2024/01/05(金) 13:00 0 5
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週の好プレーは長島大介のラインを組む意味を関東の仲間たちに見せた、漢気あふれる好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
2024年最初の好プレーは京王閣競輪場で開催されたFIの最終日、1月3日決勝12Rの長島大介(34歳・栃木=96期)だ。長島はこの時、「“超”嶋大輔」になった。「チョーさん!」。つっぱることが男の…。
伏線があったことが今回の好プレーを生んでいる。準決12Rで長島は、神山拓弥(36歳・栃木=91期)と2人で地元の鈴木輝大(28歳・東京=113期)に前を任せた。鈴木は後方に下げて仕掛けが遅れ、長島と神山が決勝に乗ったものの、ラインとしての戦いはできなかった。
長島はその悔しさを、普段は穏やかな性格だが、珍しくはっきりと口にしていた。だからこそ…。言うは易し。
競輪界において、口だけでは説得力がないことはよく分かっている。言うことによって責任を負うわけだが、そこに真正面から挑んだ。相手は野口裕史(40歳・千葉=111期)ーー。
名うての徹底先行・野口を相手に、長島は前受けから敢然と突っ張った。栃茨の4人で結束し、全員が生きるにはそれしかない。“ラインを組む意味”を関東の仲間たちに見せた。後ろの3人で確定板を占め、長島はなんとか5着。画面越しだったが、関東門でフラフラになっている長島の姿は輝いていた。
★は3つ。長島にすれば、「これが競輪」と普通のことをしたまでかもしれない。でも、それが大事。男の勲章を胸に走り抜いた姿こそが、競輪だった。その走りを、どこかで、誰かが、いつも見ている。
「長島、いいレースしてましたね〜」
明くる日の大宮競輪場の駐車場で、平原康多(41歳・埼玉=87期)がニコっと笑っていた。
すごいで賞=★★★☆☆(星3つ)