2023/06/24(土) 17:45 0 13
「頑張ったんだけどね、アカンかった〜」
声の持ち主は山田二三補だ。今年3月の取手で初めて山田を取材した時、山田は代謝3期目で窮地に立たされていた。そこから10場所、一戦一戦を懸命に戦うも点数アップとはいかず選手生活にピリオドを打つことに。
選手生活34年、今開催がラストランとなる。
「ここ2場所で寂しくなってきちゃったね。1、2か月前はそこまでの感じはなかったんだけど、やっぱり寂しい…。腰痛もあるから、練習をやらなくても良いっていう安堵感もあるけどね」と胸の内を明かす。
これまでを振り返り「僕は目立った活躍もなく、ずっと弱かったから。でも、選手人生での印象に残っているのは、やっぱり『チャレンジ(A級3班)からの復活』だね」。
以前、自分の練習に加えて弟子のガールズ選手たちの練習にも付き合い、練習量が増えたことで成績は上がり「弟子さまさま」と話していた山田だが、もうひとり、感謝を口にする相手がいる。
グランプリレーサー・金子貴志だ。
「グランプリを獲った金子君が練習に誘ってくれたんです。僕は「もうクビだなぁ」と思っていた時期で「ウエイトを毎日やりましょう」って。そこからは金子君が一緒に付き合ってくれて1年間続けたんだけど、なかなか結果が出なくてね。もどかしさもあったけど、金子君が『もう少し続けましょう』って」
そこから半年、積み上げた努力が実を結ぶ。2016年に7期ぶりにA級2班に昇班し、後期はチャレンジ降班も完全優勝するなど活躍を見せる。翌年2017年に再び2班に復帰すると、19年にはA級1班まで這い上がった。
「金子君のお陰です。本当に」と言葉を詰まらせる。
「仲間や競輪場で働く方たち、ファンやお客さん、みんなに支えられて34年間ここまでやってこられた。感謝です…、人に恵まれた競輪人生でした。アカン、泣かせんといてよ〜」と大粒の涙をぬぐう。
前検日前日には同あっせんの弟子たちと最後の練習をしてきたそうで「昨日からずっと泣いてますよ」と佐々木恵理から暴露? される場面も。
最後は「悔いなく終われるように最後まで頑張ります!」と締め括った。(アオケイ・八角記者)