2022/12/13(火) 10:00 0 8
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今回は別府競輪で魅せた九州勢の好プレーです。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
別府競輪のFIで12月11日に最終日が行われ、12R決勝で九州勢が魅せた。山崎賢人(29歳・長崎=111期)ー北津留翼(37歳・福岡=90期)ー小川勇介(38歳・福岡=90期)ー吉本卓仁(38歳・福岡=89期)で連係し、番手には鈴木庸之(37歳・新潟=92期)が競り込んでくる形。
あまり競りはやっていない北津留だが、どうする…。
前受けから突っ張る山崎を北津留は必死に追走。打鐘過ぎには鈴木がもう一度追い上げてきて、厳しく締め込んでくる。苦しいところだが、山崎が踏み込んでいるタイミングでもあり、冷静に身をかわして番手をキープする。一度、先にかわして当たられても大丈夫なように態勢を整えた。
今回の好プレーは責任感とするりと受け流す最終ホームの走りだ。熱くなり過ぎず、丁寧に位置を守る。そして、今回は謎のプレーにも注目したい。
ちょっと車間が空き気味だった北津留は3角で追いつきながら、なんとそのまま山崎をかわしにかかった。後ろの状況はわかっていなかったのか、推察するのは後ろに2人固めてもらっているので、早めに…という判断だ。
しかし、後ろはだいぶ離れている。
見えない愛のカタチがあったと思う。山崎はパリ五輪でメダル獲得を目指す存在。もっと強くなることがシンプルに求められている。「上には上がいるよ、ケント君」。北津留はその走りで、山崎の体に何かを叩き込もうとした。
北津留もかつては五輪でメダル獲得を目指したナショナルチームのエースだった。叶わなかった夢を今、山崎に託している。北津留の力をもってすれば難易度自体は高くないので★は2つ。山崎を自身の後継者とするために、ここまでおいで、と伝えるようだった。
すごいで賞=★★☆☆☆(星2つ)