2021/05/24(月) 17:00 0 2
東京スポーツの前田睦生記者がGP・GI・GII・GIII・FI・FIIのレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」!
今回は「ルーキーシリーズ2021」の第3戦から★5つの好プレーをピックアップ。前田睦生記者の直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
ルーキーシリーズで好プレー原稿を書くことは予想しておらず、このレースを見た時、思わずグっときた。
新村穣(27歳・神奈川=119期)の逃げ切り勝ちだ。ラインを組んでも良いわけだが、やはり前途ある新人たちの戦い。“単騎で自力勝負”が多くなる。
一人で先行するのは、どうしても不利。“結果以上に内容”とみられるわけだが、そこで逃げ切った。“価値が”違う。11R。4番手の位置から打鐘過ぎ2センターで仕掛け、最終HSでは先頭に立つ。長い大宮の500バンクとの戦いでもあった。
新村は競輪選手養成所時代に、滝沢正光所長の指導するT教場に身を置き、ジカに滝沢校長から薫陶(くんとう)を得た。中距離のナショナルチームに所属し、国際大会の出場経験も多い。知識、経験が先走りそうなところ、心で動ける良さがある。先行に魅せられ、真っすぐにその道に入った。
地脚を生かしてペースに持ち込む。真後ろから並びかけてくる田口勇介(20歳・秋田=119期)を合わせる。最終2角、あわてない。今回の好プレーの見どころの一つは、強引に全力で合わせるのではなく、対戦選手との関係の中、自分の力を知り、力を出し切ったことにある。すでに、“シブイ先行”。
脚を貯めていた上野雅彦(19歳・香川=119期)が追い込んできたが、こらえて1着。
在所時代から含めて、逃げ切り勝ちは初めてだったという。デビュー戦の静岡の賞金は全額社会貢献のために、デビュー地でありナショナルの活動でお世話になっている静岡市に寄付した男。競輪界の現在とこれからを真摯に考えている。
レース運びのうまさと、彼自身が持つ気持ち、改めて競輪とは、先行とは、を伝える姿に★4つ。いや、勝手ながら、在所時代からの先行での頑張り、また初任給の寄付の件もプラスして★5つとさせてもらいたい。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)