全国各地に先行職人と呼ばれる選手はたくさんいるが、僕の中での先行職人ナンバーワンは浦山一栄だと思っている(善方政美とかなり迷った)。

「50歳までこのスタイルを貫いてきたから、いまさらもうやめられない。先行するって言って自分にプレッシャーをかけるのも楽しいし、中毒性が強いんだよね(笑)。もちろん、119期とか121期の子が相手のときは、先行したくてもできないことがほとんどだから、自力とか自力自在とコメントするようにしている。初日みたいなレース(赤板先行)ができるのはブイブイ駆ける新人がいないときだけ」。

　今でこそチャレンジに甘んじている浦山だが、昔はバリバリのS1で一流どころの自力選手を苦しめていた。

「FI優勝は全部で5回。逃げ切りが2回と捲りが2回で、前が行ってくれての差しが1回。記念の決勝は2回あって、どっちも上手くいかず7着と9着だった。回数は少ないけど、GIにも何度か出場することができたし、いい競輪人生だったと思いますよ」。

　2日目に行われる準決4Rはシリーズリーダーで大本命の上遠野拓馬との対戦。コメントは「せんこ…」と言いかけ「やっぱり自力で」だったが、「やれるだけのことはやるつもり。ボコボコにされて、キャイーンってならならないように頑張ります(笑)」といつもの笑顔で話していた。(アオケイ・長谷川記者)