2022/08/18(木) 12:00 0 14
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今回は激闘が繰り広げられたオールスター競輪の中から平原康多の“気持ち”好プレーです。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
台風8号の影響もあって1日順延となり、8月15日に最終日を行った西武園競輪の「第65回オールスター競輪(GI)」で最も注目を集めた平原康多(40歳・埼玉=87期)は準決で落車携入の7着で決勝進出を逃した。
何度も何度も苦しい思いをしてきて、今回はホームバンクの西武園。練習の毎日を過ごす場所で、栄光に浸ってほしかった。しかし…準決で落車。最終日は走るのか…と思っていたが、出走表に名前があった。
今回の好プレーはレースの中での走り以上に、最終日も気持ちを込めて走ったこと、これに尽きる。まず最初に★5つと表明しておこう。
前を任された吉田有希(20歳・茨城=119期)も熱かった。
「それしかない」。先行で平原の前で駆けることに、自分自身を投じた。守る平原がいて、落車のアクシデントがあったことはあるが、平原1着、有希2着のワンツーにファンは大声援を送った。
「頑張って良かったと心の底から思います」。
2角出口では、誰も来ていなくてもけん制。「来たら、やるよ」と見せつけた。平原は息も絶え絶えにレースを振り返った。おそらく、メチャクチャ痛い、体も心も。顔色はかなり悪かった。でも、ファンの声が全身を“何か”で満たしていた。
かけたい言葉は山ほどあったが、かけられる言葉がなかった。「こんなに頑張っているんだ…」と、もう声も出なかった。40歳のオジサンに対して変な言葉だが、愛おしくて、そして、抱きしめるには平原はデカすぎるが、抱きしめたかった。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)