2025/10/06(月) 15:00 0 6
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は大ベテランが見せた小さなギアでの戦いをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
京王閣競輪の「開設76周年記念 ゴールドカップレース(GIII)」の初日、10月2日に大ベテランが味のある好プレーを見せてくれた。伊藤正樹(53歳・愛知=71期)は4倍未満のギア規制があり、3・92を多くの選手が使う中で3・54の小さなギア倍数で戦っているしぶ〜いレーサーだ。
「3・54だとああいう動きがしやすいんですよ」
前を任せた林敬宏(34歳・愛知=117期)を好援護して、一緒に勝ち上がった。ポイントは最終1角で、先行態勢に入った大川剛(26歳・青森=121期)を林がカマシに行ったところだ。伊藤が4番車、林が6番車という車番的にも厳しい構成。
なんとか立ち向かっていった林を、スッとエスコートした紳士の走りがあった。
カマしていった時に、3番手のところが少し空いていた。機敏に動ける3・54の走りを生かして、林より先にその位置を確保した。林が3番手に収まり、4角手前からまた踏み込んでいく。
伊藤は中のコースを鋭く伸びて1着。好プレーとしてはスタンダードなもので、★は3つだ。とはいえ、やはり53歳になり、その小さなギアでの戦いで見せたものにはグッと来た。
超高回転のペダリングで500勝を達成している名レーサーなわけだが、そのセンスの高さはすごいの一語に尽きる。しかもこの歳にして毎年、ダービー出場を目指し走り続けている。競走得点などの争いではGⅠ出場は厳しいが、賞金を積み重ねればダービーには出られる。鉄人の走りを、これからも楽しみたい。
すごいで賞=★★★☆☆(星3つ)