前開催では2周に及ぶロング先行を披露し、押し切って2度目の優勝を飾った。 　初手は3コース、優勝候補の一角・朝倉智仁の後ろという絶好ポジション。しかし、藤井は好位に甘えることなく、自ら果敢に仕掛けにいった。本人も「自分で展開を作って、これ以上ない完璧なレースだと思う。勝ちパターンに持っていけた」と自他ともに認める会心の走りだった。

　その後の取材で優勝賞金の使い道は「世の中のために使いたい」と話し、賞金の一部を子ども食堂とユニセフに募金することを明かしてくれた。藤井のように競輪界には寄付や活動支援を行っている選手は多い。藤井に寄付や活動支援を始めるキッカケを聞いてみた。

「子ども食堂への支援は去年から始めて、ユニセフへは今年1月の開催で優勝してからですね。微々たる額ではありますが、まずは始めることが大事だと思って。継続していきたいと思っています」。

　藤井自身も二児の父親、検車場では子煩悩な一面を覗かせる話も多く、「テレビのニュース番組で子ども食堂についての特集を見て、何かできることはないかと考えさせられた。経済的な理由や家庭の事情で一人きりで食事をせざるを得ない子どもが少なくないことを知りました。自分も父親の立場だし、子どもが好きなので。少しでも力になりたいな、と」。

　続けて「好きな自転車を仕事にし、お金を稼いでいる自分は恵まれていると思うんです。いまの環境に感謝しながら、ちょっとずつ世の中へ還元していけたら」と話す。

　今回の状態面については「腰痛が出てしまって前走の玉野は欠場。でも、すぐに良くなったし大丈夫」。

　近況の練習の話題になると「最近、新しいトレーニングを取り入れた。自転車でなく、体幹や瞬発力を鍛えるもの。まだ始めたばかりで結果にすぐ反映するとは思わないけれど、良い感触なので期待できそう。PIST6でも体幹って一番大切なんじゃないか、と。やっぱりギヤも重たいし、普段とは違うバンクとあってバランスを保つのが難しい。体幹がぶれてしまうと全く踏めないですからね。優勝はあまり意識せず、しっかり自分の力を出し切れるように頑張りたいです」と締め括った。(アオケイ・八角記者)

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