閉じる

【PIST6】曽我圭佑が語る“自転車競技の楽しさ”「先頭で風を切って走っている姿を見て欲しい」/「ZERO」ラウンド8優勝者インタビュー

2022/03/24(木) 17:00 0 1

2021年10月にTIPSTAR DOME CHIBA(千葉市)で開幕した「PIST6Championship」。すでに数多くの名シーンや名勝負が生まれているが、PIST6に参戦した選手たちはどのような感想を抱いているのだろうか。今回netkeirin編集部では ZEROラウンド8で優勝した曽我圭佑選手にインタビューを実施した。決勝レースの振り返りはもちろん、PIST6と競輪の違いやその難しさを語ってくれた曽我選手。家族や趣味といったプライベートな話題から優勝賞金の使い道まで、さまざまな質問に笑顔で応じてくれた。※インタビューはオンラインで実施(取材日:2022年3月9日)

©︎PIST6

■1回目の走りを糧に「前へ前へ踏んでいけば何とかなる」という意識で

ーー1月と2月に二度PIST6に参加し、ラウンド8では見事優勝されました。二度目のレースに参加するまでに、優勝へ向けてアジャストした部分はありますか?

 元々高校と大学で競技をやっていて自信はあったのですが、走ってみるとなかなか上手くいきませんでした。1回目走ったときは全然駄目で、走った感覚で「もっとギアを上げたら良いかも」と感じ、2回目でその調整がレースとマッチして結果が出せました。

ーー初出場の際に「駄目だったな」と思う部分とは?

 前へ前へと踏むレースが出来ず、後方に置かれてしまったところです。1着が取れなくても、前へ前へ踏んでいけば何とかなるという意識で、2回目に臨んだところ上手くいきました。

ーー早めに仕掛けていくと長い距離を強く踏むことになりますが、不安は感じましたか?

 残り2周から仕掛けようと思うと500メートルくらいですし、普段の競輪はその距離でも仕掛けているので不安はなかったですね。ギアが掛かっているのとマシンもPIST6では違うので、できるという自信はありました。

ーーラウンド8で優勝されたとき「1レース目は自分らしい走りができたが、2レース目と3レース目は思っていた走りができなかった」とコメントされていましたが曽我選手にとって、自分らしい走りとはどんなものでしょうか?

 抑えて走るより、人の後ろから仕掛けていく走りが好きなタイプなので、それが自分らしい走りだと思います。1レース目では上手くできましたが、2レース目と3レース目はなかなか思うようにはいきませんでした。

■似ているようで全然違う“自転車競技”と“競輪”

ーー曽我選手は競技をずっとやられてきていましたが、競輪選手になってからギャップはありますか?

 自由な時間が多いですね。練習をしているといっても、ずっと自転車に乗っているわけではないですし。会社員のように毎日決まった時間に仕事ではないので、社会人の友達に話を聞いてギャップを感じることはあります。競輪選手は自分の時間が多いので、こんなに良い仕事はないと思いますね。自分には競輪選手が向いていると思います。キツイですが、やっていて楽しいです。

ーー競技と競輪では、走りやレースの運び方も違うので難しいでしょうか?

 周りからも「優勝するくらいの脚はあるだろう」と言われるんです。でも、自分の中ではそれとこれとは、別物だなと思っています。脚だけの問題ではないなと感じますね。

ーー学生時代に競技を行っていたときと、現在のギアに違いはありますか?

 ギアは大学生のときは4倍以上かけたことがありませんでした。当時は3.85だったと思います。現在は周囲の選手とのギアに合わせて調整を行っているので、学生時代とは重たさが全然違いますね。

ーーPIST6と競輪を走るときで、心境の変化はありますか?

 競技が好きなので、どちらも楽しく走ることができています。どちらも自己責任ではあるんですけど、競輪はラインができる以上、自分の責任を果たさなければいけないという意識が強いです。点数なども考えてしまうので、競輪の方が精神的に負担はあるかなと感じます。

ーー競輪との機材の切り替えはいかがですか?

 理想はカーボンで乗っている自転車のポジションを、競輪のフレームに乗せるようにしたいです。同じ寸法で自転車を作っても、それがなかなか上手くいかないですね。そこの違いがあり自分のベストな力を競輪で出せていないなと感じます。

■不甲斐ない初参戦から徐々に掴んだ感触

©︎PIST6

ーー初参戦のラウンド3では自信があったとコメントしていましたが、全体順位17位という結果でした。そのときの心境はいかがでしたか?

 決勝ぐらいは行けるだろう、と本気で思っていました。周りが全員競輪選手ということもあるのかなと思いますが。競技をやっているという、有利なアドバンテージを生かせなかったので、17位という結果は不甲斐ないと思いました。

ーー初参戦は走路に慣れていないので不利になりやすいと思いますが、レースを重ねるごとに感触を掴んでいくのでしょうか?

 2回目参戦したときは全然違いましたね。身体の使い方やコーナーの倒し方も、1回目に比べて上手くいったと思います。

ーー得意不得意な並びや順番はありますか?

 僕は1枠が一番キツイですね。下手すると泳がされてしまいますし、人を前に出させてもそのまま流れて後方になってしまうので。後方だと前の誰かが動いてくれる可能性があるので、それに付いて行けますし。

ーー“突っ張るなら突っ張る”といったレースをされるのかと思っていたので意外です

 ラインがあるならそうしたいです。でもハコ捲りされるのが嫌なんですよね。相手次第というところもありますけれど。1枠になったとしても、動く人が1人2人なら突っ張っても良いかもしれないです。でも決勝レベルで1枠は、やっぱりキツイんじゃないかなと思います。

■競輪とは違ったPIST6の魅力

©︎PIST6

ーー音楽や照明といった演出が競輪とは違うと思いますが、いかがでしたか?

 楽しいですね! 滅茶苦茶良いと思います。走っている分にも楽しいですし、お客さんにPIST6をもっと知ってもらいたいですね。

ーーユニフォームはご自分で選んだものですか?

 選んだつもりはなかったんですよね(笑)。ユニフォームは10種類の中から、第一希望と第二希望を伝えて選ぶ仕組みでした。第一希望でオレンジを基調としたユニフォームを選んだんですけど、実際に届いたのは違うものだったので「こんなの選んだっけな?」と思ってました(笑)。まあ、自転車の色にも合ってるし良いかなと!

ーー発走直前、顔の前で一本指を立てるルーティーンに意味があればお聞きしたいです

 ボクシングの動画で、指を顔に近付けたり離したりすることで視野が広くなると見たので、やってみようかなと思って始めました。レース中は視野の広さも大事になるので。

ーーPIST6は級班混合のレース体系ですが、意識の違いや戦いにくさなどはありますか?

 全然気になりませんでした。大体はハロンのタイムで決まるようなところがあるので、級班関係なくタイムとレース運びを見て判断していますね。S級1班の人でもハロンでタイム出さない人もいるんだなと知って、脚だけではないと再確認しました。

ーーPIST6で優勝するための秘訣はありますか?

 精神論になってしまうのですが、気持ちの部分が大きいと思います。長くても2周は行くという気持ちが必要ですかね。前へ前へ踏む意識があれば、良い位置も取れると思うので。拮抗しているときに6番手だとどうしようもないですから。改めて決勝に行くときに先頭に出ることは強く意識しました。

■中学・高校からの仲、瓜生崇智の存在

ーーPIST6に出場する際、ライバルとして意識した選手はいますか?

 同級生の、瓜生崇智です!瓜生とは、中学・高校からの仲です。

ーー瓜生崇智選手はどんな人ですか?

 彼はとても人柄が良く社交的で、人に好かれますね。明るくて社交的な性格は、僕には真似できないところです。学校と部活がずっと一緒だったので、腐れ縁で悪友だなと思いますね(笑)。

ーー瓜生選手を対戦相手と考えるとどんな関係性でしょうか?

 レースはレースなので、真っ向勝負をします。レースが終わったら、そのことで笑い合いたいですね。

■趣味はゲーム、すきま時間に自己啓発

ーーずっと続けている趣味やマイブームはありますか?

 インドア派なのでゲームをしていることが多いですね。RPG、シューティングなど色々なジャンルをやります。ゲームは子供のときからずっと好きでやっています。子供が生まれてからなかなか時間が取れないですけど、以前は夜中通してやるくらいでした。

ーー宿舎に行くときにゲーム機を持って行ったりしますか?

 宿舎に行くときは持って行かないですね。以前は持って行ったりもしたんですけど、人と話すのが好きなので自然と持って行かなくなりました。

ーーPIST6に出場されたときは、同県の先輩方とお話しするんでしょうか。

 そうですね、控室が大体一緒なのでそこで話をすることが多いです。 後は自分の時間で本を読んだりしています。自己啓発やトレーニングに関する本を読んでいます。最近はひろゆきさんの本を読んでいます。動画で話している様子を見て、どんな思考の持ち主なんだろうと気になったので。競輪はメンタル部分が大きく影響するので、自分に生かせそうだなと思う部分は取り入れるようにしています。良い所取りという感じです。

■”愛妻家”曽我圭佑が語る、同じ環境だからこそ分かり合える仲

ーー優勝賞金の使い道はどうしましたか?

 今付けているネックレスは、賞金で買いました! 流石に賞金全部を使い切るような豪快な人間じゃないので、残りは貯金してます。僕はお金を貯めるのが好きなんです。通帳を見て自己満足に浸るのが好き(笑)。結婚して子供も生まれて出費も多いですし、貯金します。

ーー優勝された記念に奥様へ賞金でプレゼントなどしましたか?

 Twitterで上げたもの(※)以外だったら、ホワイトデーのお返しにゴディバを買いました。バレンタインデーに凝ったものを作ってもらったので。(※奥様には欲しがっていた服、息子さんには靴をプレゼント)

ーー奥様とご一緒の様子をTwitterなどで拝見しましたが、仲が良くて素敵ですね。曽我選手は、愛妻家ですか?

 間違いなく愛妻家です。愛妻家と言われることに恥ずかしさはありませんね。

ーー奥様も競輪選手で、現在は育休中とお聞きしました。トレーニングやPIST6のレースについてお話しはされましたか?

 自転車の話は、お互いあまり話題には上げませんね。走っている距離も違うので、アドバイスというのも難しいですし。話すといっても「このレースで転ばなくて良かったね」といった、他愛もない会話が多いです。お互いに選手だからこそ、トレーニングやレースの内容について指摘することはしませんね。

ーー奥様が馴れ初めで「辛いときに話を聞いて支えてくれた」というコメントを拝見していたので、よくお話しをされているのかなという印象がありました。

「このレースは駄目だったなあ」といった愚痴を言うことはありますね。同じ競輪選手ですから、辛いことなども他の人に比べて理解し合えると思います。

■毎日200kmを1週間乗ることができれば息子を競輪の道に

©︎PIST6

ーー去年息子さんが生まれてから、競輪選手として心境の変化はありましたか?

 家族ができたことで責任感が生まれました。良い成果を残さなくては上で戦うこともできませんし。自己満足のレースではなく、最近はきちんと結果を残せるようになってきたかと思います。

ーー曽我選手のお父様、奥様も競輪選手で、正に競輪一家と言えると思います。息子さんも競輪の道に進んで欲しいと思いますか?

 いやあ、どうですかね(笑)。あんまり進んで欲しくないなあと思いますね。やっぱり自転車はキツイんで、自分がした苦労をさせたくないなと。自分の父が競輪をさせたくないと言った理由が、今になって分かるような気がします。自分の両親は、自転車をさせようという風な雰囲気は全くありませんでした。

 中学生までは野球をやっていたんですが「競輪をやりたい」と思うようになって、今に至ります。父の背中を見ていたので、自分もやってみたいという気持ちが生まれたんだと思います。息子が自転車をやりたいと言ったら、一番キツイことをまずさせてみようかなと思います(笑)。

 自転車やっていてキツイと思うことは、距離を乗ることとパワーマックス(固定自転車)での追い込み練習ですね。初心者だとパワーマックスでの追い込みは難しいと思うので、毎日200kmを1週間乗るというところからでしょうか。それを毎日やる覚悟があるというのが大事だと感じますね。実際に200kmなんて、僕も無理なんですけど(笑)。どんなにキツくてもやりたいと言うなら応援します。

■2周目からの仕掛けがハマった決勝レース

©︎PIST6

ーー「決勝は作戦通りだった」とお聞きしました。優勝が決まったときの心境をお聞かせください。

 決勝はどんな展開でも2周目から行こうと決めていました。無理やりだろうがゆっくりだろうが関係なく、仕掛けたのが上手くハマりましたね。まさか自分が優勝できるとは思いませんでした。

ーーPIST6優勝をお祝いしてくれた選手で印象に残っている人はいますか?

 熊本の選手で言うなら、開催が同じだった西島貢司さんは会ったときにすぐ「おめでとう」と言っていただきました。S級1班の選手だと、岐阜県の川口聖二さんも印象に残っています。見てくれてる人は見てくれているんだな、と思いました。

ーーPIST6で曽我選手の「ココを見て欲しい!」というアピールポイントはありますか?

 力強い走りが強みなので、先頭で風を切って走っている姿を見て欲しいです!

ーー次回開催への意気込みをお願いします。

 有言実行の優勝ができたので、次回は完全優勝を目指して頑張りたいと思います!

◆曽我圭佑選手のプロフィール(取材時)

出身  :熊本
生年月日:1994/4/3
班級  :S級2班
府県  :熊本
身長  :175cm

【SNSはコチラ】
曽我圭佑選手 Twitter
曽我圭佑選手 Instagram

閉じる

新着競輪ニュース

ニュースランキング

ニュース&コラムを探す

検索する
投票