2022/09/13(火) 12:00 0 6
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今回はGIII初参戦で大注目となった中野慎詞の好プレーです。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
青森競輪の開設72周年「みちのく記念競輪善知鳥杯争奪戦(GIII)」が熱闘を終えた。大注目の新星・中野慎詞(23歳・岩手=121期)は準決まで、デビューから30連勝。9月11日の決勝で連勝記録は途絶えたものの、中野がどういう競輪選手であるか、を見せ付けた2日目のレースが良かった。
今回の好プレーは29連勝目の二次予選8R。今節の中野は注目を集め、誰かとすれ違うたびに連勝の話を聞かれただろう。意識せず(頭の中にはあっても)、また勝つことだけにこだわったレースはしなかった。
赤板から2周を突っ張る気迫、根性、勇気…。
まず目の前のレースでラインを生かし、準決に向けてどんな走りをするべきか。小さくならずに、勇気を出した。★4つの好プレー。得意な、引いて仕掛けのポイントをつかむのではなくライン3人の持ち味を生かした。連勝が止まる可能性も低くはない組み立てだった。
赤板から突っ張って、上がりタイムは11秒5。番手の和田圭(36歳・宮城=92期)は、ともすれば差せそうに思えるものだが、2周駆けた中野の気迫勝ちだろう。
あれは、差せない。ラインを生かし、勝つ。競輪の原点だ。“競輪選手・中野慎詞”を見せて、勝ち切ったレースだった。
決勝は新山響平(28歳・青森=107期)にチャンスのある走りを、という趣もあったかもしれないが、そこはまた中野がこれからいろいろなレースで思いを爆発させるだろう。勝者となり、土を付けた形になったのは吉田拓矢(27歳・茨城=107期)。が、吉田本人は納得の勝利ではないだろう。また今後対戦した時の力勝負を待ちたい。
すごいで賞=★★★★☆(星4つ)