「いつか自分の成績が落ちるのではないかという危機感を常に抱きながら、日々どうすればいいのかを考えています。だから“このくらいでいいかな”とか現状には妥協をせず、セッティングや乗り方などあらゆる事を試している」と話す。

　もちろん、セッティングを変えたからといってすぐにその効果が出るほど甘くはない。武藤の長所は、誰にでも話を聞ける柔軟な社交性だ。

「親父(武藤嘉伸59期)からも色々と話を聞きますが、地区が違っても同じ関東の追い込みの先輩から積極的にアドバイスを聞きにいくようにしてます」

　自分自身を冷静に分析し、他人のアドバイスを素直に聞く謙虚な姿勢こそが、武藤を進化させている要因なのだろう。

「届かないかもしれないが、平原康多さんのような強い選手に少しでも近づきたい」と目標を掲げている。平原は輪界を代表するトップクラスの選手だけに、その位置に近づく事自体が『茨の道』であるが、実直で人間性も抜群の武藤ならきっと平原に近づけるはずだ。(アオケイ・真島記者)