2021/03/12(金) 19:00 0 0
「コースを縫う」
これは競輪用語で、後方からコースを探しながら突っ込むという意味。センス・技術・脚力が伴わないと成功しないので、マーク屋にとっては、“コースを縫って”1着を取るのが勲章だ。
初日予選の一丸安貴は、6車立てのレースだったが、不発ラインの3番手でバックドン尻。そこから、内に切り込み、頭まで突き抜けた。
「バックでは、厳しいかなと思ったけど、いい感じでコースを突けた」と白い歯を見せた。
元々は特別競輪の常連で、中部黄金世代を支えたひとり。GIのタイトルには手が届かなかったが、当時のビッグレース、ふるさとダービー小松島で優勝している。記念も3度優勝して、存在感は抜群。長らく選手会の支部長を務めた人格者だが、昨年、自ら役職を降りた。
「もう1回、選手としての自分を魅せたかったから。自分の事だけを考えれば良いので、精神的な負担も少なくなった。今の愛知支部は自分がいなくても人材が揃っているから、安心して任せていますよ」
頭脳明晰で、後輩に慕われ先輩からの信頼も厚かった。個人的には、改革者として選手会のトップになって欲しかったし、役職を降りたのは残念だ。(町田洋一)