JCL第6戦・オートポリスロードレース(第2戦)

2022/08/25(木) 17:23

JCL第6戦・オートポリスロードレース(第2戦)

大分県日田市のオートポリスインターナショナルレーシングコースで、「三菱地所JCLプロロードレースツアー2022」の第6戦「コーユーレンティアオートポリスロードレース(第2戦)」が8月7日、開催された。

前日に開催された第5戦と同じ会場ではあるが、上り区間が省かれた1周3.022kmのショートコースを使用するため、コースプロフィールは大きく変わる。これを、30周回する90.6kmのレースとなり、総距離も前日の4分の3程度となった。スプリンターなど、前日に見せ場が作れなかった選手にも勝機のある設定となったと言える。第5戦は宇都宮ブリッツェンのワンツーフィニッシュとなったが、スタートエリアに集まってきた選手からは「今日こそは」という気迫と緊張感が漂っていた。

スタートラインには、晴天の予報に反し、雨がパラパラと落ちていた。最前列に個人総合首位の黄色いリーダージャージを着て並ぶのは、前戦でも優勝し、さらにポイントを積み増した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)。ブルーのスプリント賞ジャージは、チームメイトの小野寺玲 (宇都宮ブリッツェン)が守っている。白いU23首位のジャージを着用するのは渡邊諒馬 (VC福岡)。
レースは定刻通りにスタートした。

オートポリスロードレースのスタート
ホストチームであるスパークルおおいたレーシングチーム、リーダージャージを着た選手を先頭にスタート

序盤からレースは活発に動き、集団から抜け出そうと飛び出していく選手と、それを捉えるための追走が繰り返される。前日より距離が短いこともあってか、積極的な動きが続くが、リスクのある動きを避けるべくメイン集団が動くため、なかなか動きが生まれない。

オートポリスロードレースの序盤戦
警戒感が強く、集団からはなかなか大きな動きが生まれない

展開が動いたのは、初回のスプリント賞を目前とした10周目。数名の選手が集団を飛び出した。設定されていたスプリント賞を取りにいく動きかと思われたが、スプリント賞を通過し終えても、ペースを落とさず、先頭集団を形成した。メンバーは16名と多く、力のある選手も含まれており、十分逃げ切りの可能性のある顔ぶれだった。中でも連勝を狙う宇都宮ブリッツェンからは、3名という数の点だけでなく、前日も表彰台に乗った小野寺玲、逃げのスペシャリスト阿部嵩之、注目の若手宮崎泰史(以上、宇都宮ブリッツェン)と強力な顔ぶれを揃えていた。那須ブラーゼンも谷順成、西尾勇人、竹村拓(那須ブラーゼン)の3名を送り込んでいる。
地元であり、なんとしても1勝がほしいスパークルおおいたレーシングチームは、孫崎大樹、沢田桂太郎(スパークルおおいたレーシングチーム)と2人のパワフルなスプリンターを送り込んだ。キナンレーシングチームも、スプリント力のあるベテラン中島康晴と小出樹(キナンレーシングチーム)が名を連ねた。

メイン集団からは追走の動きが生じた。多くのチームがメンバーを送り込んではいたが、人数と顔ぶれから逃げ切りの可能性が高く、ここに勝負できるメンバーを送り込む必要があると判断したのだ。
19周目にメイン集団から数名の選手が抜け出し、先頭を追った。前日の優勝者であり、リーダーの増田成幸と、昨年の個人総合優勝者である山本大喜(キナンレーシングチーム)、武山晃輔(チーム右京)、モンゴルのロードナショナルチャンピオンであるバトムンクマラルエルデン(レバンテフジ静岡)と、実力者揃いだ。
そののち、メイン集団からはさらに2名が飛び出した。あらゆる能力に長けたベテラン、トマ・ルバ(キナンレーシングチーム)、阿曽圭佑(ヴィクトワール広島)の2名が、20周目に先頭に合流した。

実力者が先頭集団に加わる
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)や、山本大喜やトマ・ルバ(キナンレーシングチーム)ら、実力者が先頭集団に加わる

有力選手が揃った22名の先頭集団は事実上メイン集団となり、そのまま終盤へ。ラスト2周、勝利を賭けた駆け引きが始まった。バトムンクが単独で抜け出したのだ。 約1周回先行を続けたが、この集団のメンバーが、この動きを許すはずはない。集団は最終周回を前にバトムンクを猛追し吸収。山本らのアタックも決まらず、ラスト2kmを切ったところで集団は再び一つになる。
集団はスプリント勝負へ。スプリントに向けての位置取りで動物のように形を変える集団は、ラスト500mに差し掛かった。ルバが先頭を引っ張り、速度を上げる。最終コーナーを回り、トマの後ろについていた小野寺、山本、孫崎の順にホームストレートに突入。
先頭の小野寺は一気に加速し、後続を引き離していく。そのまま、誰も寄せ付けないスプリントで、小野寺はフィニッシュポーズを決め、先頭でゴールラインを越えた。続く2位には孫崎が入り、地元チームの意地を見せた。

小野寺玲(宇都宮ブリッツェ ン)
ポーズを取ってフィニッシュラインを越える小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)

小野寺は特にクリテリウム(小周回のレース)では、強さを見せ表彰台の常連であったが、ロードレースでの勝利も課題として掲げていた。今シーズンに入り、ロードレースでも安定した強さを見せるようになり、ベテランの域に達しつつありながら、なおも成長を続けていると言えるだろう。

小野寺玲と増田成幸
フィニッシュ後、チームの連勝に笑顔を見せる小野寺、増田

小野寺は表彰台で「落ち着いてレースを進めることができた」とレースを振り返った。「終盤には昨日勝利した増田選手も加わり、宮崎選手と連携してくれたので、他チームと比べると有利に戦えたと思う」と、チームメイトへの感謝を語った。
前日の増田成幸に続いて、2連勝を飾った宇都宮ブリッツェンは、最高の形で大分連戦を締めくくることになった。

オートポリスロードレースの表彰式
各賞のリーダーたち。イエロージャージの増田を筆頭に、変化は生じなかった

各賞のリーダージャージには動きがなく、総合のリーダージャージは増田、ポイント賞は小野寺、新人賞は渡邊が守り、この日のレースも欠場ではあったが、山岳賞リーダーも山本元喜から動いてはいない。
次戦は9月3日の「キナン古座川ロードレース」。一気に勢いを増した宇都宮ブリッツェンの攻勢を、次戦がホストチームとなるキナンレーシングチームがどう引き戻すのか、注目が集まる。

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(今年のJCLプロロードレースツアー)
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JCL第2戦・カンセキ宇都宮清原クリテリウム
JCL第3戦・広島トヨタ広島ロードレース
JCL第4戦・広島トヨタ広島クリテリウム
JCL第5戦・コーユーレンティアオートポリスロードレース

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【結果】コーユーレンティア オートポリスロードレース(第2戦)90.6km
1位/小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)2:04'13"
2位/孫崎大樹(スパークルおおいたレーシングチーム)
3位/山本大喜 (キナンレーシングチーム)+0'01"
4位/谷順成(那須ブラーゼン)+0'01"
5位/阿曽圭佑(ヴィクトワール広島)+0'01"

【JCL各賞リーダージャージ表彰】
イエロージャージ(個人ランキングトップ)
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)

ブルージャージ(スプリント賞)
小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)

レッドジャージ(山岳賞)
山本元喜(キナンレーシングチーム)

ホワイトジャージ(新人賞)
渡邊諒馬(VC福岡)

コーユーレンティア敢闘賞(最も積極的なレース展開をした選手)
バトムンク マラルエルデン(レバンテフジ静岡)

画像提供:ジャパンサイクルリーグ(JCL)(P-Navi編集部)

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