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【熊本競輪】ルーキー吉田悟、“強制師匠”の中川誠一郎とともに高みを目指す

2021/04/04(日) 06:00 2 11

3月に日本競輪選手養成所を出所した119、120回生は5月のデビュー戦を控えている。熊本からデビューする吉田悟もその1人。5月名古屋の「ルーキーシリーズ2021」へ向けて今から準備を進めている。

“チーム熊本”期待のルーキー吉田悟は、体育会系九州男児

 熊本県、玉名の出身で高校は長崎、大学は大分。野球部出身の体育会系九州男児だ。卒業後は銀行マンとして堅実な人生を歩んでいたが、「体を動かす職業、プロスポーツでもう一度チャレンジしたい」と競輪選手を志した。

 とはいえ、当初は競輪界へのツテがなく方法を探っていたところ、大学時代の友人の弟が競輪選手だと知った。

「佐賀の橋本瑠偉ですね。彼に会いに行ったら、武雄の試走会に出ることになって。そうしたら検車場にいきなり(橋本の師匠の)荒井崇博さんがいて…。怖かったです(笑)」。

 実は社会人時代から車券を買っている競輪ファン。九州地区、競輪界における荒井の存在はうすうす知っていた。しかし話してみると、快く対応してくれて「じゃあ、瑠偉にくっついて始めればいい」とトントン拍子に進んだ。だが、吉田は熊本で就職していたため、佐賀に通うのは時間的、経済的に厳しかった。

 すると荒井は、携帯を取り出してあるところへ電話をかけた。「おお、俺や。熊本で選手になりたいって奴がおるんやけど、お前、面倒みてやれんか?」。

 電話を切った荒井が直立不動の吉田にひとこと。「今な(中川)誠一郎に話をつけたけん。明日から誠一郎に面倒見てもらえ」。

 吉田は「初めて車券を買ったのが別府記念の誠一郎さんのレースでした。ファンだったしまさか弟子になるとは…」と驚愕した。

 あの、のほほんとした中川誠一郎が弟子を育てるとはなかなか思えないが「荒井さんから言われたら断れない(笑)。最初に合志さん(合志正臣)に電話をしたけど、出なかったから自分のところにきたみたい。強制師匠です」と入門を許可した。

 弟子は師匠を選ぶことはできても、師匠は弟子を選べない、これが師弟のお約束だが、2人に関して言えば、共に選ぶことなく勝手に師弟関係が成立した珍しいパターンだ。

震災からの復興を目指す熊本競輪場で新たな“息吹”が芽生えようとしている

 最初はぎこちなかったが、吉田のおかげで中川も「さぼれない」と、バンクに入る機会が増えたというし、それなりに相乗効果があるようだ。(netkeirin特派員)

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