2025/11/20(木) 18:30
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は父を彷彿とさせたマーク屋佐々木龍の好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
小倉競輪の「第67回朝日新聞社杯競輪祭(GI)」の初日からハードな好プレーが飛び出した。11月19日、佐々木龍(35歳・神奈川=109期)が名マーカーとして名を馳せた父・佐々木龍也(引退=57期)を彷彿させる走りを披露した。
青野将大(31歳・神奈川=117期)に前を任せ、2人で連動してレースを支配した。今や、スピード競輪、と高らかに謳われるようになり、番手の選手の仕事は目立たなくなっている。そんな時に、父の世代が見せていたような競輪の形を浮かび上がらせた。
龍にとって「デビューしてから、父が目標であり、憧れ」と話す龍也さんの戦いがあった。マーク屋になり、番手勝負も辞さず、コツコツと経験を積んでいて、大きなGIの舞台でたくましく成長した姿を見せた。
まず肝となる好プレーは打鐘過ぎの4角だ。カマしてきた取鳥雄吾(31歳・岡山=107期)の番手の橋本強(40歳・愛媛=89期)を飛ばして、青野を取鳥の番手に迎え入れる。青野が番手から出かけていったところは、丁寧にコースを確保。冷静だった。
高橋築(33歳・東京=109期)のまくりを見た後は、その後ろに続いていた古性優作(34歳・大阪=100期)をブロック。古性の後輪は浮いたものだが、古性はさすがのバランスで転ばない。龍は道を見つけると、1着に伸び切った。
「青野の走りがあったから」と何度も強調した。前を走る選手との連動が見事だった一戦。マーク屋が目立たない時代にあって、この戦いができることを示した意味は大きい。龍が、頂点へ。そう、感じさせた。
★は3つと控えめにしておこう。この男、もっと先がある。
すごいで賞=★★★☆☆(星3つ)
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