2023/08/08(火) 16:00 0 11
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週の好プレーは北井佑季が郡司浩平を信じた好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
富山競輪場で開催された「開設72周年記念 瑞峰立山賞争奪戦(GIII)」の最終日、8月6日の決勝12Rが熱かった。9人全員が死力を尽くし、振り絞り、ゴール線めがけて戦い抜いた。
GI優勝を争うメンバーでの戦いの中、結果は神奈川ワンツーというものだった。
郡司浩平(32歳・神奈川=99期)が優勝して、前受けから突っ張り先行で挑んだ北井佑季(33歳・神奈川=119期)が2着に残った。3番手を佐藤慎太郎(46歳・福島=78期)が固める布陣だったが、最強だった。
後ろ攻めの松浦悠士(32歳・広島=98期)が車間を切って、昨年大会を思わせる。前受けの北井の好きにはさせない…、と見せたところ、中団にいた眞杉匠(24歳・栃木=113期)が一気に襲い掛かる。レースレベルは、当然MAXだ。
北井はとにかく突っ張る。後退する眞杉の表情がゆがむ。風を切る北井は歯を食いしばる。
「後ろの郡司さんを信じて」。北井の方が年齢は郡司より上だが、北井は「郡司さん」と呼ぶ。同い年の深谷知広(33歳・静岡=96期)も「深谷さん」だ。
競輪においては先輩なので、律儀にそう呼ぶ。上で戦ってきた“先輩”を信じることが今回の好プレー。
ラインの強さを最大限に引き出すことにつながった。北井が強いことはもちろんだが、強敵を倒すにはプラスアルファが必要。それを見せ付けた。
ただし、先のあることなので★は控えめに3つとさせてもらう。記念決勝、このメンバーで…はあるが、GIでやってくれたこそ、がある。北井にしても郡司にしても、南関のみんなにしてもそうだろう。仲間を信じる走り。
競輪の極致を、これからのGI戦で待とう。
すごいで賞=★★★☆☆(星3つ)