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前田睦生の感情移入

【みちのく記念善知鳥杯争奪戦】新山響平の“古性優作化”計画

2025/09/19 (金) 12:00 20

新山響平はカオスへと向かう

新山響平に求められるもの

 青森競輪場のみちのく記念競輪「開設75周年記念 善知鳥杯争奪戦(GIII)」が9月20〜23日に開催される。青森競輪場は山中にある闘技場というわけだが、子ども向けの遊具施設も揃っているカオスな空間だ。そう…カオス。今の新山響平(31歳・青森=107期)に求められるのは、カオスだ。

 9月15日に最終日を行った福井競輪場の「第41回共同通信社杯競輪(GII)」は南修二(44歳・大阪=88期)が44歳にしてビッグ初制覇という結末だった。太田海也(25歳・岡山=121期)がまくり切るぞ!という勢いも、古性優作(34歳・大阪=100期)が止めた。2角過ぎの一撃は、スピードを奪い取っていた。

 3角入り口での太田の落車はバランスを崩してしまってのもので、それは残念でしかないが、まず2角過ぎにあれだけの勢いで迫ってきた太田を懐に入れた古性はやはり化け物だった。さあ、新山、できるのか…。

番手回りが増える

レースを振り返る古性優作

 北日本の若手の躍進が著しい。今シリーズの注目は山崎歩夢(20歳・福島=125期)だ。GI9勝の大豪・山崎芳仁(46歳・福島=88期)の愛息で、高校時代から将来を嘱望されてきた。ただし、卒業記念で落車、昨年7月地元本デビューのいわき平初日に先頭誘導員早期追い抜き…。

 とどまらない。9連勝をかけたレースで失格。S級決勝に上がれば落車して膝を痛めてしまう。こんな漫画の原作があったら、アクシデントが多すぎてボツだろう。そんなストーリーを地で行っている。アユム。

 当然、アユムは新山の前で頑張ることになる。これから回数も多くなるだろう。新山は昨年大会の決勝で高橋晋也(30歳・福島=115期)の番手を回ったが、眞杉匠(26歳・栃木=113期)に狙われてしまった。今回も北日本の後輩の番手を回ることがあるはず。その時に新山は、今まで以上のものが求められる。

 古性はBMXで培った技術が下支えしているが、新山はずっとタテを磨いてきた選手。現在、そこに歴然とした差はあっても、地元戦で言い訳はできない。そして、これからも。競輪の究極であるヨコ、いやタテヨコナナメの動きというカオスを支配しにいってほしい。すでに古性のカオスは一流を超えた、極一流の減にある。

郡司浩平もずっと…

郡司浩平にもカオスが必要

 郡司浩平(35歳・神奈川=99期)も王道を歩んできて、S班に君臨している。このコラムで時折書いているが、スマートではなくむき出しの郡司になることを求めている。現在は同じS班であっても、すべてにおいて古性の一歩後ろと言わざるを得ない。

 共同杯、初日一次予選敗退後の敗者戦3走は非の打ちどころはなかったと思うが、もう優等生はいらない。今回を助走にして、残り2つのGIを中心に南関がムケ倒すシーンにつなげてほしい。

 末尾になってしまったが、南修二だ。共同杯で44歳にしてビッグ初制覇。若いころの大阪といえば乾準一さん(引退=85期)がいて、そのどう猛な先行の方が期待を集めていた。南は一発はあるけど…、といった時代もあった。だが、追い込み中心の戦いになってからの鬼っぷりは衝撃。まさに、カオス。競輪的な走りの系譜は井上茂徳(引退=41期)、小倉竜二(49歳・徳島=77期)に連なっていると書きたい。

 表情を変えず、どんな時も、どんな落車でどんな大きなケガをしても。変わらない鉄の肉体と意志…。いつだったかの名古屋ダービー。大塚健一郎(47歳・大分=82期)と激しく競って両者落車。しかし、スタスタと速足で検車場に戻ってきた南は、トイレの鏡を前に口をニイッと見開いてから戻ってきた。平然として近畿の仲間に「歯が欠けた」と見せていた姿に、言葉もなかったことを思い出す。

写真撮影を村上義弘さんにイジられ「今やめて!」の仕草を見せる南修二


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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