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【PIST6】絶対王者・雨谷一樹が振り返る「あのゴールが1番うれしかった」/2021-2022「JAPAN HEROES」優勝者インタビュー

2022/02/07(月) 15:00 0 3

2021年10月にTIPSTAR DOME CHIBA(千葉市)で開幕した「PIST6Championship」。すでに数多くの名シーンや名勝負が生まれているが、PIST6に参戦した選手たちはどのような感想を抱いているのだろうか。今回netkeirin編集部では「JAPAN HEROES」開幕戦、そしてシーズンファイナルに出場し、二度の完全優勝を果たした雨谷一樹に話を聞いた。※インタビューはオンラインで実施(取材日:2022年1月19日)

雨谷一樹(Photo by Kenji Onose)

■自転車競技・チームスプリントのスターターは“タイムがすべて”だった

ーーここまでPIST6に参加してみて、全体的にどのような感想をお持ちでしょうか?

 演出がすごい、というのは一番に感じました。過去に『トラックパーティー』というイベントの時に同じような雰囲気を体験したんですが、そういう雰囲気よりさらにすごい空気があって。とても気合を入れて走れましたし、自分にとって良い経験ができました。今後こういう雰囲気の中で走ることが当たり前になれば、PIST6にとっても、日本の競輪にとっても、良い影響があるんじゃないかなと思います。

ーー今までの自転車競技実績から海外でのレース経験も豊富な雨谷選手ですが、海外と比べて「こうなったら良いな」と思うことはありますか?

 海外だと満席が当たり前だったので、コロナ禍という状況で厳しいとは思うんですけど、今後席が埋まり、満席の状態で走れることができれば、やっぱりうれしいですね。

ーーPIST6のユニフォームは気に入ってますか?

 第一希望のユニフォームだったんで、自分はとても気に入ってます。似合ってますかね? どうですか?

ーーすごく似合っていると思います! 雨谷選手は渡邊一成選手と交流がありますよね。渡邊選手はお子様に選んでもらったら「一番ないと思ってたデザインだった」と話していました

 もう一成さんには一番お世話になっていますね。今も競輪用のフレームをお借りしてますし。今はできませんが、昔はよく2人でご飯を食べに行ったりしていました。とてもお世話になっています。ユニフォーム(笑)。一成さん、まさかあれを選ぶとは思わなかったんでびっくりしました(笑)。

ーー自転車競技とPIST6のレースを比べて走る時の気持ちは違いますか? 変化などがあればお聞かせください

 雰囲気に飲まれないで一走一走自分の走りをするだけなのでレースに臨む上での気持ちの変化はないんですが、PIST6ではラウンド1とファイナルで優勝しているので。負けられない立場になっているというか。競技の時はそういった気持ちが全然なくて。

 自転車競技のチームスプリントで1走だった時は本当にタイムとの戦いだったんで、タイムがすべてという感覚で自転車競技はやってきたんですよね。今2回優勝できていることで、別のプレッシャーというか緊張感を持って走らせていただいているという感じです。

ーーPIST6に参加してから、身体や精神に変化があれば教えてください

 そうですね…。PIST6は勝てるのに競輪はなんで勝てないんだろうっていう疑問が自分の中で出てきて(苦笑)。もう少し競輪で勝てても良いのかな、と思うようになりましたね。自転車もギアも違いますが、その辺を考えて練習に取り組んでいきたいと思います。

ーーPIST6と競輪の違い…、マシンの違いなどが大きいのですか?

 PIST6は走り慣れてるのが一番大きいとは思うんですけど、あとは個人戦なんで気が楽っていうのはありますね。

青のグラデーションを纏い、クールにポーズを決める(Photo by Kenji Onose)

ーーPIST6での「級班混合」という部分は意識されますか?

 走っちゃえばワンピース着ているんで、誰が誰だかあんまりわかんないんですけど(笑)。自分は車番だけ見て、意識する人を考えて走るって感じですね。特にA級S級っていうのは考えず、全力でやってます。

ーー普段一緒に走る機会のない選手のことを事前に調べたりとかは?

 A級の若手の子とかはどういう走りをするかわからないところがあるので、やっぱり競輪のレースだったり、PIST6のレースだったりを一通り見て、どういう走り方をするのかっていうのは見てます。

 仕掛けが早い選手だったり、その逆で遅い選手、あんまり動かない選手だったり。対戦相手のスタイルを考えて、最初の並びでどういう風に戦うかを決めています。

ーー並びと言えば、好きな枠順は?

 基本的には2番目と3番目が動きやすいんじゃないかなと思っています。あとは強い選手がいたら、その後ろが動きやすいというのはありますね。

対戦相手と並びから予測してさまざまなレースパターンを想定する(Photo by Kenji Onose)

■“誠一郎さん”との死闘! JAPAN HEROESシーズンファイナル決勝を振り返って

ーー2020年にナショナルチーム(自転車競技)を引退されていますが、自転車競技の練習は継続されていましたか?

 そうですね。(自転車競技と)競輪ってやっぱり違うので、それを踏まえてナショナルチームでトレーニングしたことに競輪で必要なことをプラスして自分で考えてやってます。ナショナルチームでは毎週全員のメニューが送られてきてたんで、みんなのメニューを知ることができたんですよ。

ーーその練習メニューは選手によって全然違うものですか?

 脚質とかで全然違うので、人によって違いますね。自分は色んな選手の練習を見ながら練習メニューを決めてます。やっぱり新田さんとか脇本さんのメニューはきつかったですね…(笑)。

ーー昨年末の「JAPAN HEROES」シーズンファイナルで中川誠一郎選手と対戦がありましたが、レース前のコメントでもお互いを尊重し合う関係性が見て取れて、素敵でした。中川選手とはナショナルチーム時代にチームメイトでしたが、仲は良いのですか?

 誠一郎さんとは何か国一緒に行ったかわからないくらい遠征も行きましたし、同じ部屋になったこともあります。一緒にチームスプリントを走ってたんですけど、本当にチームメイトとして頼りになる先輩で。

ーー決勝レース1着でゴールした時の気持ちは? 力強いガッツポーズもかっこよかったです

 今まで誠一郎さんに一回も勝ったことがなかったので、過去一番うれしかったですね。正直勝てるとも思っていなかったので。ラウンド1でガッツポーズは一回もしなかったんですけど、あのレースは本当にうれしくて。自然と両手が上がりました。

ウイニングランで力強く両手でガッツポーズ(Photo by Kenji Onose)

ーーレースの後に中川選手とはお話しされましたか?

 はい。誠一郎さんに「おめでとう」って声をかけてもらいました。誠一郎さん的には優勝したと思ったらしくて。「強かったよ」と言ってもらえました。最終バックで外に踏み出した瞬間にいけるなという感じだったんですが、誠一郎さんは「バックでは勝ったと思った」と言ってました。自分はバックで「もらった!」と思いました(笑)。

ーーそれを聞いた中川選手の反応は?

 いえ、この話は誠一郎さんに言ってません(笑)。

ーーちなみに中川選手とは普段どんなお話をされるんですか?

 誠一郎さんはそこまで口数が多い方じゃないんですけど、ボソっと面白いことを言ってくる感じです(笑)。

シーズンファイナル表彰式では準優勝・中川誠一郎、3着・瓜生崇智から祝福を受けた(Photo by Kenji Onose)

■自宅トレーニングルームに置く同期・深谷知広との写真

ーー今いらっしゃるところはトレーニングルームですか?(※オンライン取材を受ける雨谷選手の後ろには数台の自転車とトレーニング器具などが置かれていた)

 はい。自宅に作ったトレーニングルームにいます。この家を建てる時に作りました。

ーーいつもご自宅でトレーニングをしているのですか?

 茨城の田舎の方に建てたので、宇都宮競輪取手競輪も遠く、基本的には家で練習することが多いです。一人で練習することが好きなので、自宅のトレーニング環境を充実させたかったんですよね。必要機材もほぼ揃っていて、ここ2年くらいやってきてます。今PIST6がはじまり、結果も出ているので、自分がやってきたことはPIST6においては間違いではなかったんだなと思っています。

ーー飾られているお写真は?

 高校時代の深谷との写真です。これが僕の原点です。ここには常に深谷がいますね(笑)。

ーー深谷選手とはPIST6でも一緒に走ってみたいですか?

 いや、なるべく別の開催呼んでもらいたいです(笑)。正直、深谷には1ミリも勝てる気がしないですね。強さを知り尽くしているんで、どんな展開でも勝てない気がします。まあ…やることがあるなら、全力ですけど。

 深谷に勝てるのはS取りくらいしかないかなと思います。そういえばこの間、新田(祐大)さんと話をしたんですが、「早くPIST6走りたい」と言ってたんですけど…新田さんとも別の開催がいいです(笑)。

ーーちなみに中川選手とは同じ開催で走りましたが、本当は別の開催がよかったですか?

 別がよかったです。名前見た瞬間に「マジかー」って(笑)。嫌な感じでしたね(笑)。やっぱり出るからには勝ちたいんで!

「新田さんや深谷とは別開催にしてください」と笑いながらも「でも勝負することがあれば全力でやります」と臨戦態勢(Photo by Kenji Onose)

■誕生日を迎えて32歳、今選手として思うこと

ーー先週土曜日、1月14日はお誕生日でした。おめでとうございます!

 ありがとうございます。誕生日は大垣競輪2日目を走っていました。自分の中では「今日は誕生日3割増しだな」と思っていたんですけど、全然勝てなくて(笑)。自分だけ盛り上がってました(笑)。家族には大垣に行く前に祝ってもらいました。

ーーご家族と言えば、奥様も元プロロードレース選手ですが、練習メニューや試合についてアドバイスをもらうことはありますか?(※夫人は元ロード選手の針谷千紗子さん)

 レースのことに関しては特に言われないんですけど、映像見て「重そうだったね」とか「軽そうだったね」っていうのは言われますね。毎日脚に乗ってもらったりするんで「張ってるよ」とかそういう会話はしますね。

ーー32歳、競輪選手として今思い描いていることがあれば教えてください

 競輪選手なら、みんな思うことかもしれませんが、タイトルが欲しいと思っています。GIタイトル、そこを目指してやっていきたいです。昨年はGIの大きな舞台でも自分の持ち味をアピールできたことが、とても良い経験になりました。

 選手として細く長くというこだわりはなく、たとえ短くても良いのでタイトルを目指してやりたいという感覚ですね。

ーー最後にPIST6のファンに向けてメッセージをお願いします。雨谷選手の思うレースの注目ポイントなども教えてください

 やっぱりレースは映像で見るより、直接ライブで見てもらった方がスピード感や迫力が伝わると思います。ぜひ会場に足を運んでもらって生で観戦してもらいたいです! 皆様これからも応援よろしくお願いします!

JAPAN HEROESのシーズンファイナルで優勝、歴史に名を刻んだ(Photo by Kenji Onose)


 小学生時代、卒業文集には「十文字貴信選手のようになりたい」と書き記し、十文字さんに憧れて、高校時代は「毎日40kmの道のりを自転車で通学していた」と学生時代のことまで、丁寧に語ってくれた雨谷選手。

 インタビュー後に出場したシーズンZEROラウンド4(1/22・23開催)では決勝に進出するも3着。惜しくも3連続優勝は逃したが、PIST6における最重要人物のひとりであることに変わりはない。リベンジに燃える雨谷一樹の次戦での躍動が楽しみで仕方ない!(取材・構成:netkeirin編集部)

◆雨谷一樹選手のプロフィール(取材時)

出身  :栃木県
生年月日:1990/1/14
班級  :S級1班
府県  :栃木県
身長  :171cm

【SNSはコチラ】
雨谷一樹選手 instagram

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