手にとっては有利となる。選考期間も長く、ペナルティを受けている場合を除けばトップ選手の落選は珍しい(今大会、新田祐大は出場できない)。
一方で出場枠が多いことから、ビッグレース常連ではない選手も出走回数を増やして賞金が積めればチャンスが巡ってくる。
2023年の競輪ダービーでビッグレース初出場を果たした佐藤壮は、追加や補充を率先して引き受け「(2022年は)年間で116走した」と明かしている。今年も選考順位137位で出場を決めており、2度目のGIに挑む。
また、橋本強は1月のいわき平記念で「ダービー出場勝負駆け」に挑んでいた。一時はピンチに陥ったが、選考順位154位で出場を決めた。
このように、選手たちがこの格式高い大会に懸ける思いの強さは計り知れない。
今回、競輪ダービーの出場正選手162名の平均競走得点は108.17(川崎記念終了時点)。最も高いのが清水裕友(山口)の118.50で、低いのは西田雅志(広島)の99.33だ。9日時点で100点未満の選手は、西田と稲毛健太(和歌山)、藤井栄二(兵庫)の3名だ。
西田は広島のベテラン追い込み選手で、今期S級1班。直近の競走得点こそ100点を下回っているが、選考順位は162名中125位と余裕をもって選出されている。選考期間中の出走回数を見てみると、なんと111回。優勝はないものの、GIIIとFIで6度優出していた。
今回の競輪ダービーの最年長選手は53歳の内藤宣彦(秋田)。50代の出場選手は4名おり、51歳の志智俊夫(岐阜)と伊藤正樹(愛知)、50歳の武田豊樹(茨城)が名を連ねている。
気になるのは伊藤正樹。調べてみると、GI出場は5年ぶりで、これが5回目となるようだ。選考期間中の出走回数は驚愕の141回! 補充出走を多く受けており、その鉄人ぶりに頭が下がる。
さて、賞金重視の選考条件で、各地区の戦力に偏りは出ないのだろうか? 今年開催されたビッグレースと比較して、以下の表にまとめてみた。なお出場選手数が異なるため、人数ではなく割合で記載する。
地区 | 日本選手権 | ウィナーズ | 全日本選抜 |
---|---|---|---|
北日本 | 15.4% | 16.7% | 15.7% |
関東 | 16.0% | 18.5% | 18.5% |
南関東 | 14.8% | 13.0% | 13.0% |
中部 | 8.6% | 10.2% | 6.5% |
近畿 | 13.0% | 11.1% | 13.9% |
中国 | 9.3% | 8.3% | 9.3% |
四国 | 9.9% | 6.5% | 7.4% |
九州 | 13.0% | 15.7% | 15.7% |
※4月9日時点の出場予定選手を集計
※全日本、ウィナーズの平均と比較して青字は1.8%以上増、赤字は1.8%以上減
以上から、関東と九州が減り、南関と四国が増えていることがわかる。早々にS班復帰を決めた郡司浩平、次期タイトルホルダーの呼び声高い北井佑季らを擁し、躍進が止まらない南関地区。競輪ダービーでも分がありそうだ。
前述のとおり出場選手数が最も多く、6日制(4走)と長丁場で行われる競輪ダービー。勝ち上がりが厳しいのも特徴のひとつだ。
一次予選の勝ち上がりは3着権利、二次予選は2着権利で3着は泣き別れ(4名が準決勝進出、3名は特選1回り)となる。序盤で敗退すると3走で帰郷となってしまうため、初日からいつも以上に熱いレースが予想される。
例年波乱が多い「競輪ダービー」。トップ選手たちが「ダービー王」の名を懸けて争う伝統の大会を、どうか見逃さないでほしい。