2018/06/02 (土) 09:19
消音マフラーを着用してのグレード戦、G2川口記念(5月23〜27日)で優勝したのは、SGウィナーとなった佐藤貴也(浜松29期)だった。「ベットオンミー」の決め文句で知られる男は鮮やかな追い込みでVをもぎ取った。8周1角で阿部剛士(川口27期)を捌き、2018年はオールスターに続くグレード戦V。この大会は2015年に続き2回目の制覇となった。
消音マフラーは2015年9月に川口で導入された。上手な対応は好走に不可欠。佐藤貴也は見事な調整を見せた。
「後半に良くなるので、8周回はいいと思った」と、8周回仕様にマシンをキッチリ仕上げて、結果を残したことに満面の笑み。
導入直後は試行錯誤を繰り返していたけれども、今はもう方向性を掴んでいる。
「何とか前に付いていった。道中の手応えが良く、届くと思った」
そのようにVレースを振り返っていた。
しぶとい追い上げで2着に入ったグランドスラマーの中村雅人(川口28期)は2017年6~8月の約2ヶ月間、ケガで戦列を離れていた。よって消音マフラーは2年ぶりだった。
「どう調整したか?全く覚えていない」
前検日には不安も口にしていたが、シッカリと対応できたようだ。初日、追い込んでの2着には安堵(あんど)の表情を浮かべていた。
今開催、ランク1位の鈴木圭一郎(浜松32期)の斡旋はなく、2位の青山周平(伊勢崎31期)は消音マフラーに苦しめられた。3日目9Rは5着止まり。序盤は最後方の厳しい展開になった。ロッカーでは「う~ん……」と、表情を曇らせるシーンが多かった。
連覇を狙った永井大介(川口25期)は優出こそ逃したが、消音マフラーへの調整方法は心得ている。導入直後は仕上げに苦労したものの、基本的に「消音はエンジンが良ければ大丈夫」という考え。
佐藤貴也、中村雅人、永井大介ら以外も、とにかくシリーズを通じて、ロッカーでは選手たちの様々な見解が飛び交っていたものだ。
選手を悩ませる消音マフラーは前検日に抽選で配られる。川口オートレース場が用意したものを次々に選手たちは受け取っていき、マフラーの付け替えに大忙し。当然、報道陣の質問も「消音マフラーはどうですか?」という旨がメインになる。答えは「悪いイメージはない」、「苦手な感じ」、「よく分からない」などに加えて、「消音マフラーには当たり・外れがある」との声も多く聞かれた。
報道陣にとっても消音マフラーは厄介だ。言い訳ではないが、消音マフラーを使用する開催自体が少ないので予想も難しくなる。それでも、都市部の川口オートレース場でナイター開催が出来るのは消音マフラーのおかげ。仕事終わりの会社員が簡単に立ち寄ることが出来るし、場内に設けられたビアガーデンも楽しい。
ナイター開催の記者席は昼開催にはない緊張感に包まれる。最終レースが終わるのは20時40分頃。原稿出稿の締め切りは日刊スポーツの場合は21時40分。取材が終わってから、僅か1時間である。時間に追われ、情報をまとめ、記事を急いで書く。集中力を最大限に高めての作業は本当に疲れてしまうものだ。
余談になるが、私はガールズバー、キャバクラ、スナックなどで飲むのが大好き。ほぼ毎日、繰り出す。自宅から川口オートレース場までは約1時間。昼開催は楽に帰れるが、ナイターになると厳しい。川口オートレース場を22時ごろに出て、JR西川口駅周辺でまずは腹ごしらえの食事。それから飲みに行くと、アッ!という間に終電時間になってしまう。仕方なくスーパー銭湯へ向かい、早朝に自宅へ戻るの繰り返し。今シリーズ5日間、自宅で寝たのは1日だけ。とても疲れた理由は締め切りに追われていたことよりも、こんな生活であったせいかも知れない(苦笑)。
川口の消音マフラー使用のナイター開催は今後、6月21~24日の一般戦、7月25~29日のG1日刊スポーツ・キューポラ杯となる。
天野記者
Perfecta Naviのオートレースライター。