ツール・ド・九州2024 最終・福岡ステージ

2024/10/26(土) 10:00

福岡の岡垣〜宗像大社の特設コースで開催された福岡ステージ

「マイナビ ツール・ド・九州2024」の最終ステージとなる福岡ステージが10月14日、開催された。
コースは、福岡県岡垣サンリーアイから宗像大社までの 140.48km。1周14kmの玄界灘を見渡す波津海岸のスプリントポイントと垂見峠の2級山岳ポイントを含む周回コースを9周し、世界遺産の宗像大社へフィニッシュする。最後2km伸びるストレートは、宗像大社から世界遺産の沖ノ島、朝鮮半島へと繋がる古代の海の交流の道と重なるという。
このステージでは山岳賞が9回設定され、最大で45ポイントの獲得が可能。山岳賞首位のアリエル・カルロス・サムディオ・カレーラ(コラテック・ヴィーニファンティーニ)が保有するのは15ポイント。このステージの周回コースの結果次第で、リーダーの逆転の可能性は大きい。
また、スプリントポイントにはボーナスタイムが設定されており、最大で19秒を獲得することができる。総合上位のタイム差は僅差であり、1位のエミリアン・ジャニエール(トタルエナジー)と2位ルーカス・ネルーカー(EFエデ ュケーション・イージーポスト)、3位のアントン・チャーム(アスタナ・カザクスタン)の差はそれぞれ9秒と16秒。タイム差29秒以内に上位12名がおり、上位勢の順位が入れ替わる可能性も残されている。

スタートライン最前列には、各賞のリーダーが並ぶ。個人総合首位のブルーのリーダージャージを着るジャニエール、ポイント賞のリーダージャージは首位がジャニエールであるため、繰り上げでイヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタン)が着用。山岳賞リーダーはカレーラ、U23首位の新人賞ジャージはネルーカーが着用して並ぶ。

4カテゴリーのリーダージャージを着た選手がスタートラインの最前列に並ぶ
曇り空の下、最終ステージが始まった。
レースは序盤からアタックが頻発したが、ひとつの集団のまま、波津の中間スプリントポイント(24.68km)に突入、ここではジャニエールが先頭通過。ボーナスタイム3秒を獲得し、総合優勝をより強固なものとした。
山岳賞は、1回目、2回目をネイサン・アール(JCLチーム右京)がトップ通過した。
周回コースの3周目に入り、6名の逃げが決まった。この中で総合順位が最も高いのは8位につける小石祐馬(JCLチーム右京)だ。山本元喜(キナンレーシングチーム)、入部正太朗、冨尾大地(以上、シマノレーシング)など、全日本のタイトルを持つ選手らが含まれており、山岳賞首位のカレーラはここに入れなかった。

6名の先頭集団が形成され、入部正太朗(先頭、シマノレーシング)が2つのスプリントポイントを先頭通過、ボーナスタイムを稼ぎ、総合順位をジャンプアップさせた
山本元喜は積極的に山岳ポイントを獲りに行き、周回ごとに訪れる山岳賞ポイントを確実に先頭通過。この逃げはこのまま続き、山本元喜は山岳賞ポイントを5回首位通過し、25ポイントを獲得、一気に山岳賞トップに躍り出た。

山本元喜(キナンレーシングチーム)は山岳賞を5回先頭通過し、一気に山岳賞首位に躍り出た
周回内に設定されていたスプリントポイントは2回目、3回目を入部が先頭通過。6秒のボーナスポイントを得た。
残り30kmを切ったころ、アドネ・ファン・エングレン、カーター・ベトルズ(共にルージャイ・インシュアランス)とベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)がメイン集団から飛び出し、先頭グループに合流した。先頭グループが遅れ出し、バラバラになったが、3名は先行し続け、残り2周で先頭に立った。

アドネ・ファン・エングレン、カーター・ベトルズ(共にルージャイ・インシュアランス)とベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)が飛び出し、先頭を追いはじめた
残り15km地点での先頭3名とメイン集団とのタイム差は30秒だったが、ペースアップしたメイン集団が3名を吸収。
総合上位4名が最後の垂見峠で飛び出したが、残り5kmで集団に引き戻された。勝負は集団スプリントに。

総合上位の4名が飛び出し、先行する
集団は熾烈な位置取り争いを展開しながら、田畑の間を真っ直ぐに伸びる2kmのホームストレートに差し掛かる。トタル・エナジーが先頭を引き、スピードが上がる中で、EFエデュケーション・イージーポストらも別ラインからエースを引き上げる。
ジュリアン・シモン(トタル・エナジー)が強烈にジャニエールを引き上げながら加速すると、スプリント合戦が始まった。新人賞ジャージのネルーカーがスプリントをかけ、サイドから上がってくると、ジャニエール、ポイント賞ジャージのスミルノフもスプリントを開始。リーダージャージの3名が激しく競り合い、横一線に並びながらフィニッシュに迫る。この競り合いに打ち勝ったのは、スミルノフ。両手を上げ、激戦を制した喜びを示して見せた。
総合リーダーのジャニエールが2位に入り、今大会の総合優勝を決定づけた。3位には、ネルーカーが入った。

熾烈なスプリント勝負に競り勝ったのはイヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム)だった
ジャニエールは同時にポイント賞も獲得。ネルーカーは総合2位と同時に新人賞を確定させた。
山本元喜は無事にゴールし、この日の走りで逆転させ、ポイントトップとなった山岳賞を獲得した。

4賞ジャージが確定、大きな歓声と拍手を浴びた
この激しいスプリント合戦の中で、日本人としては草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)が5位に入り、3日続けて日本人最高位となり、ベスト・ジャパニーズ賞を獲得している。この日ボーナスタイムを得た入部は総合順位を6位まで上げている。 個人総合時間賞とポイント賞のリーダーを確定させたジャニエールは「チームは今日も大きな仕事をしてくれた。最終ステージは残念ながら2位だったが、良くオーガナイズされたこの九州のレースで総合優勝という形でシーズンを 終えられることを嬉しく思う。チームメイトのジュリアン・シモンのキャリア最後のレースということで、彼に総合優勝を捧げたかった。偉大な選手である彼が自分をリードアウトしてくれたことは特別な体験となった」と語った。

チームでも総合優勝となったトタル・エナジー。このレースでキャリアを終えるジュリアン・シモン(トタル・エナジー)を誇らしく担ぎ上げ、これまでの活躍と働きを讃えた
草場啓吾は「日本でこのようなラインレースのステージレースを走れたことを、選手として嬉しく思います。また、連休中にも関わらず多くの観客の方もいらしていて、その中でできるパフォーマンスを発揮できたことは良かったです。ベストジャパニーズライダーを3日続けて獲得できましたが、目標としていたステージ3位内や獲得UCIポイント数には未達でしたので、嬉しさ半分、悔しさ半分です」とコメントしている。

3日間続けて日本人最高位でフィニッシュした草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)
今年も連日多数のイベントが併催され、会場は多くの観客でにぎわい、このステージレースが地元に根付いたことを感じさせる週末だった。
次の週末には、アジア最高峰のワンデイレース「ジャパンカップサイクルロードレース」が開催を予定され、来日した世界のトップ選手たちと競い合うシーズン後半戦のヤマ場を迎えた。

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【結果】
ツール・ド・九州 第3ステージ福岡

1位/イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム)3時間7分44秒
2位/エミリアン・ジャニエール (トタル・エナジー)+0秒
3位/ルーカス・ネルーカー (EFエデュケーション・イージーポスト)
4位/クリスティアン・ズバラーリ (コラテック・ヴィーニファンティーニ)
5位/草場啓吾 (愛三工業レーシングチーム)

【個人総合順位】
1位/エミリアン・ジャニエール (トタル・エナジー) 8時間52分34秒
2位/ルーカス・ネルーカー (EFエデュケーション・イージーポスト)+14秒
3位/イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタンチーム)+23秒

【ポイント賞】
エミリアン・ジャニエール(トタル・エナジー)

【山岳賞】
山本元喜(キナンレーシングチーム)

【新人賞】
ルーカス・ネルーカー(EFエデュケーション・イージーポスト)

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【レースレポート・プレイバック】
小倉城クリテリウム
第1ステージ大分
第2ステージ熊本

画像:ツール・ド・九州2024実行委員会

(P-Navi編集部)

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