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【今週の競輪好プレー】稲川翔“目で殺す” 凍りつく正月…/岸和田競輪FI 2日目・準決12R

2022/01/05(水) 18:30 0 5

東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。新年1発目の好プレーは誰だ⁉︎ 前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。

1月1日 ニッカン・コム杯争奪SD賞 2日目・S級 準決勝ーー

好プレーに輝いた稲川翔の眼光はヤバイ…

 競輪の重要な要素の一つである、番手の仕事。

 『番手』とは自力で動く選手の後ろなわけだが、2番手、と書くと迫力を欠く。“番手”というものにこだわってきた選手たちの歴史がある。もし「番手を回る資格はない」という言葉があった時「2番手を回る資格はない」では、伝わらない。そいつが番手にいる意味…。

 基本的な好プレーは、まくりの選手を止めた時に生まれやすい。止める位置、動き、幅、その後…。
いろんな番手選手の仕事ぶりを見て、またそれを見た選手たちの反応を見てきた。そして生まれた2022年最初の好プレーは、1月1日の岸和田FI準決12Rの稲川翔(36歳・大阪・90期)の一芸だ。

 ただしプレーそのものは、ある意味…ない。

 岡崎智哉(36歳・大阪=96期)が打鐘先行。その番手を稲川が回っている。打鐘4角から巻き返してくるのは神田龍(32歳・三重=105期)。残り1周から稲川は、何度となく神田を見る。“目で殺す”。神田としては「やべ〜よ、番手に稲川さんがいるよ」と踏み込んだ時から思っていただろう。

稲川翔被害者の会の神田龍メンバー

 しかし自力選手の責任として神田は仕掛ける。「見てるよ」「目が合っちゃったよ」。神田の体は、自転車は稲川のところに近づくのを拒むかのように進まない。岡崎のスピードがいいのはもちろんだが、門番が持っているのは抜身の刀。これまで稲川がやってきた仕事ぶりが生んだ好プレー。レースを支配しているのは岡崎にも見えるが、その岡崎をもってレースを支配しているのが稲川だった。このプレーに★は4つ。

 容易にはたどり着けない地点に稲川がたどり着いているからこそ見ることができた、令和4年最初の好プレーだった。

すごいで賞=★★★★☆(星4つ)

【番手(ばんて)とは】
先行選手の後ろの選手のこと。追い込み型の選手にとって最も有利なポジション。先行選手が前で風を受けている分、番手選手は後方からの攻めをけん制するなどして、ライン内の役割を全うしてお互いをサポートする。

▶︎広島競輪 1月1日12R S級 準決勝の結果はこちら
▶︎前田節満載のコラム「前田睦生の感情移入」はこちら

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