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【高松宮記念杯競輪予想】6日制GIで車券戦略に異変!? 「新山は脇本と互角」と断言する“コンドル”社長の狙いとは

アプリ限定 2023/06/05(月) 18:00 1 49

13日から開催される近畿地区の名物GIレース「高松宮記念杯競輪」。これまで同様準決勝までは東日本と西日本に分かれた勝ち上がり方式ですが、今年からは「6日制」と一次予選に「ポイント制」が導入され、よりシビアで激しいレースが予想されます。そこで武田一康(競輪予想紙・コンドル出版社)氏をお迎えし、「高松宮記念杯競輪」の勢力分布、車券戦略の変化について前田睦生(東京スポーツ)記者が話を伺いました。(取材日:2023年5月22日(月)/取材・構成:netkeirin編集部)

リモート対談
前田睦生記者と武田一康氏(右)

6日制GIは初日から激しいレースに

前田睦生記者(東京スポーツ、以下前田) (武田)社長、今日はどうぞよろしくお願いします。高松宮記念杯競輪は昔から東西で分かれていたのでしょうか。

武田一康氏(コンドル出版社、以下武田) そうですね。予選から東西に分かれていて、今でいう準決勝が東西の王座戦でした。決勝で東西一緒になります。2017年からは準決勝までは東西に選手が分かれる番組になりました。熊本の宮路雄資や松本秀房なんかが決勝に乗ったころも、びわこに行ってましたよ。

前田 今年から競輪祭、オールスターと同じポイント制になります。社長はポイント制をどう思いますか?

武田 ポイント制なので、とにかく点数を取らないと始まらない。白虎賞、青龍賞、つまりは準決勝に進むためにも、初日から激しくて面白いレースが多くなると思いますよ。選手は5走しなくちゃいけないから大変ですけれど。

前田 ワッキー(脇本雄太)や古性(優作)も一次予選スタートになります。

武田 昨年の競輪祭は調子が良くなかったですが脇本は腰に爆弾抱えていますから、(脇本にとって)6日制5走のGIは、初日走って2日目休んでという番組になると良いでしょうね。

脇本雄太
脇本雄太(手前)と古性優作(撮影:北山宏一)

脇本雄太と互角に渡り合えるのは新山響平

前田 優勝が山口拳矢、準優勝が清水裕友で幕を閉じた今年のダービーを社長はどう見ましたか?

武田 まずは脇本の失敗ですよ。犬伏と新山どっちが中団になるかはわかりませんでしたが、中団を取った選手は後ろの脇本しか見てないから仕掛けが遅れますよ。あれだけ車間があったらとてもじゃないけど届かない。私は脇本が好きだから言いますけど、脇本は逃げても強いんだから、せめて誘導員は早めに切って欲しかった。相手にも脚を使わせないと。(相手が)来なければ2周は行けるんだから。

 今度の高松宮記念杯競輪は6日制5走だし、本人もいろいろ考えるところはあるでしょうけど、事前に岸和田で合宿していたようですし、腰の方は大丈夫なんじゃないでしょうか。5日間あの走りが出きるかどうかでしょう。

前田 古性についてはどう思われますか?

武田 古性は強いですよ。古性は去年良いレースをしました。岡崎智哉とか近畿のみんなが頑張ってくれて、みんなの力で勝ち上がり、自分で決勝をモノにしたということは古性の力がなせる業ですよね。ただ、近畿の層が今はそこまで厚くないので、古性を前で引っ張る選手が脇本以外にいないというところが難しさでしょう。

前田 南関は郡司浩平深谷知広と、とにかくまとまるというテーマでやってきました。

武田 深谷はF1でも行く男ですからね。今回は郡司が落車明けだから、やはり郡司のために行くのではないでしょうか。

深谷知広
深谷知広(手前)と郡司浩平(撮影:北山宏一)

前田 北日本では新山響平が目立っています。

武田 新山が本当に強くなりました。守澤太志のように極端な“前乗り”になって、あれが合ってるんでしょうね。新山はまずスタミナがあります。何回でも踏み直せますから。もう昔の新山じゃないですよ。

前田 新山は前受けから突っ張り先行を武器にしていますが、この形だと北日本ラインで決まる車券が狙えそうですか?

武田 そうですね。今の新山はまくりを考えてないでしょうね。高知の全日本選抜競輪で失敗したことが糧になっているのでしょう。私も取材で「SSの走りじゃなくて、今まで通りの走りをした方がいいんじゃないか?」と話したら、「師匠(坂本勉)からも同じことを言われました」と。師匠の話が大きかったんだと思います。今、脇本と互角に渡り合えるのは新山しかいないですよ。あとは新山にどれだけラインができるか、でしょう。

新山響平
新山響平(撮影:北山宏一)

平原康多は強くなって帰ってくる

前田 ワッキーがずば抜けて強いですが、他の選手たちがワッキーに追いつこうと必死です。犬伏湧也はいいところまで来ていますか?

武田 強いですよどう見ても、あのカマシは。決勝で後ろが離れるのは仕方ないですよ。脚力はもちろんですがレースが強い。犬伏は競輪を覚えてきました。小倉(竜二)がきっちりと教えてるんだと思いますよ。瀬戸内は犬伏がいて、清水裕友が立ち直ってきて。清水はやはりタテ勝負で一貫しています。緩んだところでビュンと行く。抜かれたら「自分が弱い」って考えるところもいいですよね。清水と嘉永泰斗はそういうタイプです。分断とか飛びつきではなくて、行けるってところで必ず行ける良い選手ですよ。清水の後ろを回る選手が優勝に近づくと思います。

前田 平原康多も昔はめちゃくちゃ行ってましたね。平原が戻ってきて関東はまとまれますか?

武田 昔の平原と武田豊樹の関係がすごく良かったですからね。平原が帰ってきたら当然まとまりますよ関東は。だから武雄の落車はきつかったですね。こたえていると思いますが、ある程度乗り込んでくるでしょう。平原は経験値がありますから。休んでいる間にも良い方法を見つけて、休養前よりも強くなって帰ってくることが多いですから、平原は。眞杉や坂井、栃木の若い選手もいますし。

平原康多
平原康多(撮影:北山宏一)

GIを獲れる位置まできた嘉永泰斗

前田 山口拳矢は警戒される大会になりますか?

武田 拳矢は去年の終わりぐらいからバック数を増やしていたんですよね。もともとセンスがありますし、スピードがあるからですね。中部は層が厚くないので苦しい大会にはなるとは思いますが、一人でも十二分に戦えると思います。

前田 九州期待の嘉永泰斗は戦えそうですか?

武田 (高松宮記念杯競輪のタイトルを)獲ってほしいですね。獲れるところまで来ています。(SSになる前の)松浦、郡司、古性よりも強いと思っています。四日市浅井康太の前をまわって2着、函館ではバンクレコードで優勝。19年に中川誠一郎が脇本マークで高松宮記念杯競輪を獲りましたけど、あのときより可能性があると思っています。嘉永はタテもヨコもなんでもやれるし、スタミナもある。函館のバンクレコードは犬伏が作ってくれたようなものだけど、スピードもありますから。

前田 九州には山田庸平もいます。

武田 去年は(高松宮記念杯競輪)決勝2着で頑張りました。今は「自力」にウェイトを置いていますね。ただ、展開の助けは必要かもしれません。嘉永泰斗、あと今回は北津留翼がいるので、一緒の番組になるといいですね。

九州の結束力! 2021年の熊本記念 (photo by Shimajoe)

前田 嘉永と北津留が決勝で一緒になったら前後はどちらになると思いますか?

武田 嘉永が(前に)行くと思います。年上の北津留が「前を回してくれ」って、自分から名乗り出て、嘉永は熊本記念を獲ったのだから。北津留ってそんな選手なんです。準決勝で中川誠一郎を連れて行けなかったっていうのも北津留の中にはあって、その思いがものすごく強かった。昨年の久留米記念では、阿部将大伊藤颯馬が前を走って、伊藤旭が後ろを固めるライン作って、北津留が優勝しています。これが九州の結束力なんですよ。

前田 今回一番社長が期待しているのは嘉永泰斗ですね。

武田 そうです。西と東に分かれて走りますし、嘉永泰斗はなんでもできるから中川誠一郎に続いて高松宮記念杯競輪を獲ってほしいですね。大昔の話ですが、宮路雄資とか松本秀房(2着)とか、熊本の選手はこの大会で活躍していますから。

嘉永泰斗
嘉永泰斗(撮影:北山宏一)

ペースが緩むと落車の可能性も

前田 昨年のこの大会は落車が多かったですが、どうしてでしょうか?

武田 3つの準決勝で落車がありました。決勝進出の権利が実質2人までというのが大きいですね。ギリギリの勝負になったら選手たちは内に突っ込みますよ。後手を踏んでしまった選手は一か八かで、前があくことを祈りながら内に突っ込むからですね。脇本とか犬伏とか新山が速いペースで駆けていたら話は別でしょうけど、ペースが緩んでしまうと落車になる可能性はあるでしょう。

前田 この時期の岸和田は良いタイムが出たりします。

武田 昔から軽いバンクで、(2021年に)バックスタンドがなくなって風が強くなりましたから。10秒台とかバンバン出るんじゃないですか? まくりも追い込みも効くし、オーソドックスな良いバンクですよ、岸和田は。

岸和田
岸和田競輪場は「タイムが出やすい良いバンク」 (photo by Shimajoe)

勝ち上がり戦は先行選手を狙え

前田 ファンはこの6日制GIでどのように車券を買ったらよいでしょうか?

武田 一次予選がポイント制なので、競輪祭をイメージして買っていただけると良いでしょうね。選手はどうしても二次予選、白虎賞、青龍賞に上がりたいから、全員全力で勝ちに行くと思います。東予選も西予選もラインがしっかりできそうで、どのレースもおそらく三分戦になって実力通りの決着になるとは思います。まあSSが有利に勝ち上がっていくとは思いますが、プラスしてあとは「枠」ですね。「運」を味方につけた選手を狙うといいと思いますよ。

前田 7車立てだと枠と初手の位置の推理で車券組み立てますけど、これだけ良い選手たちが集まるともう一段上の推理が必要になるかもしれませんね。

武田 勝ち上がり戦では、ですね。前を走る選手も余計な脚を使いたくないからですね、後方の選手は、中団の選手が行ってくれるだろう、中団の選手は後方の選手が行ったら行こう、という心理が働くでしょう。そうなると前を取った選手が有利になりますし、展開の推理はそこまで難しくないでしょう。新山、犬伏、そして久しぶりの北津留とか、強い先行選手が勝ち上がってくるんじゃないでしょうか。

 ただですね、負け戦になったら話は変わってきます。東西関係なく一緒に走りますし、ラインもバラバラ、3連単で車券を当てるのは難しくなりますね。

前田 賞金が上がってますし、負け戦にまわっても落ち込む選手が少なく、目の色が変わっているような気がします。

武田 そうですよ。来年の平のダービーに出るためにみんな必死です。どの選手も賞金を取りにいくと思いますよ。  レースの推理が難しくなってるのは選手たち全員のレベルが上がってることも要因ですね。逃げてもタレない、まくったら加速する。スピード競輪がどんどん加速しています。マークする選手も山田庸平ぐらいのタテ脚がないとついていけなくなっています。九州のベテランだと自力でも強い荒井崇博くらいでしょうね。

リモート笑顔
「GIを獲れる位置まで来ている」嘉永泰斗に熱い視線を送っている武田一康氏(右)

競輪予想紙・コンドル出版社武田一康の予想は「ウマい車券」で見ることができます。

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