2025/07/03(木) 19:00 0 6
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週はチャンスは逃さず百戦錬磨の仕掛けをした吉澤純平の好プレーをお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
7月2日の川崎競輪FⅠの最終日、12R決勝で暑さを燃やし尽くす熱血漢たちの戦いがあった。この決勝戦、吉澤純平(40歳・茨城=101期)に芦澤大輔(43歳・茨城=90期)と須永優太(37歳・福島=94期)で、村上博幸(46歳・京都=86期)が単騎戦、南関は自力型がおらず小原太樹(36歳・神奈川=95期)が先頭で和田健太郎(44歳・千葉=87期)と近藤保(42歳・千葉=95期)が追走。
小原は追い込み型になっているが、初日特選でもそうだったようにラインの先頭の時はタテを繰り出す。決勝でも、前受けから突っ張って態勢をつくった。が…。
吉澤も人の後ろ回りが増えているわけだが、まだまだ自力選手。それも昔から積極的にレースを支配しにいくタイプ。普段はニコニコ笑顔でも、レースでは、違う。そしてこのレース。吉澤の最大の盟友でもある芦澤が後ろ。緩めるところなどない。
小原の突っ張りの前にいったんは車を下げた吉澤だが、次のチャンスは逃さない。ラインで出切れるように打鐘過ぎから仕掛けていく。無論、2角までまってのまくりも考えられる。しかし、和田、または村上は名うての選手。彼らを封じるためにも、ここでラインで出切ることが必要。
後ろは、芦澤さん。
百戦錬磨の仕掛けだった。構成からすれば自然ではあっても、芦澤と長く紡いできた戦いがあってと思うと、この走りは胸に突き刺さった。誰よりも、優勝した芦澤がそうだった。勝利者インタビューでは、芦澤らしいあの表情、奥歯をかみしめながらの振り返りだった。涙は、こらえようもない。「純平の走りがすべて」だった。
しかし、★は1つ。2人がまたさらに輝いていくことだけを希望する。競輪そのものであり、また関東の競輪、2人の体内に流れる血の躍動、歴史を、今のファンに伝えていってほしい。まだ、始まったばかりだ。では…、「歯を、食いしばれ!!」。
すごいで賞=★☆☆☆☆(星5つ)