2024/10/25(金) 10:00
「マイナビ ツール・ド・九州2024」の第2ステージとなる熊本阿蘇ステージが10月13日、開催された。コースは雄大な阿蘇の風景を駆ける108.46km。厳しい一級山岳を含み、この大会の中で最大の山岳ステージである。
使用されるコースは、世界最大級の大きさを誇るカルデラと草原をめぐる絶景が見ものの山岳ステージ。熊本地震から復興した阿蘇神社周辺を駆け抜け、雄大な阿蘇五岳を一望できる1級山岳の箱石峠を目指す。その後、2級山岳の波野を含む小周回を3周し、高森方面へと下り、白川水源をめぐりながら、フィニッシュ地点の南阿蘇村へ向かう。この小周回内に山岳ポイントが含まれており、コース内には計4回の山岳賞が設定される形になる。スプリントポイントは2回。距離は短いが厳しいステージで、個人総合優勝への道のりは、この日が重要なカギとなる。
各賞のリーダージャージが先頭に並び、選手たちがラインナップ。レースは定刻通りスタートした。
リアルスタート後、アタックはかけられるものの、抜け出しはかなわなかったが、箱石峠で逃げグループが形成された。だが、このグループもほどなく吸収され、またしばらく集団でレースが推移する。
残り68km 地点で、小石祐馬(JCL チーム右京)やトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、アリエル・カルロス・サムディオ・カレーラ(コラテック・ヴィーニファンティーニ)、ニコル・パレハ(ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング)の5名の選手が先行した。
総合リーダーのジャニエールを擁するトタルエナジーが集団の前方を固め、集団をコントロールし、逃げる5名との差を徐々に詰めていく。
ラスト10km を切った時点で、差は14秒まで縮まり、逃げ切りは絶望的になったが、吸収を嫌った小石が単独で飛び出し、先頭を独走し粘った。だが、辛くも残り1km地点でワールドツアーのチームが牽引に加わり、強力にペースアップした集団に吸収された。
終始レースをコントロールしていたトタルエナジーが、小石をかわしながら前方を固め、ジャニエールの連勝に向けて体勢を整える。各チームが集団スプリントに向け、高速でフィニッシュを目指しながら、強烈な位置取り争いを展開し始めた。国内チームもアシストがエースを引き上げ、好位置を確保しようと動く。
最終コーナーを曲がり、先頭からリーダージャージを着たジャニエールが飛び出した。イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタン)がサイドから上がり、ジャニエールに並びかける。この2人の伸びは他の選手を凌駕しており、2人の一騎討ちに。上りゴールの息をのむような力強い2人の戦いの軍配は、ごく僅差ではあったが、ジャニエールに上がった。勝利を確信し、力強いガッツポーズを繰り出すジャニエール。
3位には新人賞ジャージのルーカス・ネルーカーが入った。
2日連続の勝利を飾ったジャニエールはボーナスタイムを獲得し、総合時間賞のリードをさらに広げている。ポイント賞もゴールポイントが大きいことから、連勝でポイントを積み増し、ジャニエールは次点に大きな差を付け、ポイント賞の首位を守っている。
逃げに入ったサムディオ・カレーラが3回の山岳賞を1位通過し、ポイントを稼ぎ、この日を終えての山岳賞リーダーに輝いた。第3ステージにも多くの山岳賞が設定され、上位のポイント差が僅差であることから、まだ逆転の可能性は大いにある。
新人賞は、3位に入ったネルーカーが守った。
この日6位でフィニッシュしている草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)がベストジャパニーズ賞を獲得。前日も日本人最高位である7位でフィニッシュし、この賞を受賞している。
ジャニエールは「スプリント前の最後の牽引役を務めてくれているジュリアン・シモンにとって、このレースが彼のプロキャリア最後のレース。だからチームとしていい走りができたことを嬉しく思う。明日はベストを尽くすのみ。チームが強いので総合リーダージャージを守ることができると信じている」と、最終ステージへの抱負でインタビューを締めくくっていた。
ツール・ド・九州2024は、翌日の第3ステージが最終日。舞台を福岡に移し、最後の戦いが展開される。
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【結果】
ツール・ド・九州 第2ステージ 熊本阿蘇
1位/エミリアン・ジャニエール(トタルエナジー)2時間27分51秒
2位/イヴァン・スミルノフ(アスタナ・カザクスタン)
3位/ルーカス・ネルーカー(EF エデュケーション・イージーポスト)
4位/アントン・チャーム(アスタナ・カザクスタンチーム)
5位/イェロン・メイヤース(ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング)
【個人総合成績】
1位/エミリアン・ジャニエール(トタルエナジー) 5時間44分59秒
2位/ルーカス・ネルーカー(EF エデュケーション・イージーポスト)+9秒
3位/アントン・チャーム(アスタナ・カザクスタン)+16秒
【ポイント賞】
1位/エミリアン・ジャニエール(トタルエナジー)
【山岳賞】
1位/アリエル・カルロス・サムディオ・カレーラ(コラテック・ヴィーニファンティーニ)
【新人賞】
1位/ルーカス・ネルーカー(EF エデュケーション・イージーポスト)
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【レースレポート・プレイバック】
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画像:ツール・ド・九州2024実行委員会