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山口健治の『競輪 時代の輪郭』

3年ぶりに前橋に帰ってきた寬仁親王牌! 大会が始まった意外なきっかけとは…/連載コラム

2025/09/29 (月) 12:00 15

 江戸鷹の愛称でおなじみの競輪評論家・山口健治氏のコラム。今回のテーマは来月開催される「寬仁親王牌」について。現在も行われている男子GIの中で最も新しいこの大会が始まった意外なきっかけとは? また当時の最終日にはビッグイベントもあったようで…。
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 みなさんこんにちは! 山口健治です! 気付けば今年も残り100日を切りました。本当に月日が過ぎるのは早い! 競輪界のグランプリ出場争いも佳境に入ってきて、来月にはGI「寬仁親王牌」が行われる。今年のGIも寬仁親王牌と競輪祭を残すのみ。賞金での出場が狙える選手にとっては非常に大事な4日間になるし、獲るしかない選手にとっても「ここで決めたい」という強い思いで臨むことになるだろう。そんなわけで今回は「寬仁親王牌」の歴史についてちょっと語らせてもらおうと思う。

寬仁親王牌、始まった意外なきっかけとは?

35年の歴史がある寬仁親王牌(写真提供:チャリ・ロト)

 第1回大会は1990年に「世界選手権記念トーナメント」として前橋競輪場で開催された。実はその前年の1989年は、グランプリが中止になってしまってね。なので、翌年の全プロ競技大会の次の日に、グランプリに出場する予定だったメンバー9人で企画レースをやろうって急遽始まったのが最初だった。全プロということでGIクラスのそうそうたるメンバーが集まるので、次の年もせっかくだしと企画レースを開催。そして当時は開催すればするほど車券が売れた時代だったこともあって、2年連続で興行面でも大成功を収めた。

 翌年からは、関係者の努力もあって寛仁親王殿下のお名前をつかわせていただけることになり、1992年から「寬仁親王牌」として開催されるようになったんだよね。スポーツがお好きだった殿下は、決勝戦も毎年観に来られていて、表彰式でもトロフィーを下賜してくださっていたし、表彰式のあとには、殿下と決勝に出場したメンバー9人によるレセプションも盛大に開いてくださっていた。私も第4回大会(1995年)では決勝に乗ったので、レセプションに参加させてもらってね。15分くらいのわずかな時間だったけど、皇族の方とお話しする貴重な機会をいただけて本当にありがたかったし、今でもいい思い出として残っている。

 ちなみに私が決勝に乗った第4回を制したのは小橋正義(59期=引退)だった。小橋はこの時が親王牌初優勝だったんだけど、その前の2年間も決勝に乗っていて、全部で4回優勝したんじゃないかな。小橋といえば親王牌、親王牌といえば小橋といっても過言ではないくらい、とにかく小橋が活躍していた印象があるね。

3年ぶりの前橋開催! “超高速バンク”で躍動するのは…

 今年は原点ともいえる前橋競輪場で3年ぶりに親王牌が行われる。去年と一昨年は弥彦、その前には青森でも何度か開催されたこともあったけど、やっぱり「寬仁親王牌=前橋」というイメージは強いから、『前橋に帰ってきた』という感じがするね。

 ちなみに2日目の優秀戦は「ローズカップ」として行われているけど、これは前橋競輪場近くにある敷島公園のバラ園から名前を取っているとのこと。これはちょっとした豆知識(笑)。

 そして前橋の特徴といえばなんといっても超高速バンクということ。“漢字の競輪”をするタイプよりも、スピード自慢の機動型が水を得た魚のように活躍するんじゃないかな。残念ながら世界選手権に出場する太田海也や中野慎詞といった現役ナショナル組は不在だが、ナショナル所属歴のある松井宏佑がここでGI初優勝、という可能性も十分にあると思う。またまた脇本雄太や寺崎浩平、久々にGIに帰ってきた新田祐大らにとっても歓迎の舞台といえそうだ。幾多のドラマが繰り広げられてきた寬仁親王牌。今年はどんな結末が待っているのか、今から非常に楽しみだね。

今年はどんなドラマが待っているのか(撮影:北山宏一)

 最後に、16〜18日に立川競輪場で「第17回山口健治杯」が、参加選手や関係者のおかげで今年も無事に開催された。そして微力ながら、現役時代からずっとお世話になっている立川市のお役に立てればと今年も立川市を通して「立川市社会福祉協議会」に10万円の寄付をさせていただいた。これからも立川市のために、そして競輪界のために、私にできることを精いっぱいやっていければと思う。

※(文中敬称略)


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山口健治の『競輪 時代の輪郭』

山口健治

Kenji Yamaguchi

山口 健治(ヤマグチ ケンジ) 東京都荒川区出身 “ヤマケン”、“江戸鷹”の愛称で親しまれる元トップ競輪選手。兄を追い38期生として在所1位でデビューし、3年も経たずうちダービー王に輝く。その後は競輪祭を二度制覇し長らく活躍するも2009年に惜しまれつつ引退。現在はスポーツ報知の競輪評論家として活躍中。

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