2021/04/23(金) 19:00 0 0
還暦レーサーの齋藤勝は、交通事故の影響により今期で選手生活を終える。まだ正式な斡旋は出ていないが、6月の地元広島開催がラストランの予定だ。通算成績は333勝、FIの優勝は2回。長らくS級で活躍し、ファンにとっては記録より記憶に残る選手。
「57歳の時まで、競走得点が90点近くあった。子供も小さいし、自分のカッコ良いところを見せたいから選手を続けていた。ただ、街道練習中の事故で大腿骨を骨折。長期入院となり、それからは満足に走る事が出来なかった」。
齋藤は色濃いマーカーで、年を取ってからも強気に番手勝負をしていた。たたき上げの、昭和のマーカーのイメージがあるが、実は競技出身のエリート。
「みんな中卒だと思っているけど、これでも、法政大学出身(笑)。ポイントレースとか長距離系の種目が強く、世界選手権にも4回行っている。ドームのこけら落としの世界戦にも来ているからね。丁度、稲村成浩と大学の後輩の齋藤登志信がタンデムでメダルを取った大会。弟子も育てたけど、破門にした選手もいる。兵動秀治は、彼が広島カープで野球をやっていた時からの知り合い。プロ野球選手で名前があったから、適性ですぐに当時の競輪学校に合格した。だけど、競輪選手としては欲がなかったね」。
こう言う味のある、ベテラン選手が少なくなるのが記者として一番寂しい。競輪選手がアスリート化しているが、職業競輪選手はやはりカッコ良い。(町田洋一)