2021/12/11(土) 08:00 0 3
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今回は松山競輪場で開催された心温まるプレー”を紹介! 前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
12月5日、ニヒルで寡黙、そしてとびっきりのイケメンの瞳から一筋の雫がこぼれ落ちた。松山競輪の開設72周年記念「金亀杯争覇戦」を制したのは、地元の橋本強(36歳・愛媛=89期)だった。やっとつかんだ記念Vが、地元の一戦。仲間たちが、囲んだ。
決勝までの3日間。新田祐大(35歳・福島=90期)がすご過ぎた。「何をやっても勝てない」とすら思わせた。
新田は、すご過ぎた。
決勝で橋本が前を任せたのは松本貴治(27歳・愛媛=111期)、後ろには渡部哲男(42歳・愛媛=84期)。勝つしかない、布陣…。う〜ん、どうする。
好プレーの原点は「タカハルなら」と信じる心だった。
松本が持つ距離を踏めば、何とかできる。ひたすら信じて、松本の後輪を見つめた。松本は冷静に、丁寧にレースを運び、踏み上げる。完璧な流れ。しかし、新田はやってくる。豊後水道の激流を軽くいなすように進んでくる。
3角。「あそこは止めやすいんですよ」(橋本)。動きはそんなに大きくはない。だが、新田の勢いを止めつつ、自身の間合いに持ち込むけん制。渋すぎる…。経験が詰まっていた。デビュー18年目。GI優勝すらその手にと期待された男が、度重なる落車を乗り越え、ようやく地元記念のタイトルを呼び込んだ。★4つの好プレー。5つではないのは、みなさまが思われた通り。GI初制覇の時に、とっておくべき男なのです。
すごいで賞=★★★★☆(星4つ)