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【坂本勉のPIST6予想講座】迷ったら思い出せ! ベッティング初心者に教える“6つの心得”/レジェンドが見た疾風迅雷 #特別編

2022/10/25(火) 18:00 0 13

現役時代はロサンゼルス五輪で自転車競技トラックで日本人初となるメダルを獲得し、競輪ではKEIRINグランプリオールスター競輪といったビッグレースを制したレジェンド“ロスの超特急”こと坂本勉氏。今回はPIST6開幕から1年を記念して「坂本勉のPIST6徹底回顧 レジェンドが見た疾風迅雷」は特別編をお届けします。今回のテーマは「PIST6予想の心得」です。

 netkeirinをご覧のみなさん、坂本勉です。

 普段はレース回顧を書いていますが、今回は「PIST6開幕から1年」を記念して特別編をお届けしようと思います。競輪には車券攻略に繋がる格言や心得がたくさんありますが、この1年PIST6を見てきて、競輪と同じように予想をする上での「心得」があると感じており、一旦基本を整理してみました。

 PIST6だけに“6つ”伝授しますので「PIST6はどんな買い方をすれば良いのかわからない」といった方に参考にしてもらえたら幸いです。それではいきましょう!

一、時計は“予選で”重視せよ

photo by Kenji Onose

 PIST6の開催日前日、出場選手は全員200mのタイムトライアルを行います。この順位に応じてポイントが選手に与えられるだけでなく、1次予選のレース構成が決定します。メンバー次第で僅差のタイムになったり、もしくは大きく開いたりするケースもあります。

 私の観点としては「ある選手が他選手たちと0.3秒差ある場合」は車券を買う上で安心と言える基準です。もしも0.5秒以上の差があれば単勝もしくは3連単で1着固定といった強固な軸となります。

 そのため“タイム差”は予選時の車券攻略では特別重要な指標です。しかし注意したいのは決勝。決勝となると選手同士のタイム差は詰まってきますし、スタート順や駆け引き、疲労といった様々な要素が複雑に絡んでくるので、タイム通りには決まらないケースも散見されます。ここもPIST6の面白いところであり、予想の難しい部分です。

一、スタート順は“内枠有利”と心得よ

photo by Kenji Onose

 PIST6が始まったばかりの頃は「タイムトライアルの時計が良くて、しかも1番手、2番手といった内枠に入る選手」はほぼ間違いなく1着だった印象があります。これは内枠に入った選手は前でレースができる一方で、5番手6番手でスタートする外枠の選手たちは「PEDAL ON」の前にポジションを上げていく必要があるからです。最内枠と最外枠、2番手と5番手と比べると、内枠にいる選手が有利という競技性は予想をする上での参考材料にすべきです。

 ただ最近のPIST6は始まった頃のように縦一列になるレースが少なくなってきています。3番手、4番手の選手も前を抑えるかのように動き出してきましたし、後ろにいるからこそレース全体を見られるといったメリットもうまく活かす選手も増えてきました。この辺もPIST6が成熟してきた証でしょう。

一、所属級班の“格”を忘れよ

photo by Kenji Onose

「普段の競輪ではまず同じレースに出走しないようなS級選手とA級選手の対戦が見られる」ことこそPIST6の面白さと言えます。S級選手がPIST6で勝ちあぐねていたり、若手のA級選手が思い切ったレースで上位に来たりするのも珍しくないのは過去のラウンドで証明されています。

 これは“積極性”が勝敗の分かれ目になることが大きく影響しています。若手の下位選手は自分よりも格上の選手に胸を借りるつもりで果敢に先行することができ、その戦い方こそ功を奏します。その逆で、格上の選手が競輪同様に追込の戦法を取ってしまうと、思いがけず車間が離れた場合に対応できず、捉え切れない事態になっています。PIST6のレースを予想する上で競輪の“格”を持ち込むのは避けるべきです。

一、若手先行屋の後ろの“格”は注意

photo by Kenji Onose

「所属級班の“格”は忘れよ」と矛盾するようですが、ひとつ例外的に車券の狙い目になるケースがあります。先行意欲が極めて高い若手選手の「番手をしっかり取れる格上ベテラン選手」がいる場合は“格”にモノを言わせるレースができるのも事実です。詳しく解説しましょう。

 若手の先行選手は横に選手が入ることに慣れていないため、並走になるとスピードが緩む傾向にあります。これはPIST6だけでなく、競輪でも同様のシーンをよく目にします。このあたりを見越して動けるのがベテランの追込選手です。PIST6のレースでは番手の利を競輪と同じように活かし切り、うまくゴール前で交わして勝利をおさめるシーンも顕著です。先行意欲の高い若手選手の番手に格上の追込選手がいる並びを見つけたら、“格”を思い出してみて損はありません。

一、地元3割増し! 自転車競技経験者も3割増し!

photo by Kenji Onose

 競輪の有名な格言“3割増し”ですが、PIST6も同様です。

 五輪種目の「ケイリン」を基にしているPIST6は世界選手権やオリンピックの競技大会と同じ250バンク「TIPSTAR DOME CHIBA」で行われています。競輪は333バンク、400バンク、500バンクと3種類の距離がありますよね。競輪の世界でも練習拠点のホームバンクを得意とする選手は多いです。ただし、能力の高い選手はどんな距離でもこなせる印象があります。しかし、この点250バンクだけはまさに別世界です。

 小回りなので短い直線でトップスピードを出しているとコーナーの遠心力で思い切り外に振られてしまいます。S級選手でも初出場時に苦戦する姿が見て取れますが、レースに対応できなかったり、ルールに戸惑ったりするだけでなく、単にバンクに適応できないと見ても良いでしょう。

 そんなわけでTIPSTAR DOME CHIBAをホームバンクにしている地元千葉の選手たちは普段の練習から250バンクを走り、慣れている分だけ有利と言えます。同様の理由で「大学で自転車競技に打ち込んだ選手」もまた有利と言えるでしょう。インカレや記録会といった大会が250走路の伊豆ベロドロームで頻繁に開催されているので、PIST6にも高い適応力を発揮できます。中でも「ケイリン」や「スプリント」といった種目の競技出身者は軒並み好成績です。予想をする上で「選手プロフィール」は必読です。

一、決勝は“過去の覇者”を信頼せよ

photo by Kenji Onose

 これは複数回優勝する選手が多いPIST6のデータを見れば明らかです。ここでも解説を入れたいと思います。過去のラウンドで優勝経験のある選手は「レースのポイント」を理解しています。どこで動けば勝てるのか「勝つ術(すべ)」を知っているんですよね。PIST6の決勝レースで良く見るシーンがあります。それは「予選から3連勝で勝ち上がってきた選手が決勝で歯が立たないケース」です。

 多くの場合は勝ち上がってきた3戦と同じレースをして負けており、他選手に「手の内」すなうち「術」を読まれています。ポイントを理解している選手は対戦相手が嫌がるポイントと自分のレースができる仕掛けを知っています。

 複数の優勝経験がある選手たちは「先行」、「捲り」と予選から様々な引き出しを見せて勝ち上がっています。なおかつ後ろの選手に差されて2着の場合でも早めの先行を印象付ける仕掛けを見せています。(人気を背負う強い選手が予選の段階で先行を見せておくと、決勝ではどこから仕掛けてくるのか他選手は気になります)

 決勝レースで誰が勝つのか迷ったときはnetkeirinの「過去ラウンド優勝者一覧」のページをチェックしてみましょう(笑)。そこに有力視するべき選手の名前があるはずです。

オマケの番外編! PIST6出場経験者の“競輪”に注目せよ

photo by Kenji Onose

 今の競輪は大ギアの規制(ギア比は4.00未満とする)がありますが、PIST6はギアの規制がありません。なので、5倍を遥かに超えるようなギアで参戦してくる選手もいます。普段の競輪と違って、大ギアでレースに臨むと好影響があります。実際に「良いスピード練習になる」と参戦している選手から私も聞いています。体感したスピードは競輪の走りにも活かせるものです。

 現実としてPIST6参戦をきっかけに競輪で調子を上げている選手は増えてきましたし、私自身見ていて「PIST6効果だろうな」と思う選手もいます。先日の松山競輪道後温泉杯争覇戦(GIII)」の決勝でもPIST6サードクォーターラウンド5で突っ張り先行で完全優勝を果たした根田空史がその時を彷彿とさせるような先行を見せていました。同レースではPIST6優勝も見えてきた佐々木豪がスピード感溢れる捲りを打っています。PIST6の決勝を沸かしているような選手が競輪のレースに出てきた時には積極的に車券を買ってみる手はあると思います。

あとがき

 とりあえず、今回は「6つの心得+おまけの番外編」をあげましたが、PIST6は大会を重ねるごとにレースが成熟して非常に面白くなってきました。優勝経験者や決勝常連の選手たちは6周回の中で駆け引きの奥深さも見せてくれています。これからもレースは進化していくはずです。

 これからもっとPIST6のレースが発展し、面白くなっていくためにはS級S班や元S級S班の選手たちの参戦もそうですが、雨谷一樹河端朋之と同じように元ナショナルチームの選手の参戦が望ましいでしょう。個人的には今は競輪に専念している深谷知広が参戦してくれないかなと期待をしています。

 例えばその深谷に自転車競技経験のある若手選手が250バンクで果敢に先行争いをする場面なんかは見たいですね。次世代の競輪界のスターも出てきそうなPIST6。これからも楽しみです。

“ロスの超特急”こと坂本勉氏

●坂本勉(さかもと・つとむ)
1984年、ロサンゼルス五輪に出場し銅メダル獲得。日本の自転車競技史に初めてメダルをもたらし、“ロサンゼルスの超特急”の異名を持つ。2011年に競輪選手を引退したのち、自転車競技日本代表コーチに就任し、2014年にはヘッドコーチとして指導にあたる。また2021年東京五輪の男子ケイリン種目ではペーサーも務めた。自転車トラック競技の歴史を切り開いた第一人者であり、実績・キャリアともに唯一無二の存在。また、競輪選手としても華麗なる実績を誇り、1990年にKEIRINグランプリ、1989年と1991年にはオールスター競輪の覇者となった。現在は競輪、自転車競技、PIST6と多方面で解説者として活躍中。展開予想と買い目指南は非常にわかりやすく、初心者から玄人まで楽しめる丁寧な解説に定評がある。


【netkeirinからPIST6のレースに投票しよう!】

 netkeirinではPIST6の出場選手の成績や内容充実の出走表を見ながら、ラクラク買い目を作成することができます。作った買い目はTIPSTARの車券購入ページに送ることができるので、そのまま車券投票が可能です。

 また、出走表の下部にはPIST6攻略法として「予想の基本」を掲載していますので「予想の仕方がわからない」といった初心者の方にも安心です。PIST6の開催日にはレース映像のライブ中継もありますので、ド迫力のスピードバトルを観戦しながら楽しくベッティングしてみてはいかがでしょう。「PIST6 Championship 2022-23」もいよいよセカンドクォーターに突入! すでに楽しんでいる人もこれからの人も目指せ的中!

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